■掲示板に戻る■
全部
1-
最新50
トラックバック
朝起きたら自キャラになってた:避難所
- 1 :Furcifer ◆MwNTY7GtwI :06/08/14 18:16:42 ID:xE5Y6dr0
- 朝起きたら自キャラになってヴァナにいた。。。という前提で
ストーリーを作っていくスレ、の避難所です。
前提さえ満たしていれば、大抵どんなブッ飛んだ設定で物語を展開してもおk!
基本的に作者様毎の物語はそれぞれ別物です。互いに矛盾や理不尽があってもおかしくないです。
あと、ででおの話を書かれても構いませんが、ででおの話を書く趣旨のスレじゃないです。
保管庫
ttp://ss.ga4.net/
ttp://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/FrontPage
前スレ(保守し損ねましたごめん…! orz)
お題:自キャラになった、でお話を書くスレ12(dat落ち)
http://live19.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1153151289/
さしあたってこちらに避難&誘導させていただきます。
ネ実に13を立て直すか、ここを13として続けるかはそれから考えましょう。
- 218 :(・∀・):06/10/26 16:07:22 ID:???
- >>333かっこいいって書き込みつつ保守しようとしたら
書き込めませんって出たわけだが。
- 219 :緑茶 ◆vUu2nK2xdY :06/10/26 16:14:09 ID:???
- 仕事から帰ってきて久しぶりに投下しようと思ったら自キャラスレ14が落ちていた…
取りあえず書き込めるかテスト
最近のネ実は2桁レスしかないスレッドの乱立で無駄に保守ageが続くから、
ひっそりとこっちにお話投下しようかしら…
- 220 :(・∀・):06/10/26 16:21:01 ID:???
- たててみる
- 221 :(・∀・):06/10/26 16:33:07 ID:???
- 「朝起きたら自キャラになってた」で物語を書く15
http://live19.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1161847324/
立ててきた。「朝起きたら」をどうしても入れたかった。
反省はしていない。
- 222 :(・∀・):06/10/26 23:47:11 ID:???
- mms://wmt-od.stream.ne.jp/vod11/bngi/acz_2ndtr.wmv
あいつのことか ああ 知っている
話せば長い そう 古い話だ
知ってるか? 来訪者は3つに分けられる
強さを求める奴 プライドに生きる奴 戦況を読める奴
この3つだ
あいつは―――
- 223 :(・∀・):06/10/26 23:47:40 ID:???
- チャリオット隊へ 撤退は許可できない 迎撃せよ
だろうな 給料上乗せだ
数日前―――
世界を停止させた戦闘があった
『シャントット邸宅前』で大規模な戦闘!
前も後ろも死体だらけだ!
好奇心は猫をも殺すぞ!
よう相棒 俺たちにお似合いの戦場だ
彼はかつて『リーダー』と呼ばれた裏切り者
『チャリオット』の相棒だった男
- 224 :(・∀・):06/10/26 23:48:21 ID:???
- 来訪者が集結中
全て撃滅し秩序を堅持しろ 結界内でお出迎えだ
男は『妹』を追っている
今までの奴らより強い!
サンドリアの三人組だ!油断すんな!
羽根帽子の赤いのがいる 噂に聞いた奴か
野良犬どもには贅沢な墓場だ
ここは『ヴァナ・ディール』
死人に口なし
そして―――『赤い鎧』の言葉で 物語の幕は上がる
あれは雪の降る寒い日だった
生き残るぞ!ガルカパワー!
- 225 :(・∀・):06/10/27 08:19:21 ID:???
- お、再録感謝ー
- 226 :(・∀・):06/10/27 18:54:57 ID:???
- ちょっと聞きたいんだけど、これってエログロ描写はあり?
- 227 :(・∀・):06/10/27 23:16:25 ID:???
- グロは割りとアリアリぽいけどエロは自主規制がけっこう強いかも
- 228 :(・∀・):06/10/28 01:23:34 ID:???
- 描きかけの状態なんだが、
ttp://read.kir.jp/file/read61535.txt
これは・・・・・まずいかな?
- 229 :(・∀・):06/10/28 02:17:11 ID:???
- 別に構わないんじゃないかな。
今までの話でも読み手によって結構好き嫌いがあるみたいだから、
どういう感想のレスが付くかは分からないけどね
冒頭だけだと「自キャラ設定」部分以外、どこぞの同人誌で見たような気もしなくもないw
が、まあ、この後どうなるかが本題なので、続きを書くならwktkして待ってます。
- 230 :(・∀・):06/11/16 16:01:59 ID:???
- 過疎ってんなぁ避難所。まあ本スレがあるうちは賑わうほうが異常だが。
以下チラシの裏
フルさんシナリオのパンプキンヘッド装備GMの名前が気になる今日この頃。
ヒロさんシナリオみたくインターローグで呼び合うわけでもなし、
リードさんシナリオみたく敵方と知り合いで…ってこともないから名前を明かす機会がないのも分かるが。
そもそも両シナリオで赤鎧の組織形態が違うっぽいのはどうする気なんだろうw
気になる。
- 231 :(・∀・):06/11/16 22:06:27 ID:???
- 基本的に作者様毎の物語はそれぞれ別物です。互いに矛盾や理不尽があってもおかしくないです。
- 232 :(・∀・):06/11/17 15:08:24 ID:???
- 赤鎧って今までに何人ぐらい物語に出てたり、倒されたりしてるんだろうな
数えたらけっこうな数いってたりして
- 233 :(・∀・):06/11/18 19:00:43 ID:???
- wiki読むとリード氏の記述では赤鎧は22名、
そして3名ほど死亡してるらしい。
ちなみに公式サイトで赤鎧の募集してたよw
- 234 :(・∀・):06/11/18 19:15:17 ID:???
- 赤鎧の部下の黒マントなんかもいろんなところに出てきてるよね
あれは戦闘員みたいなものなわけ?ちょっと混乱気味
- 235 :(・∀・):06/11/21 12:19:02 ID:???
- 黒装束っていうと、
1)赤鎧がなんかむにゃむにゃして生成した便利に使える下僕
2)赤鎧が直接干渉・処理できない来訪者を狩らせるために、
捕まえて洗脳もしくは契約によって魂を縛り、従わせている来訪者
3)赤鎧の存在を知り、騙されてるのか心酔してるのかよう分からんけど従ってる現地民
いまんとここの3パタらしい。このうちリードさん設定によると、
「フェイト」という呼称を当てられているのは2)で、
赤鎧全体をも含めた管理者サイドがフェイトと呼ばれているのは、
黒装束の活動を調べてはいるけれども全容をつかめていない各国首脳が、
便宜的に、コードネームとして組織をそう呼んでいるみたい。
(ここからは誰の話にも触れられてないから妄想なんだけど、
多分なんかでうまい事捕縛できた黒装束を拷問にかけたら、
その組織名をゲロったとかなんとかで、フェイトと呼ぶことにでもなったんでないかな)
- 236 :(・∀・):06/11/21 12:24:45 ID:???
- http://wiki.livedoor.jp/jikyaramatome/d/%a1%da%a5%d5%a5%a7%a5%a4%a5%c8%a1%db
フェイトについて。
黒マントの項がいい感じに漠然としてるから、まだまだいろんなパターンで、
いろんな理由で赤鎧に与する黒装束が出せると思うのさ〜
- 237 :(・∀・):06/11/28 04:36:18 ID:h/Lk6ml9
- なにかおかしい・・・そう思いつつも起き上がり一歩前に足を歩めた。
【この世界は知ってる。】
何処かから声が聞こえる。
そんなわけあるか。一体なんでこんな所にいるのか検討もつかないのだから。
通路からでようとした刹那。あまりの光に目は霞んだ。
目を開けると・・・
ありえないはずの世界が飛び込んできた。
ああ、頭が真っ白ってこういうことを言うんだな。
人は理解できないものを見ると症状がでる。
発汗、めまい、頭痛、人によってはさまざまだが、
衝撃を受けたと言う事だけは事実だ。
「ここは・・・うーん・・・たぶん・・・ヴァナディール・・・」
「そんなあほな・・・」
廃人などと呼ばれ、完全に中毒となっていたヴァナーディールの世界に似ている。
いや、言い直そう。全くそのままなのだ。
俺は初めてヴァナに生まれ立った時はサンドリアだ。だからここもよく知ってる。
南サンドリアのモグハウスと反対の噴水の裏路地・・・
でもだれがこんな大掛かりなセットを?
つーかそもそもなんで俺がここにいるんだよ・・・
まぁここに居ても拉致があかない。
俺は表に飛び出した。
裏路地とは言え、冒険者なのか貴族なのかはわからないが、
【エルヴァーン】が、闊歩している。
なんだこのサイズは。二階建てバスよりでけぇんじゃねーの?
と、思ったが違和感を感じた。
なにかがおかしい・・・
エルヴァーンがでかいのは当たり前だ。
でも、周りの家も異常に大きくないか?
いや、エルヴァーンの家だから家も大きくしているんだろう・・・
・・・・
ぞくっ
背筋が凍り嫌な予感につつまれた。
- 238 :(・∀・):06/11/28 12:51:16 ID:???
- 「朝起きたら自キャラになってた」で物語を書く16
http://live19.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1164683208/l50
新スレ立ちましたー。
>>237
こっちは誤爆でしたかもしかしてw
なぜプロフはエルなのにあんなことになってるのか…
続きをwktkと待たせていただきます!^^
- 239 :(・∀・):07/01/19 18:38:20 ID:???
- 本スレが落ちたわけだが
- 240 :(・∀・):07/01/19 22:28:58 ID:???
- 鯖停止とかあったからなぁ
- 241 :(・∀・):07/01/20 00:08:53 ID:???
- ほいじゃ、新・本スレ立てにいってきますです。
立てられなかったらゴメンよ。
- 242 :(・∀・):07/01/20 00:18:28 ID:???
- 「朝起きたら自キャラになっていた」物語17
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1169219734/l50
新スレ立ちましたよ。
450kBってところで夕方あたりに落ちた模様。
鯖停止の余波……なのですかね。
- 243 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:05:18 ID:???
- 本スレ落ちましたね・・・
こちらもしばらく出番待ちだったりするので、ここでひっそり外伝投下(´・ω・`)ノ
- 244 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:06:32 ID:???
- ──なにこいつ。
それが「彼」と初めて出会った時の、第一印象だった。
準冒険士の資格を取って最初の仕事。パロメッタという女の子を探して入った古代エルヴァーンの古墳で、わたしはパロメッタを見つけたものの、アンデッドの気配が分からずにすぐ背後まで接近されてしまっていた。
彼……その時は彼女だと思っていたんだけど、そのミスラの赤魔道士はパロメッタの母親から正式に依頼を受けて同じように彼女を探しに来ていたみたい。
ようやくパロメッタを見つけたら、そのすぐ後ろに骸骨が迫っていて、護衛らしい冒険者(わたしの事だけど)はまるで警戒していない、そんな具合だったんだと思う。
「そうだねー」
早くおうちに帰りたいと泣くパロメッタを宥めているところに、彼が走りこんできた。咄嗟に武器を抜きかけたけど、彼はわたし達の傍らを通り過ぎてその背後にあるものと対峙した。
その時の彼の言い草。
「ふつーこんだけ近くにいたら気づくだろ」
かっとなって、彼を邪魔するみたいに前に飛び出したけど、骸骨にしてみればわたしなんて視界にも入らなかったみたい。
わたしは、これが公認冒険者なんだ、というのを見せ付けられた。彼の動きは一分の隙もなく、骸骨相手に終始有利に戦いを進め、わたしにケアルをする余裕まであった。
わたし悔しくて、彼が助けてくれた事を隠したくて、何か言いたそうな彼を置いてパロメッタを連れて先に帰っちゃった。
結局すぐにばれたけど。
名乗り遅れたけど、わたしの名前はナナコ・コラント。
ナナコって言うのは東の方の縁起のいい言葉で、コラントって言うのは東方の名門家系なんだそうだ。
両親はその名門家系の当主って事らしいけど、叔父さんや親戚衆の暮らしを見る限り、名前しか残ってないような名門みたい。
実際、叔父さんも親戚衆も家名を誇るような事はなかった。
- 245 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:07:03 ID:???
- わたしはバストゥークの北にある港町、ルーソンベルグで生まれた、らしい。
これはわたしを育ててくれた叔父夫婦が教えてくれた事で、冒険者になる前に何度か行ってみたんだけど、何一つ見覚えのあるものなんてなかったし、わたしの事を知ってる人もいなかった。
両親はわたしが赤ん坊の頃、パシュハウを移動中に迷い込んだ沼地でクゥダフたちに殺されたらしい。
わたしが叔父に育てられたのはその為。叔父はわたしを引き取って養女にし、だけど真実を隠さず兄である父の娘として育てた。
別に邪魔にされていたわけじゃない。だけど、わたしが自分を天涯孤独だって思うようになったのは、この頃からだと思う。
両親の形見と渡された鏡だけが、わたしの家族だった。
それは不思議な鏡で、わたしが話しかけると、色んな像が映った。遠くの景色、昔の風景、懐かしい人、遠くに行ってしまった友達。
知らない景色や、見知らぬ人も映った。それが未来の光景だと気づいたのは随分後の事だった。
鏡に映る色んな景色や人の顔を眺めては、笑ったり泣いたり。他の誰にも見えなくて、嘘つき呼ばわりされたけど、それでもよかった。
わたしが普通とはちょっと違う事を自覚して、人付き合いを覚える為にはむしろ必要な事だったのだと思う。
叔父夫婦の家は貧しかったし、わたしはあまり出来のいい子供じゃなかったので、叔父夫婦は早くにわたしを結婚させるつもりだったみたい。
でも、鏡のおかげですっかり夢想癖がついていたわたしは、平凡な一生よりも冒険者の道を選んだ。
冒険者は言うほど楽じゃなくて、何度も辞めようかと思ったんだけど、それでもどうにか辿り着いたジュノで、わたしは二人のミスラに出会った。
一人は「彼」。教わった呼び名はPokotaso。一目で偽名だと分かって、信用されてないのかとひそかに落ち込んでいたんだけど、最近本名を教えて貰った。ヒロ、というらしい。
もう一人はリュト。ヒロとは別の経路で知り合ったけど、共通の知り合い。本当はルト・ミュリラーと言うらしい。だけど、ヒロが間違えて呼んでいるうちに、わたし達の間ではこれが呼び名になってしまった。
- 246 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:07:25 ID:???
- 片田舎から出てきたばかりのわたしにとって、ジュノは圧倒されるばかりの大都会。右も左も分からないわたしは厄介な依頼を受けて途方にくれる事が度々あった。
そんな時、いつも助けてくれたのがヒロだった。というか、正冒険士の資格を持たないわたしがうまくやっていくのに、彼を利用していた感じ。
ヒロは恩に着せるでもなく、面倒がるでもなく、いつも言葉少なに来てくれて、わたしを助けてくれた。
リュトは悪い人じゃないけど、あまり好きじゃない。よくヒロと二人でわたしに装備をくれたけど、手渡す役目はいつもリュト。
たまにはヒロがくれればいいのに。まるでその連携が夫婦みたいで、それがすごく嫌だった。へそを曲げて一人で無茶な依頼を受けて、ヒロを試すような真似をしたりもした。
死ぬ目にあって、それでもヒロは来てくれて、怒るでもなく嘆くでもなく、わたしの事を助けてくれた。
そこで初めて、リュトへの苛立ちの原因に気づいた。わたしはヒロの事を好きなんだ。
それまでわたしは、自分を守る為に明るく元気な女の子を演じていたけど、その日からはヒロの気を引く為に魅力的な女の子を演じる事にした。演じ切れていたかどうかは分からないけど……。
シグナルパールを買って、片方をヒロに渡した。リンクパールの方が便利で安かったんだけど、天晶堂のデザインがあまり好きじゃなかったし、一対一でしか通信できないのが気に入った。
露骨過ぎるかな、とも思ったんだけど、ヒロは気づいてくれなかったみたい。
ともかく、わたし達は連れ立って冒険に行く仲になった。わたしから提案する事もあったし、彼から誘ってくれる事もあった。
コロロカを抜けた砂漠でキラキラ輝く糸を吐く蜘蛛を狩ったり、ソロムグで旅人を襲うコカトリスを退治したり、あまりムードはなかったけど、本当に楽しかった。
ヒロが喜ぶと思ったから必死でお洒落も勉強したし、彼の好きな装備ばっかり選んで着た。彼は赤が好きみたい。
彼、時々彼の友達とリンクパールで会話してた。女の子を放っておいて他の人と話してるなんてどういう事?
しかもえふいちだかえふよんだかえるめすだか知らないけど、"どの女の子が一番可愛いか"なんて話するなんて、正気?
わたしが悶々としてると、彼の会話はいつも、「まー結局うちのNanakoが一番可愛いでFAだからwwww」で締めくくられた。そんな世辞でにやけてしまうわたしって、本当に安い女だと思う。
- 247 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:07:49 ID:???
- 二人の時、彼は無口だったけど、いつも優しかった。いつだってわたしを守ってくれたし、気遣ってくれたし、ケアルも早かった。でもそれって、わたしを大事に思ってたからじゃないの?
ヒロさえいれば他に何もいらないのに。わたしにはヒロしかいないのに。なのに、ヒロにとって、わたしはもういらない存在なの?
「うぜぇ。失せろブス」
そう言われた時、比喩でもなんでもなく、目の前が真っ白になった。そして、彼に真意を問いただす機会を逸してしまった。
しばらく連絡がつかなくて、図々しい女と思われるかもしれないけど、すごく勇気を出して彼の部屋に行ったのに、どうしてそんな事言うの?
アオツキさん、て人の助けで、もう一度ヒロと話す事が出来た。だけどヒロはやっぱり、人が変わったみたいにそっけなかった。
結婚するから、わたしが邪魔なんだって。
相手がどんな人か知らないけど、わたしだってそれなりにおしゃれとか頑張ってるつもりだけど、だけどお金だけはどう背伸びしてもかなわない。
結婚相手って、ひょっとしてアオツキさんなのかな。だって、親しそうだったし、アオツキさんはすごくきれいで高価そうな鎧を着てたから。
でも、だとしたら、ひどい人だ。
その日以来、彼の足取りはぷっつりと途絶えてしまった。
というよりも、わたしの方が引きこもって、何も情報が入ってこないようにしていたんだけど。
モグハウスに引きこもって、ろくにご飯も食べず、お風呂にも入らず。した事と言えば、ヒロの趣味に合わせたインテリアを壊したくらい。
いつ彼が来てもいいように色々気をつけていたんだけど、それはもう全部無駄になっちゃった。最近知ったけど、モグハウスに別の人間を泊めるのは冒険者規約違反だから、どうせ無駄だったのかな。
買い込んでた食べ物もあらかた食べつくして、わたしが外に出たのは四日くらい経った後だった。髪はボサボサ、肌はガサガサ。服だってよれよれでひどい格好だけど、別にいいよね? だって、見せたい相手なんてもういないんだから。
- 248 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:08:12 ID:???
- ジュノ上層の、橋二番通り。久方ぶりに出た街で、わたしは呼び止められた。
「ナナコ……だよね?」
正直、いやな相手に見つかった、と思った。
女のわたしが見てもうっとりするようなしなやかで豊満な肢体を、中途半端に赤い外套で隠したミスラ。リュトだ。
「どうしたの、その格好?」
わたしの有様を上から下まで見渡してから、冒険帰り……じゃないわよね? と付け足す。
わたしは急に気恥ずかしくなって、適当に相槌を打ってその場から逃げ出そうとした。
「ああ、待って。Pokotasoに頼みたい事があるの。……連絡、ついた?」
やっぱりその話題。
「知らない。ついてない」
振り返りもせずに答えて、早足でその場を後にする。
腫れぼったい目蓋で最悪の視界がにじむ。元々ひどい顔だったけど、多分今はもっとぐちゃぐちゃだと思う。
モグハウスのすぐ前で、一人のミスラに呼び止められた。リュトだった。先回りしてたんだ。
「何かあったの? Pokotasoと?」
思えばリュトも赤い服を着てる。彼女も彼に好かれたくてその色を選んだのかな。
なんていうか、どうしようもなくいやだ。リュトがどうこうじゃなくて、そんな事まで勘繰ってしまう自分が。
「よかったら聞かせてくれない? 力になれるかもしれないから」
その仕草で本当に心配している事が分かって、そう思ったら、また涙が溢れた。
彼女が心配してるのはわたしじゃなくて、仕事仲間とトラブルで関係が切れてしまう事。だけど構うもんか、わたしには他に話す相手がいないんだから。
- 249 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:08:34 ID:???
- 「ふぅん… Pokotasoがねぇ……」
一通りの話を聞いて、リュトが漏らしたのは、そんな唸り声だった。整った顔に皺を寄せて、得た情報を反芻するようにうつむく。
半信半疑。言われてもピンと来ない。こんなところだろう。
ここはわたしのモグハウス。準冒険士のわたしには召使のモーグリはつかないけど、通例でやっぱり「モグハウス」なんて呼ばれてる場所。
結局最初にわたしの城に入ったのは、ヒロではなくてリュトだった。
リュトは相変わらず唸ってる。
かんしゃく起こして荒らしたままになっている部屋も、泣きはらして目蓋の腫れた顔も、見られずに済んでちょっとだけ嬉しかった。
「彼が、本当にそう言ったの?」
ようやく彼女が出した結論は、わたしが勘違いしているんじゃないか、というものだった。
「ああ、うん。別にそれを疑ってるわけじゃないの。でも、ナナコ。あなたの話は全部、彼から聞いただけなんでしょ?」
リュトは顔を上げて、じっとこちらを見る。その視線を見返す事が出来ずに顔を伏せたのは、顔を見られたくないからだけじゃないと思う。
「そうだけど……」
「なんていうのかな、彼って、ホントにナナコの言うとおりの事するなら、多分違う事言うと思うの」
「ウソついてる、てこと?」
顔を上げると、リュトは慌てた仕草をする。
「ああ、いや、その。……優しい嘘をつくタイプ?」
同意を求められても困るな……よほどわたしが怒ってるように見えたんだろうか。
- 250 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:08:59 ID:???
- でも、リュトの言ってる事は分かる。
彼は本当に結婚するとしたら、ああいう言い方はしないし、トラブルに巻き込まれた時、本当の事を言わない……と、思う。
彼自身の面子がそうさせてるのかもしれないけど、巻き込まないように、って気遣ってるんだろう。
わたしとしては、全部打ち明けてくれないのは、それはそれでショックではあるんだけど。でもわたしだって言いたくない事はあるし、お互い様なのかな。
「で、わたし思うんだけどぉ」
リュトが相槌を待つのに疲れたのか、話を進める。
「彼、悪い事してると思ったら、すぐ頭下げちゃうタイプだと思うの」
ジャグナーであった事を思い出す。そうだ、ヒロはずっと謝りどおしだった。大した怪我でもないのに、自分の事は後回しでわたしに何度も触れて、何度もケアルをして……
「なんでそこで赤くなるわけ?」
あ、うっ…うるさいな。なってないってば。
慌てて頬に手を当てると、リュトが愉快そうに笑った。
相変わらず人とか性格とかいろいろ悪いやつ……。
思い直して、彼との記憶を更に辿ってみる。
そういえば、随分前にリンクパールで、友達か誰かに平謝りしているところを見た事がある。別の友人と約束をブッキングして云々、て話だったみたい。
リュトの言うとおりだ。彼はあんな風に人とぶつかる事を好かない。だからこそわたしもショックだったんだけど、動転してリュトに指摘されるまで気づかなかったのは正直、ちょっと悔しい。
「それじゃ、ヒロは……」
いやな嘘をついてまで、わたしを遠ざけなきゃいけないようなトラブルに巻き込まれてるって事? それって……
- 251 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:09:23 ID:???
- や〜ん、わたし愛されてる♪
「なんでそこで身悶えするわけ?」
あ、うっ…うるさいな。してないってば。
「事情は分からないけど、彼が本当の事を言ってないのは間違いないと思う」
立ち上がる。
リュトはわたしの顔を見上げて、呆れ顔をした。
「世話がかかるわね……。わたしほどじゃないにしても、少しは相手の本音を読まなきゃ、鬱陶しい女だって思われちゃうわよ」
指で鍵の形を作って、笑う。盗賊の職業柄、自分は人を見る目がある、とか言うつもりなんだろう。
現金なもので、少し光明が見えたら、もうそんなからかうような仕草も全然気にならなかった。
「何をするか、見えたみたいね」
「うん、もう一度、バストゥークに行ってみる」
力強く頷いた。そうと決まれば、準備をしなきゃ。
「でも、ホントに彼が金持ち引っ掛けて財産目当てに結婚するんだったらどうするの?」
「引っ掛かる事はあっても、ヒロから引っ掛ける事なんて絶っ対にないから!」
リュトはまた、陽気に笑う。
「もしそうだったら、先に孕んで責任取らせちゃえばいいのよ。ヒュームの国では、そーいうしきたりあるんでしょ?」
わたしは、今度こそ言い訳のしようもないくらい真っ赤になった。
リュトは腹を抱えて笑った。
- 252 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/01/28 18:10:14 ID:???
- いじょ。
ナナコ編は775のコテハンでいきます(´・ω・`)ノ
- 253 :(・∀・):07/01/28 23:00:24 ID:lYCtCR22
- 「朝起きたら自キャラになっていた」物語17.5
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1169992803/
- 254 :(・∀・):07/01/28 23:06:34 ID:???
- じ、じぅななてんご・・・
- 255 :(・∀・):07/01/28 23:35:57 ID:lYCtCR22
- 落ちたのd
これでいいじゃn
- 256 :(・∀・):07/01/29 09:50:33 ID:???
- とりあえず、こんなスレageんなヴォケ。
- 257 :(・∀・):07/01/29 21:09:35 ID:???
- _ _ ∩
( ゚∀゚)彡 イージャン! イージャンスゲージャン!
⊂彡 イージャン! イージャンスゲージャン!
- 258 :(・∀・):07/01/30 18:46:56 ID:???
- なんか可愛いw
んだが内藤たちは?
- 259 :(・∀・):07/02/16 19:36:08 ID:???
- 17.5、落ちました・・・
この時期、保守がきついです(つД`)
- 260 ::(・∀・)::07/02/18 19:06:22 ID:+2DHf5EH
- こっちも落ちたら困るからあげとくー
- 261 :(・∀・):07/02/20 04:39:46 ID:???
- 上げんでも落ちんよ・・・この板は・・。
- 262 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/13 06:05:06 ID:???
- 翌日早く、わたしはバストゥーク行きの飛空艇の停泊する桟橋にいた。
バストゥークを始め、ジュノ港と世界中各地を結ぶ飛空艇の定期便は数多くある。だけど、わたし達冒険者が利用できるのは後衛の貨物船だ。
もちろん高い旅費を出せば旅客用の飛空艇に乗ることも出来るんだけど、少なくともそんなお金わたしは持ってない。
ヒロだったらきっと、旅客用の飛空艇で一番高級な部屋だって借り切る事が出来ると思うんだけど、彼はわたしといる時決まって、今停泊しているような小振りの貨物船を利用していた。
ハッチを兼ねたタラップに飛び乗って、船室へと入る。
出港まであと三〇分くらいあるんだけど、船室はバストゥークへと向かう冒険者でごった返していた。
裏世界、とかいうところに挑む相談で盛り上がるグループの作戦会議を適当に聞き流しながら、部屋の隅を自分のスペースに決めてそこに陣取る。
船室は元々貨物用。カーゴルームに積みきれなかったコンテナが三つ四つある他は、座席も何もない。
冷たい床にケープを敷いて、サックから道中必要なものを確認する。
飲み物とつまむおやつ、よし。
カイロと中の炎クリ、よし。
暇つぶし用の恋愛小説、よし……。
うん、忘れ物はないみたい。どれも絶対必要な物って訳じゃないけど、忘れたら道中この殺風景な船室に篭ってなきゃならなくなる。ま、忘れててももうどうしようもないんだけどね。
この小説はわたしのお気に入り。大好きな作家さんが書いた話で、エルヴァーンの赤魔道士と、ヒュームの女の子が身分の違いを乗り越えて結ばれる物語。
繰り返し読み返してずいぶん痛んじゃった。エルヴァーンの性格がぶきっちょで、ちょっとヒロに似てるの。ヒロもエルヴァーンだったらよかったのにな、なんて。
荷物の確認をして、離水するまで座ってようかな…と壁を背に振り向いたところで見慣れた後姿を認めて、思わず口に出しちゃった。
「ヒロ?」
- 263 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/13 06:06:10 ID:???
- 行ってすぐ気づく。全然別人。
(──な、わけないか)
心の中で呟いて、ちょっと舌を出す。
どこをどう見間違えたのか、その人はエルヴァーンだった。ヒロのワーロック装備にちょっと似てるけど、それだけ。全然似てないの。
一週間にもならないのに、禁断症状? わたしったら、愛しすぎ?
そんな事を考えてると、そのエルヴァーンは振り向いてこちらを見た。
エルヴァーンらしい美形で、ちょっと目つきがワルっぽいの。あ、やっぱりちょっとヒロに似てるかも。
何でもかんでもヒロに見えちゃうわたしったら、愛しすぎ?
「おれの事呼んだの、きみ? ……ごめ、どこかで会ったっけ?」
何を言ってるのか一瞬理解できなくて、思考が固まる。
この人も、ヒロって言うのかな。わたしは手を振って否定すると、頭を下げた。
「ご、ごめんなさい。知り合いに似てたから……。人違いでした」
エルヴァーンの帽子が改めて視界に入る。あ、あれデュエルシャポーだ。随分前にヒロが欲しがってたやつ。
「でも、ヒロって……」
「貴方もヒロさんて言うんですか? ごめんなさい」
ヒロと名乗るエルヴァーンはわたしを指差して口をもごもご動かすと、帽子の上から頭をぼりぼりかいて、そのまま人ごみの向こうに消えていった。
そんな仕草も、ヒロに似てる。
いい加減重症だなんて苦笑しながら、わたしはそんな感想を抱いた。
やがて、出港を告げる警笛が鳴った。
- 264 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/13 06:07:24 ID:???
- 「あのさ、隣いい?」
冷たい風が吹き荒ぶ甲板で、不意に後ろから声を掛けられた。声の主は、さっきのエルヴァーンだった。
飛空艇は出港後すぐ離水し、巡航高度に達するまでの間、揺れるし危険だという理由で船室から出ちゃいけない事になってる。
丁寧に鍵まで掛けるんだけど、あんなグラグラ揺れる中でわざわざ船内を探検しようなんて命知らずいるのかな。
わたし初めて飛空艇に乗った時、興奮して歩き回ってたんだけど、案の定大転倒して、ヒロに笑われちゃった。
巡航高度に達したらもうほとんど揺れないから、わたしはいつも甲板に出る。
風が強いし寒いんだけど、空から見る景色が好きなんだ。
「あ、さっきは済みませんでした」
カイロを両手で挟んで祈るような仕草をしながら、先ほどの非礼を詫びる。カイロには晶力を活性化して熱を放つ炎クリが入っていて、大体丸半日くらい暖かい。
飛空艇での旅が八時間くらいだから、空にいる間はずっとあったまっていられる。
「いや、いいよ」
エルヒロさん(エルヴァーンのヒロさんの方を、わたしはそう呼ぶ事にした。もちろん口には出さないけど)は決まり悪そうに再び頭を掻くと、
「誰が悪い訳でもないから」
うん、やっぱりヒロに似てる。
「で、隣いいかな?」
自分の事を観察するあたしの視線が恥ずかしいのか、エルヒロさんはシャポーの鍔を引き下げて目元を隠すと、両手を広げて微笑んだ。
「ヒロ繋がりって事で、さ」
- 265 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/13 06:12:23 ID:???
- 後衛の貨物船って…釣りララキープしたりリフレくれたりするのか…
公営ですね(つд`;)
- 266 :(・∀・):07/03/15 18:08:39 ID:???
- 高レベルの詩人は後衛じゃないとおもう。陽動役兼鼓舞役。
まんま音楽部隊だね。あと下げておきましょうぜ。
- 267 :(・∀・):07/03/18 16:16:08 ID:???
- やべえええ避難所もっと早く見に来るべきだったw
ナナコたんかわいいよかわいいよナナコたん
そしてどうするオスラヒロ
自分のフェローまで寝取られたらえらいこっちゃ
- 268 :(・∀・):07/03/19 18:49:51 ID:???
- 本スレのアクセス規制解けない…
代わりにこちらに投下
- 269 :(・∀・):07/03/19 18:50:26 ID:???
- 「ん…今何時……」
薄暗い部屋の中で目を覚ました。
昼近くまで外人と組んでレベル上げして、それから寝たから、今は夕方かな。
毛布から手だけ出して、時計を探り当てる。……あった。
いつもの調子で時計を掴んで手繰り寄せると、何故かミシッと嫌な音がした。
「あれ…なんか割れてる。まだとったばっかりなのになぁ」
文字盤のカバーが割れている。デザインが可愛かったから、タクヤにねだって取ってもらったのに。やっぱりUFOキャッチャーの景品なんていい加減な作りなんだ。
「……ってヤバっ! もうこんな時間!?」
タクヤが来る時間じゃない!
毛布を跳ね除けて飛び起きる。ベッドが酷くきしんだ。
多分今ひどい顔。取り敢えずシャワーを浴びて……
ショーツに手を伸ばして、そこで私は初めて異変に気づいた。
肌が異様に白い。元々引きこもってるから色白だったんだけど、少なくとも私こんなムキムキじゃなかったはず。
第一着てるものも違う。ショーツとTシャツだけしか着てなかったはずなのに、黒っぽいベルトの、なんていうかSMっぽい格好。
ううん、それより何より……
- 270 :(・∀・):07/03/19 18:51:06 ID:???
- 私はユニットバスに走った。
尻尾が大きく振られて、サイドボードに飾ってあった観葉植物が砕けて散乱する。
だけど、それを気にする余裕はなかった。
洗面所に備え付けの鏡には、ライオンみたいな顔が写っていた。
「何これ……ガルカ?」
この非常事態に比べたら、貰い物で名前もよく知らない鉢植えの最期なんて瑣末な問題だ。
その時、玄関のチャイムが鳴った。
タクヤだ……ど、どうしよう! 取り敢えず居留守を使って……。
おろおろしていると、ドアノブに何か差し込まれる音。
「まだ寝てんのかよ、ったく」
ちょwwwwwwwwwまってwwwwwwwwwwwwwwwww合鍵はまずいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
頭の中で「w」を並べてみるけど、事態はちっとも改善しない。
やがて鍵が開いたらしい、外の人物がドアノブに手を掛けたのに気づいて、私は慌ててドアノブを握り締めた。
ボギン、と情けない手ごたえがあって、ドアノブが根元から折れる。
私は折れたドアノブを拳銃みたいに握り締めたまま、来訪者と向き合う事になった。
見慣れた革ジャン。見紛いようもないくらい、やってきたのはタクヤだった。
- 271 :(・∀・):07/03/19 18:51:36 ID:???
- お互いしばらく無言だった。沈黙を破ったのはタクヤの方だった。
「誰だてめェ!」
怒ってる。当然だ。彼女の部屋に来たら、見知らぬ半裸の大男がいたんだから。
「い、今は帰って」
私の声は野太かったけど、自分でも震えているのが分かった。心細かったけど、タクヤが今ここにいてくれたら心強いけど、駄目だ。何をどうやっても納得してもらえる気がしない。
「ふざけんな! 香織に会わせろ、奥にいるんだろ!」
「声が大きい。もうちょっと静かに、落ち着いて……」
このアパートは学生が多い。講義がないなら部屋にいるかもしれないし、そうでなくてもサークルとかバイトがない人はそろそろ帰ってくる時刻だ。
タクヤがこんな風に声を荒げるのは初めてだ。いつも笑って曖昧な態度を取る人だったから、タクヤの激昂ぶりに私の混乱はますます加速した。
「落ち着けるか、バーカ!」
「彼女なら大丈夫だから……」
タクヤが私のハーネスを掴んで詰め寄る。けど、体格差がありすぎてタクヤがぶら下がってるようにしか見えない。
タクヤが私にぶつけてくるのは敵意だけど、今はタクヤの体温がすごく懐かしい。なんだかグッときて言葉に詰まってしまった。
「ふざけんな! 香織は俺の女だ、会って話を聞くまで帰れねえ! 顔を見るまで安心できるか!」
ああ、駄目……。耐えられない。
タクヤが私の事そんなに思ってくれてたなんて。わたしは思わず、タクヤの事を力いっぱい抱きしめていた。
タクヤ、タクヤ! タクヤならきっと分かってくれるよね。疑ったりしてごめんね。全部話すから、私あなたに守ってもらうから。だからずっと一緒にいてね!
ミシミシという音がして、タクヤが泡を吹きながら何か叫んでいたけど、私は自分の気持ちを止められなかった。力を緩めたらタクヤがいなくなってしまう気がして、手を離す事なんて出来なかった。
三〇秒後、サバ折りでボロボロになった革ジャン姿の雑魚がいた。
- 272 :(・∀・):07/03/19 19:09:35 ID:???
- 乙女ってかわいいです(/ω\)
- 273 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/20 03:36:44 ID:???
- 「バストゥークには、何の用事で?」
エルヒロさんが、風で髪が暴れるのに少し顔をしかめながら訊ねた。
「ヒロさんは、どんな用事なんですか?」
どう答えたものか思案して、わたしは質問に質問を返す。
日は出ているのに、すごく寒い。風が冷たすぎるからだ、と思う。
エルヒロさんは少し気に食わないという感じで片方の眉を跳ね上げると、
「変態馬鹿上司を迎えにね」
飛空艇の手すりに背を預け、肩をすくめる。
まったく敬意の感じられない口調に、わたしは思わず笑ってしまった。
「折角飛空艇なんてものに乗ってるのにさ、仕事しごとシゴト。やんなっちゃうよ」
少し悪戯な感じで、エルヒロさんも笑う。
「で、君は?」
本題、といった感じに身を乗り出して、今度はわたしの番だと態度で示す。
こんな事言っちゃっていいのかな、と少し迷ってから、結局わたしはちゃんと説明する事にした。
「恋人を迎えに行くんです」
あまり正確ではないかもしれないけど、少なくともわたしはそのつもりなんだから、嘘じゃないよね。うん。
「へぇ、そうなんだ」
エルヒロさんの顔に、ちょっとだけ失望の色が浮かぶ。
結局ナンパ? エルヒロさんいい人だけど駄目。ごめんね、わたしヒロのものなんだから。わたしはそんな思いあがった事を考えて、心の中でちろっと舌を出した。
- 274 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/20 03:37:08 ID:???
- 「彼もヒロって名前なんだ? エルヴァーンの彼氏ねぇ」
テンションががくがくと下がるのを取り繕うみたいにして、エルヒロさんが笑う。
「ううん、違うの。自分でもどうして間違えたのか分からないけど」
わたしは後手に手を組んで、気恥ずかしさを隠す為にうつむき加減で首を振る。
「でも、なんだか似てる」
「そっか。まぁ、種族違うと色々分かり合えない部分もあるからね。その方がいい」
エルヴァーンじゃないとしか言ってないのに、ヒロの事を勝手にヒュームだと思ったらしい。エルヒロさんが納得させるような口調でうんうんと頷いた。
種族が違うから、なのかな。わたしはふと、今のわたし達の関係を思い返して、考え込んでしまう。
わたし彼と一緒にいるだけで嬉しくて、夢中になってた。けど、ヒロはわたしに合わせてくれてただけで、ヒロなりに不満とかストレスを溜めていたのかもしれない。
遠慮なく何でも言ってくれるタイプだと思っていたけど、あの憎まれ口は本音を隠す彼なりの処世術だったのかもしれない。
自分の事を全然分からないわたしに、とうとう愛想を尽かしたのかもしれない。
そんなわたしが、彼女面してまた会いに行ったりして、いいのかな。
「何か、あったのか?」
はまりかけていた陰気な思考のループの海から、エルヒロさんの声がわたしを掬い上げてくれた。
わたしは曖昧に微笑んでみせてから、結局心情を吐露してしまう。
「わたし……彼の事、怒らせちゃったかもしれないんです」
それで、わたし捨てられちゃうのかも。
- 275 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/20 03:37:35 ID:???
- 詳細を適当にぼかして、掻い摘んだ説明をする。
すっかり愚痴モードになっちゃったけど、エルヒロさんは真面目に聞いてくれた。
一通りの説明を聞いて彼は、考えをまとめるみたいに眉間に皺を寄せてから、ぱっと顔を上げ、
「あんまり無責任な事は言いたくないけどさ」
そう前置きしてから、彼の見解を話してくれた。
「そいつ、君の事すごく大事に考えてるよ。でもバカで不器用なんだな、相手の気持ちを考える余裕がないんだ」
ヒロの事悪く言われてちょっとムッとしたけど、わたしの為に言ってくれた事だから、黙って聞く。
「おまけに弱虫なんだ。自分が何かして、それで傷つくのが嫌なんだよ。自分も他人も」
そこまで言うのは、ちょっと酷いんじゃない? エルヒロさん、わたしの中でポイントダウン。
「大体さ、君の事大事にするのはいいけど、君の気持ちを考えてないよな。人間関係壊してまでやる事ないとか、苦労に見合うだけの性能じゃないとか言ったって、欲しいものは欲しいんだ。そう言う事あるだろ」
なんだか話の趣旨はちょっとズレた気がするけど、彼の話は、わたしがヒロに言いたい事をほぼ言い当てていた。
「ちょっと関係ない話だったかな」
エロヒロさんが苦笑して、下界の景色に目をやる。いつの間にかジュノ平野に広がるロランベリー耕地を過ぎて、海が見えていた。
もう少し飛ぶと右手に山脈が見えてきて、それを迂回するとグスタベルグの赤い大地。そして間もなくバストゥークに到着するはずだ。
「何にしても、彼の事は信じられるよ。そいつがおれと同じ思考ならね」
今は雲で見えないパルブロ山脈の方を見据えながら、エルヒロさんが言う。
「だけどね、もしおれと同じ事を考えているなら、そいつは多分君の前から去っていく。何かきっかけが欲しいんだ、それは君が作らなきゃいけない」
そこまで言って、ぶるっと身震いをする。彼はわたしよりずっと薄着だから、さすがに寒くなったのかもしれない。
「女の子にそれをさせるのは最低だと思うんだけどね。エロゲーばっかやってると、とかく自信と行動力がなくなるんだよ、男ってのは」
そう言ってエルヒロさんはきまり悪そうに肩をすくめ、「きっとうまくいくよ」とわたしの肩を叩いて、船室へと下りていった。
- 276 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/20 03:37:53 ID:???
- また甲板に独り。ケープを身体にまきつけてカイロで暖を取りながら、エルヒロさんの話を反芻する。
彼の意見もリュトと似ていて、ヒロはわたしの事を思うがこそ、わたしを遠ざけようとしているのだという。
でも、わたしの事を思うって、どう思っているというの?
ただわたしが五体満足で、飢える事もなくて、それがわたしの幸せだとでも思っているんだろうか。
きっとそうだ。
自信がない、ていうのは多分、それを守る自信がないって事。でもわたし、傷だらけになって、お腹を空かせていても、ヒロがいれば幸せだよ?
仮に健康で百まで生きて、お金持ちでも、ヒロがいないなら、わたし幸せなんかじゃないよ?
「きっかけ、か……」
どうやって作ればいいんだろう。今思えば、ジャグナーでの一件は千載一遇のチャンスだったんじゃないか、って悔やまれる。
でも過ぎた事を言っていても仕方ない。
今は何をすれば良いかまるで分からないけど、とにかく行動しなきゃ。彼が本当にいなくなってしまう前に。
ところで、エロゲーってなんだろう?
男の人はみんなやるものなのかな?
- 277 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/03/20 03:38:53 ID:???
- 本スレのアクセス規制が解除されません(´;ω;`)【たすけて!】
- 278 :(・∀・):07/03/21 02:46:55 ID:???
- 同じプロバイダ使ってるDQN(これ書いたら今いかんのだったっけ?w)がいなくなるまでの辛抱だ。がんばれ。草葉の陰で応援してるぞw
どうでもいいが。DQNという言葉を使ってるから訴えるとか、
言葉狩するのはアレだよなぁ。
シャレもわからない。というか酒場の餓鬼の叫びにマジレスしてるようなもんだな。
表現の為なら作家はすべての言葉を使っていい。ただ、その分楽しませるべきと思うが。
- 279 :(・∀・):07/03/25 16:28:58 ID:???
- スレ18落ちた
- 280 ::(・∀・)::07/03/25 17:51:13 ID:???
- ほすしようと思ったら、落ちてる〜(´;ω;`)
- 281 :(・∀・):07/03/26 03:33:04 ID:???
- 落ちました…現在次スレもたっていないようです。
ところで、まとめwikiの編集…あれはどうなんだろう?
人物紹介とかの更新って、スレに関係あるんでしょうか?
- 282 :(・∀・):07/03/26 04:15:32 ID:???
- 保守キャラでさえ紹介記事があるからあってもいいんではないか?
- 283 :(・∀・):07/03/27 17:11:29 ID:???
- いつの間にか新スレがたっとる
- 284 :(・∀・):07/03/28 03:38:00 ID:???
- そして落ちる。
- 285 :(・∀・):07/03/28 03:45:14 ID:???
- やらせはせん、やらせはせんぞ。
- 286 :(・∀・):07/03/29 02:21:53 ID:???
- しかしここはSage進行でも落ちないので安心してじゃれあえる。
- 287 ::(・∀・)::07/03/30 23:56:30 ID:???
- 前、自分のブログに書いてるとか言ってた人
居たはずなんだけど、場所分かる人居ますか〜?
- 288 :(・∀・):07/03/31 12:52:14 ID:???
- それはわたしも【興味があります。】【どこですか?】【ください。】【場所】
- 289 ::(・∀・)::07/03/31 15:15:56 ID:???
- 誘導しとくー
「朝起きたら自キャラになっていた」物語19
ttp://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1174921093/l50
- 290 :(・∀・):07/04/01 10:12:07 ID:???
- とってある過去ログに残ってたかな・・・
あまりログ取りはしてないから自信がないけど、見てみる。
- 291 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/04/09 14:42:53 ID:???
- 入国管理の施設を抜けて街に入る頃には、既に陽は落ちていた。
港での仕事を終えた人達が仕事の疲れを癒しに街に繰り出す時間。
十日ぶりのバストゥークは賑やかで活気に満ち、わたしは対照的に気圧されて萎縮した。
港区は人で溢れているけど、あまり長居はしたくなかった。陽気に騒ぐ人達の近くにいたくないというのもあったけど、それより何より夜の港区はあまり行儀の良い街ではないからだ。
遠回りになるけどライ麦橋を渡って商業区に経由し、居住区へと入る。
無駄だとは思ったけど、まずはヒロの部屋を見ておこう。
居住区は厳戒体制だった。
非常線が引かれ、至る所に検問が設けられて、出入りする人間を厳しくチェックしていた。
警備に当たる銃士たちは皆疲れ切って殺気立ち、酷く不躾な応対をされて、ヒロのモグハウスに着く頃にはわたしまでしかめ面になっていた。
処理を待つ間聞いた限りでは、旧港区の方で爆発事件があったらしい。──いや、爆破事件か。
爆破されたのは天晶堂の火薬庫で、近くにあった倉庫が吹き飛び、商品に酷い損害が出たんだそうだ。
主犯格は既に国外に逃亡しており、手助けや手引きをした者を狩りだそうと天晶堂が躍起になっている。むしろこの検問は、彼らが不当な私刑や報復をしないように設けられたものなのだという。
天晶堂は貿易商社だ。でも、バストゥーク人なら誰もが、それが建前だと知っている。彼らはヤクザ者で、シンジケートを作ってこの街を影から支配しようとしている連中なんだ。
主犯格とは誰だろう。ヒロじゃないよね? いくらなんでも、ヒロはそんな危ない事しないよね?
自分に言い聞かせたけど、全く気持ちは晴れなかった。
ヒロのモグハウスには、近づける雰囲気ではなかった。
わたしは予定を変更して、商業区に住む知り合いを尋ねる事にした。
- 292 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/04/09 14:43:32 ID:???
- 大工房の前を抜けて、炎水広場を通る。ここでも何か騒ぎがあったらしい。テープで一角が区切られ、人が踏み込めないようになっていたが、何があったか分かるほどの痕跡はなかった。
ただ、石畳が少し欠けたり削れたりしていて、何か大きくて重たいものがここで崩れたり暴れたりしたらしい、という事を窺わせた。
いずれにしても、この広場は色んな人間が来て、色んな催しをする。わたしが思い出せる限りでも、大き目の花火が暴発したり、シド工房長が試作した気球が墜落したり、トラブルには事欠かない場所だった。
さして興味を引くものも見出せず、わたしはそこを離れ、黄金通りへと入った。
黄金通り、彫金ギルドには、古い知り合いがいる。
わたしは手鏡を取り出して軽く身だしなみを整えると、勝手知ったる仕草でギルドの扉をくぐった。
ここにいる知り合いは、そういうのにちょっとうるさい相手なのだ。
ギルドの窓口は既に終了していたが、職人達はまだ働いていた。
ううん、仕事じゃないのかもしれない。ここの人達はよく言えば熱心、悪く言えば彫金マニアだ。
売り物にならないようなものでも、時間を作っては研究し、自己研鑽に余念がない。
今バストゥークでは、丸い家が流行っているらしい。らしい、というのは、それが流行る前の時代をわたしが知らないからだ。
鉱山区の古い建物は四角いから、昔はサンドリアみたいに角ばった建築が主流だったんだろう。
流行に則った丸い石組みの工房に、目指す人物はいた。
時間外だからだろう。下着みたいな格好で、拡大鏡を覗き込んでいる。工房は熱気に満ちて、わたしも同じ格好になりたい衝動に駆られた。
「こんにちは、ファティマ」
わたしに全く気づく様子がないので、痺れを切らして挨拶をした。彼女は特に感動した様子もなく顔を上げると、疲れた目を休ませるように目をしばたかせた。
- 293 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/04/09 14:44:12 ID:???
- 「ナナコ! バストゥークに帰ってたのね」
ファティマはわたしを歓迎するように笑う。うん、今着いたところ。わたしが返すと、ファティマはわたしの頭のから爪先まで眺め、呆れたような顔をした。
「相変わらず野暮ったい格好ね。冒険者になってからますますセンスが鈍ったんじゃない?」
わたしは苦笑した。彼女はわたしより一つ年上で、わたし達の世代では一番おしゃれだった。わたしがしている格好のいくつかも、彼女の真似だったりする。
「あなたに言われたくないよ」
それが今では、一日の大半を無骨な拡大鏡を覗き込んで宝石の鑑定に終始し、それ以外の時間は今こうしているように、下着姿で金銀や宝石を磨いている。
彼女が彫金師の道を選んだ時は、誰もが納得した。だけど、まさかあの彼女が今では、工房ではこんな格好をしているなんて、誰が予想できたろう?
「いいの。帰る時はちゃんと服を着るんだから。ここは暑いし、大きな加工をした時出る切り屑が袖や襟に入ったら、ホントに痛いんだからね」
真っ赤に傷が出来る事もあるんだから。と、彼女は笑う。なるほど、暑いから脱いでるだけじゃなかったんだ。
挨拶もそこそこに、ここ数日でバストゥークに起こった事件のあらましを聞く。
ファティマもわたしみたいな冒険者とおしゃれについて語る気はないらしい。
彼女が知っているのも、わたしが銃士から聞いた話とほぼ同じだ。
旧港区で爆破事件があったという事。倉庫を爆破された天晶堂が、報復しようと街中駆けずり回っている事。
それから、ヒロの部屋で殺人事件があったという事。
「殺人事件?」
彼女は神妙に頷く。
「殺されたのは銃士よ。Pokotasoのモーグリを斬った刃物と、傷口が酷似していたんですって。違うのは手口。モーグリはただ乱暴されただけだけど、銃士は熟練の殺し屋に背後から一撃、だったらしいわ」
喉の前で掌を水平に引く。喉を掻き切られたって事……なのかな。
ヒロは無事なんだろうか。
- 294 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/04/09 14:44:47 ID:???
- 「それも爆破事件と関係があるの?」
ファティマは肩を竦める。どうもはっきりしないらしい。
「タイミングを考えると、何か関係があるかもしれないんだけどね。とにかく今回の一件は妙なのよ」
やたら詳しい。彼女のお得意さんは大工房の役人や、大商人だ。だから色々情報が入ってくるのだろう。わたしとしても、それを期待していたんだけど。
「爆破事件の黒幕は、サンドリアのさる人物って噂よ。天晶堂と話をつけて、既に手打ちにしてあるっていう話があるの。でも、それじゃ面子が立たないから、手打ちに含まれない範囲の相手に仕返しをしてるんだって」
よく分からなくなってきた。でも、爆破事件は多分ヒロも関わったんだろう。彼はサンドリア人だし、成り上がりだけど近衛騎士の地位まで上り詰めていた。王家の命令で何か工作に当たっても不思議はない。
「ああ、それからね」
ファティマが思い出したように人差し指を立てた。
「Pokotasoのモーグリがね、彼の財産を全部相続したんですって。個人では、世界一の大金持ちよ、そのモーグリ」
モーグリ達は決して貧しい種族じゃない。だけど、その財産は大抵、団体に帰属されていて、個人で大金を所有するモーグリはほとんどいない。
「Pokotasoって、あなたと付き合ってた冒険者でしょ? 何があったの?」
付き合ってたわけじゃないよ。そう言おうか迷ったけど、色々聞かれるのがいやで口をつぐんだ。
そしてただ、「それを調べにきたの」とだけ答えた。
ヒロがどれだけの財産を持っていたかは知らない。だけど、それを全てモーグリに譲渡するなんて、絶対変だ。
金目当ての結婚話が嘘だと分かったのは嬉しかったけど、わたしはまだ喜びに踊りだす気分にはなれなかった。
何かがあったんだ。
ヒロは何かに巻き込まれたんだ。
- 295 ::(・∀・)::07/04/27 22:25:19 ID:???
- こっちにもね来てたっ!
- 296 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/05/12 09:47:39 ID:???
- ファティマと別れ、再び居住区を目指す。
今度の目的地はヒロの部屋ではなくて、病院だった。
ヒロのモーグリなら、何か知っているかもしれない。わたしはすがる思いで、錬金ギルドの裏手にある病院へと急いだ。
病棟に滑り込んだが、面会時間は丁度終わろうとしていた。
窓口は誰かが話し込んでいて、わたしは苛々と爪を噛み、後ろから念を送ろうと……して、思いとどまった。
窓口で話しているのは、見知った顔だった。
艶やかな黒髪を後ろでまとめ、長くたらした、きりっとした表情の女性だ。略式の鎧をつけ、剣を妙ちくりんに腰に差している。
ミスリル銃士のアヤメだった。
「ええ、手続きは全て完了しました。財産の移動も済んだので、これからは彼をどうこうしてそれを手に入れるのはかなり困難になるでしょう」
棟の責任者らしい人と話をしている。
「それでも、全く危険がないとは言い切れません。理屈の分からない連中というのは、どこにでもいるものですから」
いるところにはいる、エリートという人種だ。
正冒険者にもなれなかったわたしと違って、わたしとそんなに変わらない年でミスリル銃士に抜擢され、国のために働いてる。でも、何だか冷たくて硬い感じの人。
苦手な相手。わたしが日を改めようか迷ってまごまごしていると、窓口の看護婦が身を乗り出して尋ねた。
「ご面会の方ですか? 今日はもう遅いですから、また明日以降いらしてください。面会時間は正午から夜の……」
「ルークさんへの面会ね?」
アヤメさんが振り向いて、手で看護婦を制しながら言う。その顔が驚くくらい優しかったので、わたしはしばらく返答に詰まった。
- 297 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/05/12 09:48:43 ID:???
- 「私がいたから、面会を申し込めなかったのでしょう? マティウスンさん、病室へは私が案内します。まだ少し時間はありますから、顔を見るだけでも」
わたしがどうにか頷くと、アヤメさんはてきぱきとその場を取り仕切ってしまう。
マティウスンと呼ばれた看護婦がしぶしぶながら承諾すると、「感謝します」と頭を下げ、あっけに取られているわたしを促して廊下を歩き出した。
「その……あのがとうございます」
一応の謝意を示すけど、やっぱり釈然としていないのを感じ取ったのだろう。
手でわたしが頭を下げようとするのを制して、アヤメさんは別の話を始める。
「Pokotasoのモグハウスで会ったわね」
「彼、今どこにいるんですか?」
アヤメさんは呆れたのか、小さく溜息を突く。「やっぱりそうなのね」 アヤメさんの目が哀しげにわたしを見据えて、わたしはぶすっとした顔になる。
「分からないわ。銃士隊は目下彼らの居場所を調査中だけど、もうこの国にはいないみたいね」
北グスタの関所で見かけたという情報はあるが、公式の記録には何も残っていないんだそうだ。
別人になりすましていたのか、番兵を買収でもしたのかは分からないけど。
「それじゃ、サンドリアに?」
「可能性はあるわ。彼は告訴されたわけでも、何か犯罪を犯したわけでもない。情報提供の協力を求めてはいるけど、サンドリア側は本人不在という事でそれを断ってきたわ」
アヤメさんは「あなたから何か聞ければ、と思ったのだけれど」とこめかみの辺りを揉んだ。疲れているのだろう、あまり顔色が優れない。
「爆破事件に、彼は無関係なんですか?」
「爆発事故、よ。街でどんな噂が流れていようと、被害者の天晶堂がそう言っている以上、銃士としては事故として調査するしかないの」
ちょっとだけ合点がいった。確かに天晶堂の倉庫は爆破されたけど、爆破した側とは既に手打ちが済んでいるんだろう。
だけどそれで済ませるわけにもいかなくて、手打ちの範囲に含まれない相手に報復しようとしている。ファティマの言ったとおりだ。
- 298 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/05/12 09:49:19 ID:???
- 殺人事件の事も聞いてみたけど、こちらは軽くはぐらかされてしまった。
やっぱりこの人はちょっと苦手だ。
病院の廊下はさほど長いわけじゃない。
次は何を聞こうかと考えている内に、モーグリの病室にたどり着いてしまった。
「外で待っていましょうか?」
特に内緒話をするつもりもなかったけど、わたしは頷いて、病室へと入った。
モーグリは包帯だらけの痛々しい姿だったが、枕に寄りかかって、比較的傷の浅い右手で何事かやっていた。
「ナナコ様クポ? よく来てくれたクポ!」
わたしに気がついて毛布の上に広げていたものを片付け、モーグリは微笑んだ。
「元気そうね。何してたの?」
わたしは出来るだけ平静を装って、丸椅子に腰を下ろすと、モーグリの顔を覗き込む。
モーグリは照れたようにはにかむと、ぽつりと呟くように答えた。
「ずっと寝ていたら、なまってしまうクポ。元気になったらまたすぐ働けるように、リハビリをする事にしたクポ」
ふうん、そうなんだ。わたしは感心する風に頷いて、次に何を尋ねようか思案する。
「ヒロ……Pokotasoは、どこにいるの?」
ああもう、わたしってバカ!
直球ド真ん中じゃない!
- 299 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/05/12 09:49:54 ID:???
- わたしがどうにか取り繕おうとあたふたしていると、モーグリはふいと顔を伏せて、寂しげに呟いた。
「分からないクポ。モグはお暇を出されたから、ご主人様がどこにいるか分からないクポ」
嘘を言っている雰囲気じゃない。口をつぐむと、わたしまで一緒になって肩を落とした。
ぽつん、とモーグリの目から雫がこぼれて、綺麗なシーツ(のはずだけど、モーグリの毛があちこちついていた)にしみをつけた。
「ナナコ様も、ご主人様の本当の名前を知っているクポね」
「えっ? う、うん……」
顔を伏せたままだったので、モーグリがどういう表情でそれを言ったのかは分からなかった。
不意を突かれてわたしはくぐもった返事をする。
「ご主人様から本当の名前を教わった時はすごく嬉しかったクポ」
もう一粒、モーグリが涙をこぼす。
「でもなんだか…… その後様子が変わってしまったクポ」
う……重い空気。何か言い出しにくい雰囲気だけど、沈黙に耐えられなくて、わたしは結局彼に先を促した。
「何が、あったの?」
モーグリが顔を上げた。ヒロのモーグリは少し耳が大きくて、頭の触覚が少し小さかった。彼は再び顔を伏せると、ぽつぽつと小さな声で語り始めた。
彼は寡黙で、あまりモーグリとも口を利いたりしなかったのだという。
けど、丁度、わたしとヒロがジャグナーで会ったあたりの話だ。
毛繕いをしながらお互いの故郷の話をして、翌朝妙に陽気に出かけていった。
そして、ぼろぼろになって戻ってくると、モグハウスには寝に帰るだけのようなタイプの彼が今度は部屋に閉じ篭って外に出なくなった。
あまりの豹変ぶりにモーグリは声を掛けたが、彼は追い出すようして、バストゥークのレンタルハウスを手配しておけと命令してきた。
- 300 :775 ◆dWeYTO/GKY :07/05/12 09:50:49 ID:???
- それっきりだという。
あとは主人の到着を待つモーグリを何者かが襲い、次に気がついた時には、彼は大金持ちになっていて、主人からは暇を出されていたのだそうだ。
「モグはこんな事して貰っても全然嬉しくないクポ。ご主人様にお仕えしたいクポが、きっとモグが飛べなくなったから愛想を尽かされたクポ……」
「そんな事ないよ。きっと何か理由があって、一時的に君に荷物を預けていると思うの」
そんな事を言いながら、わたしは別の事を考えていた。
モーグリは、ヒロが豹変したと言った。彼の口調や仕草は一緒だったけど、確かにそう言われれば別人みたいな気もしてくる。
「理由クポ?」
首をかしげるモーグリに、わたしは頷いて見せた。
「そ、理由。わたしが彼を捕まえて問いただしてくるから、君は早く元気になる事」
完全に空元気だけど、誰かに宣言したのは良かったと思う。少なくとも、逃げ出さずにいられそうだから。
「別人だろうと何だろうと、きっと連れて来るから」
両拳をギュッてして、気合を見せた。
その後他愛もない話をして、病室を後にした。
モーグリはヒロが別人みたいだという表現に、納得がいかない様子だった。必死になった気はするけど、他に何が変わったという訳でもない、とかなんとか。
それにしても、彼がモーグリに優しかったなんて意外。わたしには冷たいくせに。
病室を出ると、アヤメさんが待っていた。
「Pokotasoが心配なのは分かるけど、信じて待つのも一つの形よ」
案の定、外まで聞こえていたらしい。アヤメさんは決まり悪そうに言うと、先立って歩き始めた。
- 301 :(・∀・):07/05/29 11:53:51 ID:???
- 次スレの季節です。
「朝起きたら自キャラになっていた」物語20
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1180406830/l50
- 302 ::(・∀・)::07/05/30 12:43:22 ID:???
- 早速落ちてるよ(゜△゜;)
- 303 :(・∀・):07/05/30 13:12:20 ID:???
- ネ実って即死判定なかったよね…?
家帰ったら立てなおしてみるか。今日半休だし●あるし。
- 304 :(・∀・):07/05/30 13:52:40 ID:???
- 建て直しますた
「朝起きたら自キャラになってた」で物語を書く20改
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1180500538/
今度は細心の注意を払って保守しませう…(´Д⊂
- 305 :(・∀・):07/06/17 10:00:26 ID:???
- 落ちた・・・な
- 306 :(・∀・):07/06/17 11:55:51 ID:???
- ごめんなさい、保守ネタ書いてなかったら間に合ってた・・・orz
素直に保守すればよかった。
スレ立てようと思ったけど立てられずorz
- 307 :(・∀・):07/06/17 17:11:07 ID:???
- 家に帰ったら立てれるよー
あと二時間くらいかかるけど…待てなかったら別の方お願いします
- 308 :(・∀・):07/06/17 19:19:03 ID:???
- ただいま帰りました。
立てますよ〜
- 309 :(・∀・):07/06/17 19:26:21 ID:???
- 立ててきました。
「朝起きたら自キャラになってた」で物語を書く21
http://live25.2ch.net/test/read.cgi/ogame/1182075796/
- 310 :(・∀・):07/06/17 20:09:43 ID:???
- スレ立て乙
- 311 :(・∀・):07/06/18 01:20:43 ID:???
- 最近スレ落ちと新スレを報告するだけのスレになってるね
ちょっと寂しいぞ
- 312 :(・∀・):07/06/18 02:50:58 ID:???
- >>309
乙です〜。
>>311
避難所が賑わうってことは、本スレが寂れるってことです。
だからこっちはこれでいいのです。
で、こっちも時々ちょっとした投下があればいいと思う私は小市民。
- 313 :(・∀・):07/06/18 15:31:10 ID:???
- 実際は、本スレが盛り上がるとこっちも賑わって
避難所が寂れてる時は本スレも勢いがなくなってたけどねw
- 314 :(・∀・):07/06/21 20:45:26 ID:???
- なぁ…まとめwikiがメチャクチャ重いんだが…オレだけか?
- 315 :(・∀・):07/06/22 05:02:40 ID:???
- オレも重いな
livedoor wiki全般が重い気がする
- 316 ::(・∀・)::07/06/24 23:32:54 ID:???
- 本スレに入れないのは自分だけだろうか・・
- 317 :(・∀・):07/07/08 12:19:37 ID:???
- 本スレ落ちてるような希ガス
- 318 :(・∀・):07/07/09 01:45:31 ID:???
- この際だからもうこちら側で細々書き散らして行くのもいいかな…
とか思ってる俺ガイル
319 KB
[ 2ちゃんねるが使っている 完全帯域保証 レンタルサーバー ]
新着レスの表示
掲示板に戻る
全部
前100
次100
最新50