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涙たちの物語10 『旅の行き先』
- 505 :GoVD:07/11/20 14:34:09 ID:ahEHF+PX
- Gangs of Vana'diel #13 ”ジュノにもたらされたもの”
@ 涙たちの物語 on Wiki
うpしますた
- 506 :GoVD:07/11/20 18:26:19 ID:ahEHF+PX
- 我ながら間を空けすぎだった。。。
スレ自体も「望郷」さんからだいぶあいてますねー
もっと書き手がいればいいのに・・・。
- 507 :(・ω・) :07/11/23 00:42:41 ID:cSlBEwhD
- >>506
ずいぶん前に書いたものだけど、あるにはあります・・・。
けどwiki見てきたらレベル高くて、出すの申し訳なくなったorz
- 508 :GoVD:07/11/23 03:16:37 ID:FmNK7IEz
- そんなぁぁw
ワタシが書いているくらいだから全然大丈夫ですよぉ。少なくともワタシはいろんな物語を期待してここを見ているし、是非参加お待ちしてます!
- 509 :(・ω・):07/11/23 11:16:39 ID:UZncRezn
- >>507
くすくす。そこまで書いておきながら、うpなしはないっしょー♪
かもぉん(ノ゜o゜)ノ
- 510 :507:07/11/23 22:15:39 ID:WslEHPtU
- >>508 509
お言葉に甘えて、wikiにうpしてみました。
ずっと前の作品だし恥ずかしいのですが、お茶請けにでもどうぞ。
タイトルは「Wind Climbing −風の往く道− 」です。
- 511 :(・ω・):07/11/26 10:24:44 ID:mBNlgSWv
- >>505
読んできた。
ん〜、冒険者の活躍を書きたいのはわかるのだけど、バス軍が弱すぎないかな。
何故冒険者にあわせて剣で?重火器が得意なバスが?
過去の話ではなく、現在、未来の話なのに、魔法防御の研究をしていないバス軍?
そして、ジュノを占拠しウィン軍を寄せ付けないバス軍より、冒険者の方が組織的
な戦闘をしているのは何故?
などなど、疑問がわきました。
とまあ、色々と思うものはありましたが、メテオは意外性があって面白かった。
今後どうなっていくのか楽しみです。
>>510
中途半端なぁw
こう言うのりは好きなので、早く続きのうPを!
- 512 :GoVD:07/11/26 18:17:16 ID:tG2RFi5S
- >>510
楽しく読みました。続きを〜
>>511
把握に時間がかかるのは(ry
バス軍もそろそろ黙ってはいませんョ!
なんていってもあの・・・
おっと、続きはまた次回!
- 513 :風の往く道 :07/11/28 17:54:51 ID:SkMPaQzz
- 「Wind Climbing −風の往く道− 」2話をうpしました。
直しながらうpしてるので、なかなか早い更新が出来ませんが、
なんとか最後まで持っていきたいです。
読んで下さった方、ありがとうございます!
- 514 :(・ω・):07/12/03 11:26:06 ID:vZ5H4/7B
- >>513
読んだ。
今後の展開に期待。
- 515 :(・ω・):07/12/03 19:36:00 ID:AVCaEvmc
- >>513
イイヨイイヨ〜
さわやかな感じ
続き期待します!
- 516 :暁のひとみ5:07/12/23 03:14:57 ID:zLuJqsZA
- ようやく途切れた森、その先に見えた王都の隔壁にローファルは息をついた。見回りの
神殿従騎士へ、会釈代わりに片手を上げて王都の城門をくぐる。
ぐるりと首を巡らせれば、曇天を切り取る灰色の城壁を、ぽつぽつとぱらつく雨がさらに
濃い色に染めている。陰鬱で重苦しい空気が水気とともにまとわりついてくるようで、
ローファルはかるく頭を振った。
「まったく変わらんな、この街は……」
「ファルさんは、やっぱり王都の出身なんですか?」
足もとから問う声に、視線を下げる。
「あ? まあな」
見あげてくる娘のまっすぐな黒髪が、濡れてひたいに張りついているのが目に付いた。
払ってやろうとして思いとどまる。
「ファルさん?」
中途半端に伸ばされて止まった手を、不思議そうな顔でリピピが見つめた。
「いや。悪い、何でもない」
思わず苦笑がもれた。子供のようななりでも、タルタル族としては成人しているはずだ。
どうにもひよっこ冒険者だったころの印象が抜けきらないせいか。
「あんた相手に先輩風吹かせるのも、もうここいらが潮時ってやつだよな」
「えっ?」
背を伸ばし、ローファルは何やら話しこんでいるタキとフェッロのほうへと歩き出した。
後ろから、おぼつかない足取りで慌てたようについてくる気配に歩調をゆるめる。歩み
寄る自分たちに気づいた様子で、フェッロがちらりとこちらへ笑いかけ、またタキのほうへと
顔を戻した。
- 517 :暁のひとみ5:07/12/23 03:15:42 ID:zLuJqsZA
- 「それで、だ。俺はこのまま、タキと一緒に教会へ赤魔道士のお嬢さんを連れてくってことで
よかったんだよな?」
生真面目な仕草で、タキが首を振った。
「いえ、ミシェルさんのご実家に挨拶に寄ってから行こうかと思います。場所も確認して
おきたいですし」
「ふーむ、…じゃ俺は、彼女を連れて、一足先に教会へ行ってるよ」
フェッロの提案に、タキがまばたきをした。
「いいんですか? そんなに時間はかからないと思いますけど」
「ああ。お嬢さんを連れて雨の中歩き回るのも難儀だろうしな」
告げて、腕を差しだしたフェッロに、ミシェルがつないでいたタチナナの手をそっと離した。
「姉に事情を伝えましたら、私も教会へ参りますので……」
心配そうにタチナナを見ている様子に、空いた片手でフェッロが頭を掻く。
「だーいじょうぶだって、お嬢さまのエスコートはちゃんとさせていただきますよ。実家に
顔を出すのも久しぶりなんだろう。何だったら、そのままそっちに泊まってきちゃどうだい」
「そういうわけにはいきません」
「まじめだなあ、あんた。一日くらい帰還の報告が遅れたところで、どうってことないだろうに」
「ご報告もありますが…泊まりがけになるのでしたら、タチナナさんには付き添いが
必要になるでしょうから」
「ああ、まあ、それもそうか」
納得したようにうなずくと、フェッロは娘の手を引いて歩き出した。
「それじゃ、また後で」
肩越しに軽く手を振った背中は、あっさりと遠ざかり、人の間に紛れて消えた。
- 518 :暁のひとみ5:07/12/23 03:16:39 ID:zLuJqsZA
-
果物やら香辛料やらを並べる屋台の続く門前から、槍兵通りを抜けてしばらく歩く。
慣れた足取りで先導するミシェルに案内された先、瀟洒な邸宅が並ぶ一画に彼女の実家は
あった。門番に取り次ぎを願って間もなく、黒髪を後ろになでつけた家令らしき身なりの男が
飛んでくる。
「久しぶりですね、ガディウス」
「これは、ミシェルお嬢さま! …どうなされたのですか」
相好を崩して迎えかけた男が、背後のローファルたちを目に留めた様子で表情を改めた。
「ジュノへ滞在していた間に、大変お世話になった方たちです。こちらのリピピさんには、
私の不心得のせいで大けがまでさせてしまって……」
疲労で顔色を失くしていたリピピが、自分へと向けられた視線を受けて姿勢を正した。
丁寧な物腰で会釈をしてみせた娘に、男が表情をくもらせる。
「それは……お加減もよろしくないようですな」
「もうお一人、その折に死者の呪いを受けた方が教会の施術を必要としていて、みなさん、
しばらくサンドリアへ滞在することとなりそうなの。ですから…」
「当家へお招きさせていただくと、そういうことですかな」
言葉を引き取った男に、ミシェルが屈託のない笑顔を見せた。
「ええ、そうです。ガディウスは話が早くて助かるわ」
男が、わずかに苦笑する気配を見せた。
「お小さいころからお育てした、他ならぬお嬢さまのことですからな。しかし、その…今は」
声をひそめた相手に頓着せず、ミシェルは熱心に続けた。
「早く休ませてさしあげたいんです。姉さまはいまどちらに…」
- 519 :暁のひとみ5:07/12/23 03:17:25 ID:zLuJqsZA
- 「フェミトなら出かけているぞ」
命じることに慣れた声音が、ミシェルの問いをさえぎった。
「私も彼女に用向きがあってきたのだが、ちょうどよい折に来ていたようだ。あるじの
居ぬ間に小汚い冒険者を連れ込もうとはどういう了見かな、我が親愛なる従姉妹殿」
ミシェルの背が緊張で強ばった。吹き抜けのエントランスホール、その二階部分を囲む
回廊からホールへ続く階段を降りてくる者がある。
「……ご機嫌よう、ローラントさま。この方たちは、私の命の恩人なのです。そんなふうに
言うのはやめてくださいますか。それに姉さまなら、けしていけないとはおっしゃらないでしょう」
ミシェルの言葉に、貴族然とした男が険しかった表情をわずかに動かした。
「そうか、……お前を助けたというのなら、そのことには礼を言わねばなるまいな。だが、
冒険者風情と同席して時を過ごしたいとも思えん。こちらは急ぎの用向きでもない。日を
置いて出直すとしよう」
開いた大扉を支えていた家令がそのまま見送りに出ようとしたのを片手で制し、靴音高く
男は立ち去った。
あっけに取られてその背を見送っていたローファルたちに、心底申し訳のなさそうな声が
かかった。
「すみません。我が家なら大丈夫だと言っておきながら、不快な思いをさせてしまって……」
「ああ、いえ、むしろ、あの方のおっしゃりようこそがある意味当たり前というか……っと、
こちらこそ失礼を」
珍しい失言をもらしたタキに、ミシェルは弱々しくほほえんだ。
「いいえ、無礼をしましたのはこちらです。けれど、できれば、ローラントさまを許して
さしあげてください。……ロンフォールでの道行きでお話ししていた、冒険者として亡くなった
従姉妹の…兄に当たる方なんです。歳がずいぶん離れていたこともあって、あの方は、エセルの
ことをそれはそれは可愛がっていらしたから」
- 520 :暁のひとみ5:07/12/23 03:17:43 ID:zLuJqsZA
- 「エセル?」
聞き返したタキに、従姉妹の名です、とミシェルが付け加えた。
「あ、いえ、エセルさん…ですか」
「もしかして、ご存じなんですか?」
驚いたように問われて、タキが曖昧に首を振った。
「いえ、知人の名に似ていたので」
「それは……」
ミシェルのことばは、再び開いた扉の重々しい擦過音と、喜色のにじむ呼びかけに
かき消された。
「ミシェル!」
背の高い銀髪の女性が足早に歩み寄る。そのまま、伸ばした腕で彼女を抱き込んだ。
「よく帰ったわ、ミシェル」
「姉さま…」
「ローラントと行き会って、話は聞いている。…先ほどは、従兄弟が失礼をしましたね」
ミシェルの背をかるく叩いてから身体を離した女性は、沈鬱な表情でローファルたちに
会釈をした。
「妹を助けてくださったことに、まず感謝を。この国での用向きが済むまでと言わず、どうぞ
あなたたちの疲れが癒えるまで逗留していってください」
最後はわずかに笑んで、女性は締めくくった。
「……もしその間にバストゥークの情勢などを聞かせてもらえるのならば、私にとっても
喜ばしい限りだけれど」
- 521 :暁のひとみ5:07/12/23 03:22:25 ID:zLuJqsZA
- 毎度、お久しぶりにお邪魔いたします。と言いますか、こちらを覗いてらっしゃる方の
顔ぶれがほぼ変わってしまっていてもおかしくないくらいの間の空きっぷりですね…。
ヴァナでの冒険の合間に自己満足で書いている文章ですが、もし以前より読んで
くださっている方がいらっしゃるなら、最後までお見捨て無くおつきあいいただければ
なによりの僥倖と思っています。
過去サンドリアに大興奮状態の今なら、勢いに乗って続きが…書けるといいな!
- 522 :(・ω・):07/12/26 20:18:11 ID:niDaqKNK
- キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
暁の人乙です!!
無理難題だとはわかっているんですが・・・
続 き 早 く ぷ り ー ー ー ー ず ! ! !
- 523 :(・ω・):07/12/27 14:31:03 ID:bd65iAI/
- 暁キタ━(゚∀゚)━!
ミシェルの姉の最後の言葉が、また謎を秘めてますねぇ。
そして、ふと疑問。
暁とすたんぷらりーは同じ作者様なのかな?
タルでリピピという名前は偶然?
リピピの性格が共通してそうで、同一タルかと想像してマス ( ´艸`)
- 524 :暁のひとみ6:08/01/04 02:28:18 ID:zUNITnpZ
-
「おい、起きれるか」
蝶つがいのきしむ音、重なるように降った声にリピピは目を開けた。
薄闇の中でまばたきをしているうちに、こちらへ歩み寄る気配がある。
寝台に横たわったままで視線だけをそちらへ動かせば、半ばほど開いた扉の
隙間から差しこんだ灯りを背に、背の高い影が見下ろしていた。銀髪のふちが
透けてかがやくのに思わず目を細める。
「ファルさん?」
「晩飯だよ。あんた、今日のところは部屋の方がいいだろうからってな、用意
してもらった」
「ごめんなさい、わたし、寝てしまったんですね。ファルさんはどうしたんですか?」
「俺はもう食ってきた。食えそうか?」
寝台脇の卓に盆を置き、壁のランプをつけるローファルの後ろ姿を見ながら、
リピピは身を起こした。盆に載せられた食事に目を落とす。煌魚の卵を散らした
海鮮サラダに、小麦粉をまぶして焼いた羊肉。湯気の立つパンプキンスープ、
赤い果実が透ける羊乳の寒天。
「多すぎたら遠慮なく言えよ、俺が片づけてやる。こんな手の込んだ料理、そうそう
お目にかかれるもんじゃないからな」
笑い混じりに言われて、リピピも小さく笑った。
「それじゃ、いただきます」
銀の匙ですくったスープを流しこむ。裏ごしはもちろん、生クリームをふんだんに
使ったのだろうなめらかな舌触りだった。
「……おいしい」
「だろ?」
「こっちのお肉もぜんぜん臭みがなくて、香草が効いてるんだと思うんですけど…」
野宿も多い職業柄、調理の心得がある冒険者は多い。自分もその例に漏れず、
食材についてはそれなりに詳しいつもりだったけれど。
「セージ、じゃない…マージョラム、ううん、ホーリーバジル、ぜんぜん違う」
一般的に使われている臭み消しの香草のどれとも違う風味に、考えながら肉を
噛みしめていると、隣から種明かしがあった。
- 525 :暁のひとみ6:08/01/04 02:29:42 ID:zUNITnpZ
- 「タブナジア群島にしか自生してない稀少な香草なんだとさ。あっちとは最近
行き来が始まったばかりだからな」
「タブナジア、ですか…」
それは、近年まで失われたと信じられていた地の名だ。今はまだ、ジュノ当局からの
支援やごく一部の冒険者の渡航があるばかりの未知なる場所。
卓の横に椅子を引き寄せ腰掛けたローファルを見上げる。
「行ってみたいって顔してるな」
「それは、わたしだって冒険者の端くれですから」
「ふん」
ローファルが立ち上がった。壁際の荷物へ向かった背中に続ける声は、知らず小さくなる。
「……まだ、力量不足なのはわかってます」
革製の鞄を一つ抱えて戻ってきたローファルが、どっかりと椅子に座りなおした。
「食い終わったなら飲んどけよ、モンブロー先生が持たせてくれた栄養剤だ。
……ああそうだ、これも渡しとく」
「はい?」
鞄から引っぱり出されたのは薄緑のガラス瓶と、布をかたく巻き付けられた細長い
包みだった。自分が腕を広げても余るくらいの長さがある。
端を少しほどいてみて、まばたきをする。
「片手剣ですか?」
「なんだ、見覚えないのかよ」
うなずくと、ローファルが怪訝そうな顔をした。
「タチナナのじゃないのか? ジュノで倒れてた時に側に落ちてたって話だが。抜き身
だったから、鞘代わりの包帯を巻いたまま忘れてたって、先生の使いがあとから届けて
くれたんだ」
「いいえ、タチナナの剣なら、要塞にあったのをタキさんが持ち帰ってくれていましたし……」
- 526 :暁のひとみ6:08/01/04 02:30:16 ID:zUNITnpZ
- 「まあ、タチナナが本調子に戻ったら訊いてみりゃいいさ」
手渡された瓶の封を切って、リピピは口を付けた。
「そうですね……ッ!」
とっさに口元を押さえる。吹き出すのをこらえたかわりにむせこんだ。含んだ
液体を飲み下して、どうにか顔を上げる。
「こ、これ、…」
「おい、そんなにひどい味なのかよ」
伸びてきた手に、背中をさするのと叩くのとその間のような力で押されて、
リピピは息をついた。
「なんというか…生臭くて、苦くて、ちょっと甘くて…」
「……まあ、良薬口に苦しって言うしな」
今度はむせないように気をつけながら、ゆっくりと飲み干す。空になった瓶を
置いたところで、それを載せた盆ごと取り上げてローファルが立ち上がった。ランプを
消して扉へ向かう。
「明日は教会に行かなきゃならないだろうし、ゆっくり休んどけよ。…それから」
開いた扉の前で、廊下の灯りにふち取られた影がふり返った。
「さっきの香草、リヴェーヌ岬ってところで採れるんだそうだ。あんたが行くって
時には誘ってくれよな」
投げられた言葉の意味を考え、勢いこんで返事をしようとした時にはすでに扉は
閉められていた。
知らず上気していたほおを押さえて、毛布の中にもぐりこむ。先ほどまで眠って
いたのだ。寝つけるだろうかと考えたのもつかの間、すうっと意識が沈んでいく。
小さく息を吐いて、リピピは眠りについた。
- 527 :暁のひとみ6:08/01/04 02:37:07 ID:zUNITnpZ
-
明けましておめでとうございます。
今回はそんなに間をおかずにお邪魔できました!
読んでくださっている方がいらっしゃると思うと俄然馬力がかかるお調子者です。
ところで、自分以外の誰にもわからない程度の自己満足で抑えておくつもりだったのが、
うっかり伏線じみた書き方になってしまっていたので……書き手が作中で伝えきれずに
補足するというのは読んで下さっている方の興を殺ぐことこの上ないと承知の上で、一つだけ。
ミシェルの姉さん、及び前の方でちょこっと話に出てきたバストゥークにいる彫金師の親戚の
二人だけは実在するNPCです。勢いでやりました。今は反省してます。
ああ、望郷の作者様のように、さりげなく世界設定を活かした文章が書けるようになりたい…orz
至らないところの多い書き手ではありますが、今後も精進を重ねる所存です。
どうぞ本年もよろしくお願いいたします。
>>523さん
すたんぷらりーのリピピちゃんと名前が同じなのは、びっくりな偶然の一致ですね。
私も以前から楽しみに読ませていただいているので、かわいらしい彼女との共通点に
密かに喜んでいたりするんですが……!
- 528 :(・ω・):08/01/10 23:35:43 ID:90JPAtUQ
- 次スレたてました。
涙たちの物語11 『旅の軌跡』
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1199975642/
- 529 :すたんぷらりー 1/3:08/02/03 20:13:35 ID:qoVMKnIL
- 5.
ジュノ上層のそのお店は雑貨屋さんらしく、いろいろな商品が置いてあった。
お花の近くではなく、つるはしとかのちょっと無骨な道具に紛れてロランベリー
が置いてあるのはちょっと不思議な光景だと思う。
けれど、それで味が変わるわけではないし、並べてあるロランベリーは摘みたて
なのかとてもつやつやしていて、おいしそうだ。
お花が少し気になったけれど、ちょっと奮発してロランベリーを多めに買った
から、手持ちが心許ない。
だから、次の楽しみに取っておくことにした。
欲しいものを全部買い、次にここに来るとき――きっと大人になってから、
自力でがんばって来るのだろう――の楽しみもできたなぁとうきうきしながら
外へ飛び出す。
ここが故国ではなく、余所の街で、そして故国ほど子供にとって安全な街じゃ
ないってことは頭からすぽんと抜け落ちていた。
ぐいっ。
飛び出た瞬間に、誰かに口を押さえられた上で抱きかかえられた。
何が起こったのかわからず、頭が真っ白になる。
「こいつです。こいつ、下層の宝石屋でかなり買い物してたから
金もってるはずです」
下卑た声。
まさか……と思う。
「ふーん、タルタルの子供なら好き者に高く売れるし、親から
身代金も取れるし、一石三鳥だな」
勝手なことを言うな!
といいたいが、口を押さえられて声が出ない。
間違いない、こいつら盗人で人さらいだ。
- 530 :すたんぷらりー 2/3:08/02/03 20:14:09 ID:qoVMKnIL
- じたばたと暴れるが、子供の力で大人を振り払えるはずがない。
実は簡単な呪文なら扱えるのだが声が出せなければ詠唱が出来ない。
男たちは、私を彼らの隠れ家に連れ去るつもりらしく、じたばたと暴れる
私を押さえ込み、移動を始めた。
どうしよう。
どうすれば良いのかわからなくなって、恐怖で泣き出しだしそうになる寸前、
お兄さんののんきな声が聞こえた。
「ちょっと待て、その子をどこに連れて行くつもりだ?」
場違いな程にのんきな声。
けれど、どこか安心させる響きのある柔らかな声。
きっと助けてくれる。大丈夫だ。
私たち二人の後をつけてきたのに、男たちはまさかお兄さんに
邪魔をされると思っていなかったらしい。
先ほどの感じだと、もう何回も同じことをやっているみたいなのに
変な話だ。
「お、おい」
「そうだ、町中じゃ冒険者の抜剣は禁じられている」
「おう、全員でやれば勝てるぞ」
「そうだ、相手は肉弾戦の専門家じゃない」
ひそひそと相談する。
それなりに腕に覚えのある彼らは、お兄さんを倒して私を
連れ去るつもりらしかった。
どうしよう。
こんな人たちに負けるほどお兄さんは弱くないと思う。
でも、私のせいで怪我をしたら……
「あほかいな」
思考がぐるぐると廻り、迷路の中に落ちそうになったとき、
お兄さんのあきれたような声が男たちの声をうち消す。
「ただのごろつきに負けるほど、怠けちゃいねーつもりだが?」
自信たっぷりに告げる声。
- 531 :すたんぷらりー 3/3:08/02/03 20:14:26 ID:qoVMKnIL
- いきり立った男たちとお兄さんが相対する。
緊張感が限界に達し、ギリギリで保たれてい引き延ばされた糸の
様な均衡がぷちっと音を立てて弾けた様を見た気がした。
そうして、お兄さんと、男たちが激突する寸前。
べちゃり。
捕まえていた男の手が一瞬ゆるんだので、逃げようとした私は
思い切り転んでしまった。
柔らかなローブ、その胸元の辺りが赤く染まる。
え?と思う。
痛みは無い。
だが、鮮やかな赤は見る間に広がっていく。
まるでナイフで心臓を傷つけたときのように。
「ばかっ、商品に傷つけてどうする」
首領格らしい男の怒号が飛ぶ。
「ち、違う。俺のせいじゃ」
私を捕まえていた男が焦る。
その隙をお兄さんは見逃さなかった。
いつ唱えたのだろう?と思うぐらいその詠唱は早かった。
「スリプル」
男たちの騒ぐ声のなか、発動の言葉はとても鮮やかにその場に響いた。
私を捕まえていた男が、くたりと倒れる。
お兄さんに襲いかかろうとしていた連中が、一瞬動きを止める。
たぶん、倒れた男の代わりに私を捕まえるか、そのままお兄さんを襲うか迷ったのだと思う。
そこへすかさずお兄さんのよく通る声が再び響く。
「スリプル」
そうしてまた、一人昏倒する。
同じことを3回繰り返し、男たちはあっという間に全員昏倒していた。
<つづく>
- 532 :すたんぷらりー:08/02/03 20:16:44 ID:qoVMKnIL
- 前回より間は空かなかったけれど、またまた久々です。
たぶん、この次はこれほど空かないと思います。
>>523さん
すでに暁のひとみの作者さんがおっしゃっているように、別人です。
名前の一致は偶然です。
素敵な偶然ですが、はたしてこのリピピが成長したところで、暁のひとみのリピピさんみたいに
なれるかどうかは謎ですねw
- 533 :すたんぷらりー 6. 1/4:08/02/12 23:42:23 ID:vY/2wFV2
- 6.
あまりにも鮮やかな手並みに怖さを忘れほうっと見惚れる。
「まあ、なんだ。単純な連中でよかったわ。スリプルが良く効く」
男たちを縛り上げながら、お兄さんがこちらを心配そうに見やる。
「大丈夫か?」
真っ赤に染まった服を見て、お兄さんは、私に強めの"ケアル"を
かけてくれた。
男たちがとらえられて気がゆるんだのか、涙が出てきてしまった。
しくしく泣いていると、お兄さんは怖がったのと勘違いしたのだろう。
「怖がらせちまったな。宿まで送ってく」
優しい声で告げた。
確かにそろそろ、夕食の刻限だ。それに、ここから一人で宿へ
向かうのは迷子になりそうだし、そうでなくてもちょっと恐い。
だけど、泣いてしまったのは怪我や恐いことが原因ではなかった。
というか、怪我はしていない。
冷静さから察するにお兄さんも私が怪我をしていないのは気が
ついているのだろう。
たぶん、ケアルは私の気を軽くするためだ。
「あ、ありがとうございます。でも、怪我じゃないんです。
恐かったのもちょっと違います」
「ん?」
お兄さんが私の言葉にはてと首を傾げる。
確かに、意味不明だろう。だけど、お構いなしに思わず叫んでいた。
「クピピ姉様へのおみやげのロランベリーがぁぁ」
ウィンダスで買うよりは遙かに安価とはいえ、私のお小遣いでは
結構痛い出費だったのだ。
でも、いつもお世話になってる姉様の好物だからと奮発したのに。
後は帰るだけだから、鮮度も問題ない。
それなのに!
その、奮発したロランベリーが見るも無惨につぶれていた。
怪我はしなかったけれど、ロランベリーの果汁で服は真っ赤だ。
恐いのとは少し違う、でも何とも表現しづらいもやもやが束となって
また、涙が出てきた。
- 534 :すたんぷらりー 6. 2/4:08/02/12 23:43:13 ID:vY/2wFV2
- お兄さんは一瞬きょとんとすると、それからくすくすと笑い始めた。
しばらく待ったが笑いやむ気配はない。
「あ、あの?」
さすがに不安になって声をかけると、お兄さんは笑いながら、私を肩に抱え上げて
ばさりとマントをかぶせると、中央の階段に向かって歩き始めた。
「悪い、うっかりツボにはまっちまった。ちょっと寄り道してから宿に戻ろう」
まだ少しひくひくしている。
「え?」
寄り道という言葉の意味がわからず問い返すと、お兄さんは私の
胸元を指さし、のんびりとした声で指摘した。
「そのまんまじゃ、引率の人がびっくりするぜ」
「あ!」
確かに、怪我じゃないにせよ血にも見える赤さは目の毒だ。
どうした物かと考えているうちに、各層を結び、冒険者居住区の
入り口でもある回廊についていた。
お兄さんはそこで知り合いらしき人から包みを二つ受け取ると、
片方を私に渡す。
「ローブだ。たぶん、もとのとあまり変わらんと思うが」
確かに、同じような品だ。
でも、明らかに新しい。
「これ、もしかして競売で買ってくれたんですか?いくらでした?」
「いんや、あいつ裁縫の修行してて、在庫ありって言ってたから
譲ってもらった。金はいいよ」
「え?でも……」
「大丈夫、元手ほとんどかかってねーから」
「でも」
結局、大丈夫と押し切られてしまい、私は真新しいローブを
纏って、宿へ戻ることになった。
真っ赤に染まったローブ含めて、母様になんて説明しよう。
夜の帳が降りても、柔らかな街灯と店々の明かりに照らされて、
昼とさほど人通りの量は変わらない。
これもまた故国では、あまり見ない光景だ。
回廊から競売の方へ出れば、宿はもう目の前だ。
- 535 :すたんぷらりー 6. 3/4:08/02/12 23:43:36 ID:vY/2wFV2
-
「あ、待った。ほれ」
宿に入る前に、もう一つの包みを渡される。
紙袋の中を覗くと、入っていたのは、みずみずしいロランベリーと、
名前を知らない小さな花。
「これ」
言葉に詰まる。
お兄さんが、悪戯を成功させたといわんばかりににやりと笑う。
「今日があんたにとって良き日で有るように、って言ってももうあと何時間かだけどな。
けど、せっかくの旅が嫌な思い出で締められるのは嫌だろ」
うまく言葉が出せない。
必死になって言葉を探す。
「ありがとう」
ようやく出た、そんなありふれた言葉にお兄さんはさらに満足げな笑顔になった。
そうして、すっと真顔になると、少し大仰な仕草で彼は礼をした。
「良い旅を!」
思わず言い返す。
「明日にはウィンダスに帰りますよ?」
ちちちと指を振り、言い返すお兄さん。
私が言うのも何だけど、結構子供っぽい。
「家に帰るまでが遠足です」
もう一度頭を下げ、礼を言う。
そうして、私はお兄さんと別れた。
冒険者にしては妙に気の良い人だったと思う。
普通の冒険者はここまで、通りすがりの子供の面倒など見ないだろう。
もっとも、私はタルタル族だから、実年齢以上に幼く見られていた可能性は否定しない。
宿へ入ると、はぐれたことをしかられるでもなく、そのままご飯になった。
少し集合時間から遅れていたのだけれど、お兄さんがちゃんと連絡していてくれたらしい。
そんな気遣いを感じ、やっぱり自分は子供なのだと実感する。
大都会の高級な宿なだけあり、ご飯はとても豪華だった。
他の皆は最後の夜ってことで、いろいろ話をしていたみたいだけれど、
私はベッドに潜るとすぐに眠ってしまった。
夕方の騒動で疲れていたのだろう。
恐い夢を見ることはなかった。
そう、スタンプラリーのことを思い出す時、いつも最初に思うのは、このほんの
数時間の出来事のことだ。
- 536 :すたんぷらりー エピローグ (4/4):08/02/12 23:44:29 ID:vY/2wFV2
- エピローグ
ロランベリーはおみやげとしてクピピ姉様に渡し、とても喜んで貰えた。
ローブは、小さくなって着られなくなった今も箪笥の奥にしまってある。
小さな花は、押し花にしてしおりにした。
いつでも、このささやかな旅の大きな思い出を振り返ることが出来るように。
花の名前は今も知らない。
もったいない気がして結局未だに調べずにいる。
見つめるたびに、もらうのは未来へのあこがれ、そして勇気。
机の上、積み重ねた本の上に無造作に乗せた押し花のしおり。
小さな旅の、のこしたもの。
いつのまにか花の色は褪せたけれど、いつまでも色褪せぬ大切な思い出。
それは、まだ、自分の周りの小さな世界のことしか知らなかった、子供の頃の話。
<fin>
- 537 :(・ω・):08/02/12 23:55:51 ID:vY/2wFV2
- 予告通り、あまり間をあけずに書き込めました。
ようやく、最後まで行き着きました。ちょっとほっとしてます。
プロローグ投下(06/02/12(日) 21:13:00)から実に2年。
小ネタのお話のつもりが、期間的になんだかやたらと長く掛かってしまいました。
(実際、「ねがいごとのはなし」や「歌う花」よりファイルサイズ的にはちっさいです)
なお、新すれ稼働済みですが、梅のためこちらに書き込みしました。
ちょっと時間の立ちすぎた物語ですしね。
次にお話を書き込めるのがいつになるかは、わかりませんが、
とりあえず、「小ネタは、書き上げてから書き込む」を心がけます。
もし見かけたら、これに懲りずにおつきあいくださいませ。
452 KB
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