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涙たちの物語10 『旅の行き先』

1 :(・ω・):06/05/09 07:22:35 ID:38OC3SEF
 ヴァナディールを舞台にした物語を語るスレです。
 あなたの中にあふれる物語を聞かせてください。
 
 前スレ:
  涙たちの物語9 『旅の果てに』
   http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1123780223/
   
 倉庫等(現役稼働中):
 (Wiki)http://kooh.hp.infoseek.co.jp/
 
 歴代スレや旧倉庫は>>2あたりを参照。
 次スレは、400k越えたあたりで、宣言→立て→告知を願います。
 ※この板の転送量限界は512kなので、早めに対応しましょう。

35 :The Phantom Pain:06/07/26 23:08:39 ID:pLYZ1c91
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新34話をupして参りました。

>>34=ガルカのコックさん
今回は早めにupできました。楽しんでいただければ幸いです。
リンクから飛べないとのことですが、
確認画面のアドレスを踏んでも飛べないのでしょうか?
アドレスをクリックすると、広告がたくさん張られた確認画面に一度飛びます。
その画面の中央あたりに小さく、確認のアドレスが表示されているので、
もう一度そこをクリックしてください。
それで飛べなければ、ちょっと私には分からないので、
どなたか詳しい方に説明をお願いしたいところです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


36 :(・ω・):06/08/11 21:27:06 ID:OKMOuVvt
Phantom Paink来てた!

37 :(・ω・):06/08/15 11:24:25 ID:bKWkiNXS
ヽ(*´Д`*)ノ 剣団も来てたよウワーイ

38 :The Phantom Pain:06/08/26 00:22:33 ID:LbXxN2J6
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新35話をupして参りました。
1ヶ月お待たせさせてしまいました、ご容赦ください。

>>36さん
また来ました。
楽しんでいただければ幸いです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


39 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:26:13 ID:zeNngbcx
シャクラミ地下迷宮

ミストが釣りをしていた。
別に魚がつれなくてもよかった。
トライラマイでの出来事を反芻しながら、思う事はたくさんあった。

逃げる事を、選択したミスト。
ルークはそれに付き合ってくれているけれど…
ルークは本当は闘いたいんじゃないだろうか。
あの、敵と。
ミストの胸に、広がる思い。
ぽちゃん。
と、水面に小石が転がり落ちて波紋が広がる。

はじめは小さな石つぶて一つが起こした波紋なのに、
いつのまにか大きくなりすぎて
自分の手では止められないような影響を
あちこちに与えてしまいそうで。

何より、生きることを願った自分は
戦いの恐怖をもう思い出したくは無くて。
戦いの中にある多くの死を、見すぎて。
両手からこぼれ落ちてゆく、救えなかったいくつもの生命。
それを見続ける事が、ミストには耐えられなかった。
クン。
竿がひかれる。
が、ボンヤリしていたミストは、竿を上げた時には餌だけ奪われていた。
「ぁ…」
ふぅ、とミストの重い吐息。
また、水面にぽちゃんと小石が落ちた。
波紋が広がる。
「ん?」
と振り返るとタルタル族の青年がパタパタとミストの後ろを走っている。
そして、岩肌を見ては、吐息をついてまたパタパタと走る。
「どう、したの?」
思わずミストは声をかけた。
自分のついた吐息は棚に上げても
他人のついた吐息が気になってしまう。
ミストはそんな人間だった。


40 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:28:21 ID:zeNngbcx
「あ、すみません。釣りしていらっしゃる後ろでバタバタしちゃって」
「ううん。釣りは別に…。気晴らしだからいいんだけど。
何か探しているのかな?」
「ええ。いい採掘ポイントを探しているんですが。これが中々…」
疲れたようにぺたんと座って吐息をつくタルタル族に
ミストは笑った。
「もしよければお茶を一緒に飲んで休もうか」
ミストは荷物の中から茶葉と茶器を出し、コポコポとウィンダスティを入れる。
「ありがとうございます」
タルタルはミストの足元にきて、はぁ。ともう一度吐息をついた。
地下の湿った空気の中に、ウィンダスティの香りが広がる。
「どうぞ。熱いから気をつけて」
ミストはウィンダスティとジンジャークッキーをタルタルに差し出した。
「あ、ありがとうございます」
受け取ったタルタルはクッキーをこりこりとほおばり、嬉しそうに笑う。
どうやら、お腹もすいているようだった。
「採掘師ってわけでも、なさそうだね」
ミストの言葉にタルタルはクッキーを咽喉に詰まらせた。
「ムグ、んっ!ど、どうしてわかるんですか?!」
ミストは柔らかく笑んだ。
「手が、ね。採掘師の手じゃない。剣を握る手だね」
「え?」
タルタルは自分の手をじっと見る。
「前に山師さんの手を見たけど、剣士の手とは全然違う所が硬くなっていたから」
手にいくつもある硬くなった所は、剣士特有のもの。
「たははっ。ばれましたか」
「剣士さんが、採掘?」
「ええ、まぁ。というか、探しているんです」
「何を?」
「竜の卵です」
タルタルは自分の手を見て、深く笑った。


41 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:30:27 ID:zeNngbcx
「竜の卵…?」
「ええ。ぼくは竜騎士になりたくって。
戦士や忍者も極めたつもりだったんですけど…。
自分の竜が欲しいのです」
「竜騎士…」
ミストの言葉にタルタルは大きく頷いた。
「そう。竜騎士です。
竜は忠誠を誓う獣です。
卵を見つけたものを生涯の主人とし、2人の主人を持たない。
ぼくはそんな竜とヴァナデールを旅をしたくて…。
ぼくの竜の卵を捜しているんです。
シャクラミから採掘できるって聴いたんですが
これが中々…採掘なんかはじめてでして、難しい」
タルタルは眉間に皺を寄せた。
「竜と供に闘う騎士。
獣を操ったり神獣を呼んだりできるジョブはあるけど…」
ミストの呟きに、タルタルは身を乗り出した。
「竜騎士は違うんです。
竜と供に生きることができるんです。
ずっと一緒にそばに寄り添っていてくれるんです!
その言葉に惹かれちゃって」
てへへっと笑い
ふーふーとウィンダスティを冷まし、うまそうにタルタルは飲む。
「いいね」
ミストの言葉にタルタルは頷く。
「育ててみたいんです。
ぼくの、竜を。
そりゃ竜騎士は、街で生きるのはむつかしいって聞きますけど
強いし、カッコイイし
何より供に冒険する仲間がいるのは、いいです」
「供に…冒険する、仲間」
ミストは遠くを見る。

42 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:33:09 ID:zeNngbcx
そして、首をかしげた。
「竜は本当に主人を裏切らないの?」
ミストの言葉にタルタルは大きく頷く。
「そう、聞いています」
「でも、もし主人がどうしようもないような主人だったら?
冒険を辞めちゃったら?」
ミストの言葉にタルタルは
ん〜と眉間に皺を寄せて悩んだ。
そして、悩みながら口を開く。
「どうでしょうね。
ぼくにはわかりません。
ぼくもいつか冒険を終える日がくるかもしれない。
竜にふさわしい、主人ではいられないかもしれない。
でも、ぼくは竜に恥ずかしくない生き様を見せるつもりだし
竜に、供に生きていきたいと思ってもらえるように
努力するつもりです」
「………」
「ぼくとぼく以外の生き物。
二つの命があったら反発する事もあるだろうし
お互いに考えや意思が違うかもしれない。
でも、ぼくはお互いを尊重したい。
自分を殺さず、竜の意思も尊重したい。
そのために仲良くなって、お互いの気持ちがわかるようになりたい。
そんな風に竜を育てたい。
人の付き合いも、そうじゃないですか?
なんて…たははっ。
竜に意思や心があるのか、謎ですが。ね」
パクッとジンジャークッキーを口の中にほおりこんで
タルタルは言った。
「尊重しあう…か。いい言葉だね」
ミストの言葉にタルタルは笑った。
「竜と一一緒にヴァナデールを見ます。
ぼくは。
そのために竜の卵を捜しているんです」
タルタルは立ち上がりクッキー屑をはらった。
「じゃ、また僕の竜の卵を捜してきます」
タルタルは手を振って駆け出していった。

43 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:35:48 ID:zeNngbcx
ミストはシャクラミの天井を見上げる。
「ぼくは…ルークに甘えてばかりなのかもしれないな」
ぽろりと落ちた言葉に、涙があふれた。
いつか、ルークは闘うかもしれない。
あいつと。
そのときミストは親友として隣に立てるか…。
生きて残れるのか。
自分のバックを見る。
いくつもの楽器が入ったバック。
今までサポートジョブとしても、いわいる本職のジョブはつけなかった。
本当なら、ミストの本職のジョブをつけたほうが、
どんな冒険も危機も楽に乗り越えられたのに。
「回復魔法…錆びついちゃったかな」
ミストは小さく呟いた。
素性を知られたくなくて、本職のジョブから遠ざかった。
ルークはその事について何も言わなかった。
詩人としてのミストをあるがままに受け入れてくれた。

二人という事。
一人ではないという事。
ミストの意思だけではなく、ルークの意思も尊重して旅をすること。
当たり前の事なのに、分かり合っているとおもって
侮っているといつか手痛いしっぺ返しを喰らうかもしれない。
「いつか、のために。覚悟と準備は必要…なの、かな」
ミストは震えた。
目を閉じる。
戦いの日々は今のミストには記憶だけでも辛すぎた。

追記

小さな竜が長い首をかしげるようにタルタルを見る。
「ええと、竜の食事は…んと。
ベットはこんなカンジでいいかな?
お前は今日からぼくの家族だよ」
タルタルが差し伸べる手を
生まれたばかりの竜は気持ちよさそうに目を細めてうける。
また、はじめから。
故郷のサルタバルタから、修行の日々が始まる。
でも、歩む道のりは一人じゃない。
「一緒に、頑張ろうな」
タルタルの言葉に竜は頷いた。―ような気がした。
タルタルは竜の光る青い背を撫でて、そして自分のベットに入った。
濃い紫紺のアーティファクトと長い槍を手にする時も
傍にはこの竜が一緒に飛んでいることを祈りながら
タルタルは気持ちのよい眠りについた。

                   END


44 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:39:43 ID:zeNngbcx
お久しぶりでございます。
wikiの読み方がわからなくて、過去を見つけられなかった私です。
シャクラミからだったと思うのですが。

少しずつ過去を出しながら、またぽつぽつと書いて行けたらよいなと
思っています。

スレを守ってくださる飲み手の皆様
書き手の皆様、ありがとうございます。
新しい方の作品も楽しみにしています。

                N


45 :(・ω・):06/08/31 09:50:59 ID:MtFSfyCH
(*´Д`*) お疲れ様です いいわぁ

46 :(・ω・):06/09/03 17:24:37 ID:u8Se/G/g
初めて投稿します。一本書き上げたら、いてもたってもいられなくて。
お目汚し失礼します。

47 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:27:31 ID:u8Se/G/g
『 倉庫たちの詩 』

それは、冒険者と呼ばれる存在が、世界を巡り始めた黎明の時期。
各国に競売所と呼ばれるものが作られ、物資の流通が勢いを増し、その一端を冒険者たちも担うようになった
時、一つの問題が彼らを悩ませることになった。
冒険には、資金が要る。
地に満ちる数多くの危険から己が命を守るには、力量に合った装備や武器、薬品や糧食など、およそ想定し
うる限り、そして背負える限り携えなくてはならない。
よって、金策は冒険者として当然の素養と言えたが、その為に割く時間もまた貴重であり、心の翼は彼方を
駆けてやまなかった。

やがて、ある存在が生み出された。
それは「冒険をしない冒険者たち」だった。彼方に旅立つ彼らの代わりに、三国にあって彼らを支え、手助けと
なる者達。
それは冒険者の身内であったり、契約を結んで金策の代行を務める者であったりした。
ある者は地元の合成ギルドで技を磨き、その職をもって日銭を稼ぎ、ある者は家庭菜園を設け、収穫をもって
糧を得る。

そもそも当初の彼らの存在価値は、彼らに支給されたモグハウスの余ったスペースに、旅に出た冒険者の
使われていない装備などを預けるためであったので、揶揄もこめてか、「倉庫」と呼ばれることが多かった。
しかし、侮るなかれ。
多くの場合、彼らは三国間の個人輸入も行い、競売所を賑わすことも生業としていた。
その働きは冒険者達の更なる活躍の一助のみならず、やがてヴァナ・ディール全体の経済にまで影響を及ぼ
すこととなっていく。
冒険者と倉庫たち。
この二つの歯車が、世界を回す原動力の一つであると、否定できる者はいないだろう。


48 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:29:41 ID:u8Se/G/g
第1話 渡りの風


アトルガン皇国。
彼の地で言う「中の国」より辿り着いて、既に幾月。
いや、うちの「社長」に言わせれば、赴任だっけか。
(ここまで来る予定なかったんだけどなあ……)
毎日暑いし、多くの荷物を運ぶ関係もあって、私はいつも水着で走っていた。
気に入っているし、赤い民族衣装のようなこの服は意外にこの街では浮かないので、誰も文句をつけることも
ない。むしろ、親衛隊だか不滅隊だかの方がよっぽど奇天烈で派手なのだ。
それらにふんだんに使われている金糸なんか見ると、一着でどんだけ使ってるんだろ、とつい皮算用したくな
るのは、仕入れ担当の性かもしれない。

私は、俗に「倉庫」と呼ばれる者だ。
冒険者の肩書きは持っているが、その資格を利用して他の冒険者に雇われている。
違法ではないが限りなくグレーゾーンな存在らしい、と誰かが言っていたけど、危ない事はしなくていいし、気
楽に稼げるのが気に入って契約を続けていた。
倉庫の管理と、私と同じく「社長」と契約した他の倉庫から送られてくる品物を競売に出したり、自分の任地で
しか手に入らない、あるいは他国より安い品物を買い付けて送ったりするのが、主な仕事だった。
三国の倉庫なら、合成の腕を磨いて師範代にまで上り詰めた人もいるんだけど、面倒くさいし独り身の気楽さ
から、私はジュノ大公国に赴任してた。
だけど、最近国交が復活した西の大国に行ってくれないかな、と社長に頼まれて、ミスラの性分か一つ所に
収まるのが好きじゃない私は、深く考えずに話を受けてしまったのだった。
冒険者レベル1の私の渡航費用、しめて50万ギル。社長太っ腹。
ついでに三国からジュノ大公国まで徒歩るよりも怖い道のりも走破しましたとも、ええ。
おかげでそうそう帰りたいなんて言えやしない。きっと、元を取るまで帰す気もないだろう。

49 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:31:13 ID:u8Se/G/g
ここ、アルザビは職人の街だ。
多くの合成ギルドが店を出し、ここでしか手に入らない素材も競売に並ぶ。ジュノ競売所と連携するようになっ
てからは、遠きライバルともしのぎを削る日々が続いている。
いつものルートを走り、売店を冷やかしていく。いい気晴らしになるし大事なリサーチなのだけど、道行く人々
を見るとやっぱり場違いな気がしてしまうのは慣れない。
ここは高レベルの冒険者が集う街でもあるのだ。
華やかで、重厚で、実戦的で、装備のどれ一つとっても高価だったり、入手難易度が半端ではなかったりする
ものばかり。
冒険者が一番金をかけるのは、命を預ける装備や武器だ。
だから、全身に一財産を纏う彼らが、輝いて見えるのは当然なのだろう。
誇りの色に。
そりゃあジュノ大公国だってそうだったんだけど。こっちは遠隔地の為か、私のようなあからさまな「倉庫」が
あまりいないってことも、身の置き所がない理由の一つかもしれない。

それだけならまだ我慢もできたんだけどと、思いながら次の店に到着。
いつもの売店の前には、質素な姿もちらほら見られる。
それは合成スキルの高い者だけが纏う職人服だ。胸に縫い止められた証が煤け、古ぼけるほど年季と実力を
垣間見せるようで、彼らから少し離れて店員に話しかけたりする。
のだけど。
「や、久しぶり」
「あ、こんちは」
最近ここで会う職人さんだった。エルヴァーンの色男、というには素朴な感じに笑う人なので、割と構えずに
話せる数少ない知り合いだ。
「最近どう?」
「ぼちぼちかなあ」
「僕も」
意味のない会話。彼もうちの職人とスキルは同じくらいらしいので、たまに買い物がバッティングする。
というかそれが出会いだった。

50 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:32:42 ID:u8Se/G/g
「いやあ、僕、原木をダース買いする人って初めて見たよ」
どうやって運ぶの?と興味津々で問うて来た、アトルガン初入国の彼だった。
「……直接宅配に持って行ったら、泣かれるわよ」
サンドリアの木工ギルドの盛況ぶりは有名である。ライバルが多いからこそアルザビで買い付けるのだが、
流石にこれだけの数を揃えられるのは珍しかったのだろう。
あの頃はまだここまで来る職人は少なくて、いろいろ安く買えたんだったけ、と、金勘定から思考が離れない
自分が悲しい。
他の倉庫たちもそうなんだろうか。三国なら二人以上いると聞くから、寂しくないんだろうな…と、思ってしまっ
たことに愕然とする。
送り先としての名前しか知らない、会ったこともない。リンクパールによる連絡も、必要事項のみで終始する。
それでいい、それが契約なんだから。仕事さえすれば後は好きにやらせてもらえばい。
……何を?

朗らかに対応してくれる店員たちとは顔なじみだけど、ただのお使いである自分にどれほどの価値があるんだ
ろうか。
(いやきっと呆れてるだろうな……価格がほぼどん底になるまで粘って、根こそぎ買い尽くす女なんて……)
それが仕事なんだから仕方ないんだけど。
更にそれを宅配で送る苦労を、うちの社長はわかってるんだろうか。
特に最近は。

51 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:33:36 ID:u8Se/G/g
ドーン…ドーンドーン……!!

遠くから響いてくる銅鑼の音に、びくっと尻尾まで跳ね上がる。
「やばい、第一級戒厳令だ…急いで!」
慌てて店じまいを始める店員たちと、必死で取引を成立させる。
蛮族と呼ばれる異種族たちが、はるばる遠くからこの街まで攻めてくるなんて、赴任前に聞いた覚えはなかっ
た。あああ…と思わず耳も下がる。
「あ、市街戦だね」
暢気な彼の声がした。思わず握りしめる手はガッツポーズではない。

(きたきたきたぁーーー!)と街がざわめく。
冒険者の血が騒ぐのだろう、ピリピリしてどこか浮かれてる祭りのような空気の高まり。
報せが走り、じきにこの街には、続々と冒険者たちがやってくるだろう。
貪欲な彼らがこぞって集うほど、皇国からの見返りがあるからだ。
……そして私はこっそりと退場する。店員さん達と同じように。
後はただ、祈る。
(どうか競売長と宅配のおやびんさんと、ギルド売店の店員さんのお友達だけは、連れて行かないでください、
蛮族の神様)
真剣に商売に差し支えるんです、名前も知らないけどどうかよろしく。
祈りながら、我が家へと走る。

無礼千万な祈りが効いたのか、モグハウスが閉まっていた。
「嘘おおおおお」
「いや、いつも閉まることになってるよ? 知らなかったの?」
「警報来たら、出ないようにしてたから…」
いつかはやるのでは、と思っていた事って、必ずやらかすのはどうしてかなあ。
「とりあえずどっか、敵が来ないような所にいこう」
「そんなとこあるの」
「周り見てれば、多分なんとか」
あはは、と力なく笑う彼。もしかして。
「…あんた、装備は」
「うん、買い出し装備なんで」
職人服だけかい。いや、守ってもらおうなんてあんまし思ってなかったけど。
そういえば彼の持つジョブを聞いた事が無かった気がする。
こっち行ってみよう、と階段を上る彼に仕方なく続く。
遠くから、悲鳴とも怒号ともしれない響きが聞こえてきた。

52 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:36:11 ID:u8Se/G/g
剣戟の音。魔法が発動する不可思議な音。理解不能な蛮族の叫び。爆発音。
街の喧噪はすさまじかった。
モグハウスは完全防音だったらしい。たまに腹の底に響くうなりくらいしか聞いたことがなかった私は、完全に
気圧されていた。膝が笑って座り込みそうになる。
「まだ大丈夫、このエリアの将軍が頑張ってる」
返事も出来ない。いつのまにか、彼の手を握ってしがみついていた。
ていうか将軍って何だっけ。
「ごめん、ちょっと無理かな」
静かな彼の声。足下は階段になっていた。
「少し下がって」
冒険者の心得に、素早い身支度があるとか聞いた気がする。
特定の装備の持つ利点を生かす為に。だから彼もそれが出来るのだろう。
瞬く間に彼の身を包む、茶色の…布の服。

「え」
彼の短い気合いがその場に響く。でもそれって、あの、忍者ではなくて。
しかもその装備、色違いでも仕立てが違うものだから、目利きが出来なくては仕事にならないからしてわかる
けど、だけどそれは。
「あんた、レベルは」
「モンク20。サポートジョブはまだ取れてない」
「砂丘行ってこいーーーーーー!! ていうか来るな馬鹿ーーーーー!!」
動転する余り、支離滅裂になった。
「だって冒険に来たんだもの、僕」
そう言って、笑い顔も爽やかに、彼は眼下の地獄絵図に飛び込んで行った。
次の瞬間。
どこから来たのかわからない衝撃に、意識が吹き飛んだ。

53 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:37:48 ID:u8Se/G/g
「皇国のサポートがあるからね、ちょっと戦闘不能になっても大丈夫なんだって、聞いてなかったかな」
「知るかそんなの」
びびっていた自分が情けない。
めでたく蛮族を追い返した冒険者たちの歓声が響き渡る。どのくらい気を失っていたのか、いつの間にか夜が
明けていて、遠くに見える尖塔が赤く輝いていた。
「いやあ強い強い。僕の拳、ぜんぜん効かなかったよ」
負けたくせに、屈託なく笑う彼である。
(効くかよ。最高レベルの冒険者が束になってかかる相手だし)
すっかりやさぐれて座り込んでいる階段は、よく見るといつも通る売店への道だった。
ここが戦場になっていたのか。
振り返り、ぼうっと見上げる先では、売店に群がる人の山。
それは私の戦場だった。

たかが売店の開店待ちと言う無かれ。
瞬間に売り切れる品物の争奪戦にかけては、どんなレベルの相手であろうと、引けを取ったことはない。
全勝無敗とまではいかなくても。
それだけが、私の誇りでも。

「よし」
すっくと立ち上がる。まだ頑張れそうな気がするから、我ながら現金だ。
「そろそろだね」
と彼も立ち上がって言う。嫌な予感だ。
「なんで今の時間よ。あんたには関係ないでしょう」
「あ、うちの社長がね、錬金術の素材買い込んで来いって、ほら」
ひょいと上げた手、そこには私と同じ色のリンクパール…社長言うところの社員証が、あった。
「しゃちょ、お…?」
「二人いれば買い占められるって、もちろん価格見てからだけど…って、どうしたの?」
「なんで言わないのよ!」
「なんで知らないの?」
名前見たらわかるでしょ、いつもの送り先だし。
にっこりと、会心の笑みが憎らしい。

54 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:38:51 ID:u8Se/G/g
送り先。
それが、生きて目の前にいる人の名前だと、何故気づかなかったのか。
我が社のサンドリア支店長にして、木工師範代。彼の称号だった。
「なんでそれでモンク20なのよーーー!」
白門と呼ばれる街を走りながら叫ぶ。
「だって合成だけでいいっていう契約だったから!でもさあ!」
「なによう!」
街を知り尽くし、最短距離を走る私にちゃっかりついてくる馬鹿一名。
「ジュノ担当がレベル1でこっちに赴任したって聞いて、行ってみたくなったー!」
ホントに馬鹿だ。
道理で最近、木工関係の流通が滞ってるって、そういうことか。
「できたらもう一人こっちに置きたいけど、今のとこ他は社長しか来れないでしょ?
だから行きたいって言ったら、あっさり通ったよ」
でも自腹で行けってさ、と息を切らせて笑うのが、なんだか眩しかった。

辿り着いた売店の前で息を整える。
「……せめて、サポートジョブの資格は取りなさいよ」
「うん、帰国したらね」
店員が配置につく。静かに手元を見つめ、書類をめくって何かを確認している。
今日の目的の品物の、販売リスト位置を頭の中でおさらいする。
曜日よし、時間よし。ライバル皆無、いや違った。
「負けないわよ」
「うん、楽しいね」
何がよ。わからない。でも、わくわくしてるのも確か。
「こうして同僚と肩を並べるのって」
……同僚?
思わず彼の顔を見上げた瞬間、カウンターの窓が開いた。
「あれくださいなー」
命をかけた買い物の、第一声がそれか。
完敗。



「異動願い…ぐは、マジ? 後任育てないと駄目かなあ」

55 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:42:55 ID:u8Se/G/g
後書き

心臓ばくばくいってます。いいのかこれ、と頭の中で声が木霊します。
一部のフレならバレる気もします。内緒にしてください。

倉庫たち。メインより好きな気がします。
いろんな生き方とか、自然と性格とか出来てる感じがするのは
気のせいかなと思いながら、こんな物語が出来ました。

56 :(・ω・):06/09/03 21:26:53 ID:o9yxdSi5
>倉庫たちの詩
とても面白かったです! 洗練された文体に、テンポのいい遣り取り。
倉庫が違和感なく一人の人間として生き生きと動いていて、引きこまれました。
自分の操るキャラ達に、物語を持ってプレイできる方だからこそでしょうか。
またそんな物語が一つの形になることがあれば、ぜひ文章として読ませて
いただきたいです。というわけで、下がり過ぎなので密やかにage('д')

57 :(・ω・):06/09/04 12:27:05 ID:8om71SbB
わ−い、久々の2作品だー!
イイヨイイヨー!(゚∀゚)

>>ヴァナ紀行
今回は意味深なところが多かったね〜。
次はメリファト?ギデにはいかないのかなぁ。
どっちにしても楽しみだ。

しかし、タルタルに竜か・・・。
名無しの作者トコを思いだした。


>>倉庫たちの詩
56氏も言ってるけど、キャラが活き活きしてるしテンポがいいね〜。
それと、書き方に惹きつけるものがあるかな。
次回作に期待大!





58 :倉庫たちの詩 :06/09/04 20:22:41 ID:38d6FuHt
一晩過ぎて頭が冷えると、ああこう書けば良かった、ああすりゃ良かった、と
推敲しまくりたくなりましたが、一度世に出した以上はまな板の上の鯉なので
潔く諦めます…が、一つだけ。

アルザビの錬金術ギルドの売店は、対面カウンターでした。窓ありません。

脱兎。



>>56
嬉しいお言葉をありがとうございます。とても励みになります。
日曜の午後、突然に神様が降りてきたようなお話でした。
他の倉庫たちのお話もネタがあるようなないような…
がんばります。


>>57
ご感想、ありがとうございます。
勢いで書いたせいか、ポンポン話が展開していきました。
今後も精進して参ります。

59 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:12:06 ID:IDlJPTz/
アットワ地溝

「な。ミスト」
ミストはボンヤリとしていた。
「………」
「ミスト?」
「え、あ、何か言ったかな?ルーク」
ルークは吐息をついて言った。
「たまには景色でも見にいかねぇか?」
魚釣りときれいな風景とうまい食事を作ることが好きな相棒に
ルークは問い掛けた。
「ん?」
「急いで旅しているわけでもねぇし、たまにはアットワの岩山の上からの夜明けも
おつなもんだと思うぜ」
「そう…だね。行ってみようか?」
ミストの言葉にルークは頷く。
「おっし。いってみようか」
りっくりっくと元気に駆け出すルークの後をミストはついてゆく。
トライマライの『あいつ』の一件で思い悩む事があるのだろう。
とルークも当たりをつけていた。
無理矢理話させるのは、趣味じゃない。
が、沈んだミストが口にしない気持ちは
ルークにもなんとなくしか察せないので
気晴らしを提案してみた。


60 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:14:00 ID:IDlJPTz/


砂塵舞う夜のアットワ。
星が瞬いていた。
乾いた大地に荒涼と風が吹く。
かさかさとアントリオンがうごめくが、
ここのモンスターはミスト達にはすでに練習相手にもならない。
岩陰の迷路を抜け、さぁ岩登りをしようと足を進める。
道幅が狭い。
なんてもんじゃないくらい、狭い。
おまけに所々瘴気が沸いていて先に行けない場所もある。
「たしか…ここは落ちるんだよな」
「うん。気をつけてね、ルーク」
「任せろ」
崖を滑り落ち、下の道に下りるのも少しコツがいる。
ととっと降りてまたそろそろと崖を歩く。
「にゃあああああぁぁぁぁぁぁ」
絶叫が上から、響いた。
「え?」
「わ」
瞬間人だと認識した。
よけようと思えばよけられた。
が上から落ちてきたミスラがクッションもなく地面にたたきつけられたら怪我をする。
一瞬でそこまでひらめき、
ルークとミストは両手を広げミスラを受け止める体勢をとった。
「にゃあああぁぁ」
ざざざあああぁぁ。
ドサドサ…ドスン。
滑り落ちてきたミスラに押しつぶされるように、ミストとルークは地面とキスをした。
「おも…」
「無事?ルーク」
ミストは立ち上がり、ミスラをルークの上から抱き上げた。
「にゃあぁ」
小さくなるミスラにルークはパンパンと服についた土を払った。
「大丈夫だ」
「君は、平気?」
ミスラににこっと微笑みかけるとミスラはコクンと頷いた。

61 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:15:27 ID:IDlJPTz/
が大きな瞳からボロッと涙がこぼれおちた。
「ごめんなさい…にゃ。…また落ちたにゃ」
ンっ…クン。
ミスラは手の甲でこぼれ落ちる涙を、ぬぐった。
「この上に、用事?」
ミストの言葉にミスラはコクコクと頷く。
「こんな上に、何でまた…」
「友達と待ち合わせにゃ」
「この上でか?!」
ルークはビックリして叫んだ。
コクン。とミスラは頷く。
「仲良しの友達だったけど
…最近急になんかうち避けるようになったにゃ。
うちのこと悪いとこあったらなおすって言っても、
うちの目見てくれなくて駄目駄目で…
どうしててっ無理矢理迫ったら…今日の夜明けにここで話すって…」
「今日の夜明け……」
「一生懸命昇ってるけど、もう3回も落ちたにゃ。
夜明けに間に合わなかったらどうしよう」
時間は0時を回る。
夜明けまであと4時間という所か。
ミスラの身体を見ると擦り傷切り傷がいっぱいで、
落下の衝撃を二人に教えた。
「まずは、ピーアンかな」
ルークの言葉にミストはエボニーハープを取り出し、爪弾いた。
傷がゆっくりといえてゆく。
ルークはミスラにグレープジュースを差し出した。
「ありがとうにゃ」
「ったく、その男、呼び出す場所を考えろってんだ」
ルークのぼやきにミスラは牙をむいた。
「エーヴァンのこと悪くいっちゃ駄目にゃ!!
エーヴァンは誤解されやすいけどいい人にゃ!
エーヴァンもきっと考えがあって呼んだにゃ!
エーヴァンのこと何にも知らないのに悪口いったら
うちが許さないにゃ!!!」
「にゃーにゃーうるせー」
ルークはミスラの耳を引っ張った。

62 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:17:02 ID:IDlJPTz/
ミストはふっと笑う。
「君はそのエーヴァンさんが好きなんだね」
ミストの言葉にミスラは若葉色の瞳をキラキラさせ
こくこくと何度も頷く。
「好きにゃ。
でも、うちは…リンクシェルでも目立たないし
エーヴァンには足手まといに思われてるにゃ。
いっつも迷子になるし…
戦闘はヘタッピだし。
だからきっと…きっと、エーヴァン…」
「きっと?」
「うちのこと嫌いになったにゃ…」
「んじゃ、何でお前こんなとこ上ってんだよ」
ルークの言葉にミスラは顔をあげた。
瞳が強い意思を込めた緑に輝く。
「うち、いっぱい迷惑かけたから、きらわれて当然にゃ。
それは仕方ない事にゃ。
でも『さよなら』だけはちゃんと受け止めるにゃ」
「そっかぁ」
ミストは頷き、ルークは髪をぽりぽり掻いた。
「でも…………上までたどり着けない、んだな」
ルークの言葉にミスラは
にゃあああっとまた大きな声で泣き出した。
「うち、最期までダメダメにゃ――」
ルークは手を差し出す。
「ああ、泣くな。うぜぇ。一緒に登ろうぜ」
「そうだね。三人ならきっと登れるよ」
「にゃ?」
「行こう。夜明けまでに上に昇ろう」
腕をひかれ、ミスラは立ち上がる。
そしてととっと前に進む。
細いしなやかな尾が揺れる。
「こっち。ゆっくりおいで」
「この骨の上渡って、ああ、急がなくてイイからな」
「下見ないでね」
「あぶねぇ、そこ。崩れるぞ。もう一歩前だ」
ミストとルークの声が響く中、手をひかれミスラはビクビクしながらも前に進んだ。

「ここの瘴気が消えたら、あとはもう頂上だよ」
どれくらい時間がすぎたのか、空は白み始めていた。
ミスラの顔が、ほっと安堵の笑みと、そして複雑な表情を見せる。
この上に待っているものが何なのかわからない。
けれど、ミスラにとってそんなに痛いものでなければ良いとミストは思った。


63 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:19:14 ID:IDlJPTz/

岩山の山頂には銀髪のエルヴァーンが立っていた。
「きたにゃ…」
ミスラの言葉にエルヴァーンは頷く。
二人きりにしたほうがいいような気もしたがそう広くもない山頂。
ミストとルークは少しはなれたが
言葉は漏れ聞こえた。
「うん」
しばらくの沈黙。
朝日が昇る。
ミストとルークはここに来た理由も忘れて、
二人の行く末を固唾を飲んで見守った。
「なぁ」
「うん」
言葉がしばらくでてこない。
朝日がゆっくりと顔を覗かせる。
キラキラと空気が輝いている。
銀髪のエルヴァーンは意を決したように口を開いた。
「俺と、付き合ってくれないか?」
「はぁ?!」
ルークが思わず素っ頓狂な声をあげた。
「うちで…いい、にゃ?」
恥らうミスラにエルヴァーンは頷く。
「ああ。お前しかいないんだ。
これから先どうなるかわからない。
でも、なにがあってもお前のそばで一緒に過ごしていきたいんだ」
エルヴァーンの言葉にミスラが涙を浮かべ大きな胸に飛び込む。
「………―うれしいにゃ」
ルークは足元の小石を蹴った。
「ちっ。やってらんねーぜ!!」
「まあそういわずに。ハッピーエンドでよかったね」
ミストの言葉にルークは肩をすくめた。
朝日が2人の顔に眩しく当たる。
その眩しさに、目を細める。
「ばかミスト。あいつらは、エンドじゃなくて
今日からが、はじまりだよ」
ミストは笑って大きく頷いた。

64 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:20:42 ID:IDlJPTz/


これから始まり、なのかも知れない。
でも、エルヴァーンの台詞ではないが
ミストたちもこれから先どうなるかわからなくても、
この道を選んできたのは、ミストだ。
その選択にだけは自信がある。
これからも、自分の思うとおり、
後悔しないように選択してゆけばいい。
そう思うと、ふっと体が軽く感じられた。
「よかったね。あの二人」
「あぁ。勝手に幸せになりやがれ、だ」
ルークはぼやいた。

追記

「ありがとうにゃ。
夜明けに間に合ったのは2人のおかげにゃ」
ミスラの言葉にルークは肩をすくめる。
「いんや。
ドン臭いミスラだってわかってんなら、一人でこんな山上らせんなよ
エーヴァンさんとやら」
「え?」
銀髪のエルヴァーンは慌ててミスラを見た。
「山を昇るのに何度も落ちてたね」
朝日の中でミスラは顔にまで擦り傷をつくっていた。
「あ…ごめんね。そっか。君がそこまで…―」
言葉をとめたエルヴァーンにルークが言葉を続ける。
「そこまでとろいは思わなかったか?」
ニヤニヤ笑うルークにミスラはぽかぽかと叩く。
「とろくないにゃ。頑張ればできるにゃ!
二人に助けてもらったけど、ちゃんとこれたにゃ!!」
ミスラの言葉にルークは笑う。
「そうだな。お前さんの頑張った結果が現在だ。
おめでとさん」
ルークの言葉にミスラは朝日に負けぬ眩しい笑顔を見せた。

                     END





65 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:26:27 ID:IDlJPTz/
こんにちわです。

今回はアットワ、ここに上ってフレと朝日を見たことが忘れられず
こんな話になりました。
明るく楽しい話になっていればうれしいのですが。

>>57
お言葉ありがとうございます
あいにく予想外れてアットワがきてしまいましたが
お楽しみいただければ幸いです。


このスレに書かれる書き手の皆様
新作楽しみにしています。
読み手の皆様、寒暖の差が激しい季節
お体に気をつけてくださいませ。

66 :白き〜作者 :06/09/12 02:07:43 ID:ZG6576ph
ずいぶんご無沙汰しました。
白き探求者を書いている者です。

ななしの話やヴァナ紀行やPPが続いていて安心しました!
夜の剣団もどうやら健在のようで。

時間があれば一気読みしよう…。作者様、読者様共々
季節の変わり目なので注意しつつ、頑張って乗り切って行きましょう!


最新話を更新致しました。お暇な方は是非お立ち寄りくださいませ。
http://www.miracle-key.gr.jp/white/

では、またお邪魔致します。

67 :(・ω・):06/09/12 11:14:19 ID:ODKGLBFg
白き探求者きてた━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!
まだ読んでないけど上げ上げ

68 :(・ω・):06/09/12 17:36:26 ID:LxXz7kwc
探求者きたーーーーー!!!

ヴォリュームたっぷりでとても読み応えあり!!

でも、一気に読んでしまった!!おもしろかったぞーーーー!
早く続きを・・・・ってのはムゴすぎ?(´・ω・`)

69 :(・ω・):06/09/12 23:51:01 ID:JzFxpnoH
>>66
長く続いている故に、キャラに対して想いいれもあったせいか、泣いた。

70 :(・ω・):06/09/13 10:44:58 ID:u+6uKSHg
ヴァナ紀行連続で来てたー!
いつも楽しく読んでます!

71 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:30:51 ID:t1ybVUf7
メリファト山地

灼熱の昼に熱砂が顔に当たる。
ローブを深くかぶりなおし、ゆっくりと歩を進める。
「本当にいいのか?ミスト」
「なにが?ルーク」
「いや。いいんなら、いいんだけどな」
ルークの言葉は歯切れが悪い。
この先を進むと、ジュノに向かうか…もしくは思い出深い空へ続く道しかない。
どちらをとってもミストには鬼門だった。
なのにミストは今回避けようとせずそちらの道を進んでゆく。
ルークは怪訝に思いながらも、ミストについて歩いた。
「わっぷ。風が」
「うん。強いね…それになんか嫌な感じ」
巨大な白い自然物とも石塊ともいえるようなものを見あげミストは眉を寄せる。
その一瞬後ルークも唇を噛んだ。
ふっと、空気の中にわずかに混じる鉄さびにも似た匂い。
「血の匂い、か」
「モンスターか…人か」
「行くか」
「ん」
タッと急いで走ると、乾いた茶色の地面の窪みに一人のタルタル族が倒れており、
その周囲を二匹のヤグードが囲んでいる。
「なろっ」
シャッと剣を抜くルーク。
ルークの飛び込みざまの剣戟を、ヤグードは鈎爪で受けた。
ミストがホルンを取り出すより早く、ヤクードは分が悪いと察したのか逃げ出した。
「ふん。逃げ足が速いな」
「それより、女の子」
ミストは言いながらしゃがみこんだ。
「大丈夫そうか?」
「…肩に傷は在るけど…呼吸はしっかりしている」
服を裂いて傷口を見るミストと蒸留水を用意するルーク。
その背後に、更なる殺気が見られた。
「…んっ?!」
反射的に剣を構えるルークの頭上に振り下ろされる片手剣。
「な!?」
手が痺れるほどの強い剣戟は、本物だった。

72 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:32:54 ID:t1ybVUf7
「トナルルになにをする気だっ!この盗賊野郎っ!!」
ミスラの勇ましい声と共に、重い剣がルークの短剣にのしかかった。
力を逃がしながら、ルークは短剣を構えつつ叫ぶ。
「まっ、まて!落ち着けっ」
「その手をっ、トナルルから手を離せ!!」
容赦なく片手剣がミストの背中に突き出される。
ルークはそれをはじきながら、ミストを盗み見る。

ミストは傷口を見るために、
タルタルの少女の服を肩から破っている最中だった…。
見ようによっては…
…――いや、よらなくてもまずい状況だった。
「あー。誤解だ。落ち着け。な?
俺らがこの子をどうにかしようとしているわけじゃない」
「夜盗か?!それともまさかっ」
「落ち着けってっ」
キンッと剣をからめるようにして天へ弾くと、片手剣はミスラの手から離れた。
そして、剣は地に突き刺さった。
「落ち着け。この子はヤグードに襲われたんだ。
俺らが助けて今怪我の手当てをしているところだ」
ミスラは疑わしげにルークとミストを交互に見る。
そして少女の傷を見ると悲鳴をあげた。
「トナルルっ!!!!!こんな、酷いっ」
「大丈夫、気を失っているけど、命に別状はなさそうだよ」
ミストの言葉にミスラはひざまずき、少女の手を取った。
「あぁ、よかった。
離れなきゃよかった…。トナルルを一人にしなきゃ…」
「何かあったのか?」
「いや、ちょっと周囲の偵察に行ってきただけだ。
そうしたらお前らがトナルルを…」
「助けていたわけだね」
ミストが傷口をハイポーションで洗い、包帯で縛る。
ルークはミスラの剣を取り、切っ先を持って差し出した。
「おらよ。あんた、いい腕だな」
剣を受け取りミスラはチンっと軽い音を立てて、鞘にもどした。

73 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:34:49 ID:t1ybVUf7
「ありがとう。
…あんたらの話が本当ならトナルルを助けてくれたんだよね。
誤解して、すまない」
「いや…誤解されても仕方ない情景だったと思うぜ。うん」
ルークは頷く。
「ここは危険だからね。二人旅?」
こくりと頷くミスラにミストは笑んだ。
「もうじき夕暮れだし、この子も気になるから一緒に夜営しようか」
「あんた、傷の手当てなれているね。
そうしてくれると助かるよ」
ミスラはほっと息をついて、やっとぎこちなく笑んだ。


「ん…ん」
「トナルル?わかるかい?!」
焚き火の横でタルタルの睫が揺れた。
あざやかな緑の瞳が開かれる。
「あ…私?イウォーレ…」
「無事でよかった。偵察なんかいかなきゃよかった。
ごめんね。トナルル」
「ううん。大丈夫…っと。この人たちは?」
「助けてくれた人たちだよ」
「ルークだ」
「ミストです。よろしく」
「よろしくです。トナルルです。
大きなヤクードに襲われてもうだめかって思いました」
にっこり花が開くように微笑み、パタパタと周囲を手探る。
「トナルル?眼鏡?」
「ん」
「はい、落ちてたよ」
小さな丸眼鏡をかけてトナルルはやっと人心地がついたようだった。

74 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:36:10 ID:t1ybVUf7
「ありがとうございました。ルークさん、ミストさん」
「いや。間に合ってよかった。
二人でジュノまで上京か?」
ルークが焚き火に乾いた薪を入れ問う。
「いいえ。あら、話していなかったの?イウォーレ」
「当たり前だろ。あんたが心配でそれどころじゃなかったんだ」
トナルルはぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさい。私たちは研究者です」
その言葉にルークは眉を寄せた。
「研究者、っていってもなぁ。
こんな所に研究するもの、あるか?」
広い茶色い大地のど真ん中だ。
ルークの言葉にトナルルはコクンと大きく頷いた。
「この、白い建造物です」
「建造物?!これ骨っぽいけどな?!」
ルークの言葉にトナルルはくすくす笑った。
「これは自然物ではありません。
第一こんなに大きな生き物がいるわけがない」
「ふぅん。
たしか、俺が聞いた話じゃこのヴァナディールの背骨って事だがな」
ルークの言葉にトナルルは眉をひそめた。
「ヴァナディールの背骨…ですか。
それはガルカの伝承かしら?ミスラの口伝かしら。
詳しい話が知りたいのですけど」
「いんや。そんな裏の取れた話じゃない。
冒険者同士のまぁ、たわいない戯言かな」
トナルルはふるふるっと首を横に振った。
「いえ。そういうことが大事なのです。
でも、ヴァナデールの背骨というのは
当たらずといえど遠からずなのかもしれませんね」
ルークは苦笑する。
「いや。研究者様の研究にゃほど遠い、戯言だけどな」
「いいえ。冒険者はヴァナデールの世界の謎に最も近い存在です。
研究者は力もなく、遺跡までたどり着く事すら難しい。
冒険者は遺跡の奥へ、真実へと知らずに進んでゆきます。
そして、それらはすべてがおおやけにされるわけではないですから」
「まぁ、な」
ルークはポリポリと鼻の頭を掻いた。
心当たりは、あった。

75 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:37:40 ID:t1ybVUf7
「でも、こんなもん調べて何になるんだ?」
「これは…この遺跡は巨大なエネルギーを送ったものに思われます。
それだけのエネルギーをどうやって造ったのか。
何のために必要だったのか。
何処に送ったのか…。私は、ロ・メーヴの奥があやしいと思います。
その先にあるものがなんなのか、貴方は知っていますか?」
その言葉にミストとルークは口を閉ざした。
「やっぱり、知っているのですね?」
「………神々の神殿、だろ?」
「あの神殿も謎が多いです。誰がどうやって造ったのか。
この世界は謎に満ちています。
獣人が握る謎。遺跡の謎。私達の過去。
あまりにも大きすぎる謎が多いです。
それらを一つでも、解明したいのです」
トナルルが白い巨大な骨のような建造物と
瞬く星を見上げ呟いた。
「あんたのスポンサーは、誰だい?」
ルークの言葉にトナルルは口をつぐんだ。
「それは…」
「三国、2人の様子からするとウィンダスかと思いたいとこだが違う。
三国は基本的に自分の国のことで手一杯だ。
世界の謎を追う気概と金がある奴は限られている。
ジュノかアトルガン、かな」
トナルルの眼鏡の奥の瞳が光った。
「推測は、そこまでにおねがいします」
ルークは肩をすくめた。
「ふん。やっぱりいろいろ動いているみたいだな。世界は」
「…?貴方も動いているでしょう?
時は止まりません。つねに前に進んでいます。
戻る事は永遠にない。これは絶対の真理です。
だから、現在を何より大事に行動しなくては」

76 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:39:36 ID:t1ybVUf7
トナルルの言葉にミストはふっと星空を見上げ呟いた。
「確かに。時間が止まってるような旅してるけど
時間は止まっては、いないよね。
状況は刻々と変化している」
ふかい呟き。
ルークは肩をすくめた。
「まぁな」
「これがエネルギーを送るものだとしたら、何処に送るのか。か」
「それだけの科学力…というか、魔力を秘めた文明が
古代にあったのかもしれないね」
「ええ……」
「どうした?トナルル」
「お二人は獣人ってどう思われますか?」
その言葉にミストは面食らい、ルークは眉をひそめた。
「どうって…」
「人と獣人。どれだけ違うのでしょう。
タルタル族とミスラ族とガルカ族。
ゴブリンとヤグードとオークやトンベリ…。
私は意思の疎通ができるかどうか…
というだけの違いのような気がしてならないのです」
トナルルの思慮深い瞳に、ルークは肩をすくめた。
「フム。まぁ、意思の疎通ができりゃ、仲間になれる。
下層のゴブリン族のようにな」
「私達の種族は何処から来たのかしら?
ゴブリン達と何処で違ってしまったのかしら?
先祖はもしかしたら一緒なのかもしれない…。
そうは思いませんか?」
トナルルの瞳には焚き火の光が映っていた。
「たしかに、そうかもしれないが…。
だとしても、現在の俺達と獣人の関係はかわらねぇよ」
ルークの言葉にトナルルは俯いた。
「そうね。そうよね。そうだけどでも…
知識が増える事は、過去を知ることは、未来につながるかもしれない。
理解しようと努力しなければ、他種族の垣根は越えられない。違うかしら?」
「まあ、たしかに。な。んで、トナルルはどう思うわけよ」
「仮説は立てています。まだ様々な証拠は足りませんが。
獣人は…人が退化した姿だと、思います」
「退化…なの?進化じゃなくて」
「ふん。面白いな」
ルークの言葉にトナルルはポッと頬を染めた。

77 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:42:41 ID:t1ybVUf7
「ごめんなさい。研究の話しになると熱くなっちゃって…」
「そうだよ、トナルル。
あんたの話は難しすぎて、口をはさめなくて困る」
ミスラのイウォーレが焚き火に薪をくべ、言った。
「ふふ。イウォーレ、ごめんなさい。
でも、聞いてくれる人がいるなら話したくて、知ってほしくて。
私が考えている事、世界の事。すべて…」
「学者さんは夢を食べて生きてるからねぇ。
普通の人はとてもじゃないがそんなこと考えてる余裕もないし
考えた所で『だからどうした?』になっちまう」
「そうね。そうかもしれない。
でも、もしかしたらこの研究が世界の人の考え方をかえるかもしれない。
ちょっとでも、知識の扉を開いて、研究に、獣人に、世界に興味を持つかもしれない。
そうしたら、その子達が冒険に出たり…
研究者は、現在のためだけに研究しているわけじゃないの。
未来のために研究するの」
トナルルの言葉にミストは笑んだ。
「良いね」
トナルルは、大きく頷く。
「はい!」
「トナルル、あんたは怪我人なんだから、少しお休みよ」
「大丈夫よ、これくらい。イウォーレは心配性ね」
「あんたが無茶しぃだから、心配するんだろ」
「もうお休み」
ミストがトナルルの上に毛布をかける。
「ええ、おやすみなさい」
トナルルが、目を閉じる。
夢や希望に輝く瞳は、星より美しい。
「おまえさんも、大変そうだな」
心底からのルークの言葉に、イウォーレは苦笑した。
「諦めてるよ。トナルルと行動するようになってから」
「なるほどな。今夜は俺らが夜営するから
寝てていいぜ」
ルークの言葉にイウォーレは剣を抱いて、横になった。
「ありがとうよ」
「どういたしまして」
過酷な状況でも、そこに立って過去と未来を見つめるものがいる。
それなりの覚悟は必要だが、それでも、覚悟を持って行なう姿は美しいと
ルークは思った。

78 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:43:58 ID:t1ybVUf7


追記


「やさしい人たちだったわね。イウォーレ」
「そうだね。礼しかいえなかったけど、命を助けてもらったし。
もうちょっと何かしてやれたらよかったんだけど」
熱砂の中、ローブの裾が風にはためいている。
「クリスタルの力…なのかしら。
この装置は…クリスタルの力を運ぶ、ラインなのかもしれない」
「こんなもの造って、昔の人はどうする気だったんだろうね。
世界を全部自分のものにでもする気だったのかね」
あかるく笑うミスラに、真剣な瞳をする眼鏡のタルタル。
「かも…しれないわ」
「笑えないよ、トナルル。世界なんかみんなのもんだ。
獣人も、モンスターも、あたいたちも。みんな世界に生きてる。
みんなのもんだよ」
「そうね。そう考えてくれる人がいっぱいいれば
ヴァナデールはもっと違う形をしていたのかもしれないわ」
荒涼とした岩山を見ながら、トナルルは呟いた。
「現在と違うって…どんな、さ」
「緑が豊かだったり…気候がよかったり、かな?」
「そうかい?あたいは現在のヴァナデールが好きだけどね」
イウォーレの言葉にトナルルは笑った。
「そうね。私もこのヴァナデールが好きだわ」
その言葉は風にのって、空に消えた。

                    END




79 :ヴァナディール紀行:06/09/13 15:57:53 ID:t1ybVUf7
微妙にネタばれかとどきどきしつつの更新です。

研究者は好きなネタのひとつですので、
楽しんで書かせていただきました。

更新を喜んでくださる皆様ありがとうございます
おかげで続きがかけます。
スレをもり立ててくださる書き手の皆様、ありがとうございます
楽しく読ませていただきます。

季節の代わりめ、みなさま
お体に気をつけてくださいませ。

          N

80 :(・ω・):06/09/14 10:20:57 ID:JQ0n+Sfi
>>ヴァナディール紀行作者さま
いつも楽しく読ませてただいております。

そしてプレゼントをひとつ。

つ「ドロガロガの背骨」

いや、ホントに楽しく読んでるんですが、どうしてもこれだけ気になったもので・・・。
申し訳ない。


81 :ガルカのコック:06/09/14 17:14:06 ID:IHR6Z4eW
The Phantom Pain作者様へ ご無沙汰しております。

先に教えていただいた方法で読めました〜お騒がせしました。

いよいよお話も佳境に入った様ですね〜!

他のメンバーの活躍が読めなくてちょっぴり残念ですが、
これからもドキドキしながら更新お待ちしております。



ヴァナディール紀行作者様へ

いつも楽しく拝見しております。

ネタバレな件はあまり気になさらなくても大丈夫かと。

各エリアの風景というか空気の醸し出し方も上手ですが、
そこの登場する人物もそれ以上に個性があって…

他のエリアのお話も今後楽しみに待たせていただきますね。


他の作者様達にも日々感謝感謝!

名無しの作者様…再降臨をダルメルして待っております。

82 :(・ω・):06/09/14 22:49:25 ID:96hxKTiz
>ヴァナ紀行様
新ディスク解禁後の熱気ある喧噪とは無縁のように様々な土地を流れていた
二人の口からアトルガンの名が出て、ああ、確かに時は止まらず動き続けているのだなと
しみじみしてしまいました。過去がちら見えしている昨今の展開、楽しみに拝読しています。

……ミストの「助けていたわけだね」には思わず笑いましたw

83 :(・ω・):06/09/15 08:20:33 ID:rVrNZavR
イイヨーイイヨー(゚∀゚)
ネタバレと言うほどでもないし、殆どの人はクリアしているんじゃないかな〜。
今回はこれまでにない「道連れ」が出てきて、世界と時間の流れについて語った部分
が良かった。
イメージしているヴァナ紀行としては微妙な感じもするけど、作者さんが何を言い
たいかもわかる気がするし、これはこれで良かった。

まあ、名前間違いはいつもの事ということでw

84 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:17:55 ID:JYu/TyKx
オズトロヤ城

「どうした?ミスト」
ミストは土で作られたオズトロヤ城を見上げ吐息をついた。
「別に…」
ルークは呟いた。
「ここで何かあったか?」
「ルーク…忘れちゃったかな。
ガルカの冒険者に助けてもらったこと……」
ミストは顔に手を当ててちょっと耳を染めた。
若気の至りと呼べるときは誰にでも在る。
ミストはオズトロヤ城を見上げ吐息をついた。


まだ、駆け出しの白魔道師だったミストはルークと共に
冒険者組合の依頼でヤグードに届けものをしにいくことになった。
届け物をするに当たって、友好的にお願いします。
と付け加えられた。
駆け出しの二人が大きなオズトロヤ城の前で立ちすくんでいると、
数人の冒険者が話し掛けた。
「どうした?おまえ達」
「これからオズに用事?」
問われる言葉に、素直に頷く。
「あ、はい。仕事でこの城にちょっと用事があって」
ミストの言葉に青い鎧のガルカが眉をひそめた。
「これから、俺達は狩りに入る。
お前らは自分の身を自分達で守れるか?」
ガルカの言葉にミストは慌てた。
「それはもちろん!
でもヤグードといっても獣人…知識在るものです。
狩りだなんて…ひどくないですか?」
「酷いか?」
ガルカはビックリしたようにミストを見下ろした。
「あなた達は何のために戦うんですか?」
ミストの責めるような言葉に、ガルカは簡潔に答えた。
「ちっと依頼でな。歌と魔法のためだ」
ミストはキッとガルカを見あげた。
「魔法と歌って…私利私欲のために獣人を殺すのですか?
貴方みたいな冒険者がいるから、
獣人との溝が一向に埋まらないんじゃないですかっ?!」
ミストの言葉にガルカは苦笑した。
「悪いな、俺も養わなきゃならない家族がいるんだ。
お前さんたち、油断するなよ。ここは敵地だ」
ミストはその言葉にむっとした。
「そんな風に思っているから、
心を開けないから、敵対しか選択肢がないんです。
ヤグードが貴方に何かしたんですか?
戦いだけじゃ何も生まない!!」
ミストの言葉をガルカはじっと聞いていた。

85 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:18:59 ID:JYu/TyKx
絶えかねたのはルークだった。
「ミスト、行こうぜ。
噛み付く相手を間違えるなよ」
ルークがくんっとミストの手を引いた。
「でもっ」
「頑張れよ」
大きなガルカの手がぽふんとミストの頭の上に乗った。



ミストはオズトロヤ城に入って案内をされながら考えていた。
ヤグードのこと。
襲われれば闘うのは、わかる。
それは襲われたから、
命の危機に際して自分の命を守るのは当然のこと。
だが、魔法のために、歌のために、敵地に乗り込み獣人を殺し奪い取る。
それでは、人のほうが悪に思える。
今歩いていても、
オズトロヤ城のヤグード達は友好的とはとてもいえない眼差しだったか、
ミストやルークを傷つける者はいなかった。
そう…ジュノの下層のゴブリンのように
他種族でも友好的な関係を持つ事は可能だ。
可能のはずなのに、自らその溝を作る人間という種族
そして、あのガルカ達にミストは激しい嫌悪を覚えた。
「ミスト、どうした?大丈夫か」
「うん、なんでもない」
「まーた、考え事かぁ」
ルークはあきれたというように肩をすくめる。
冒険者がこの世界の事を考えずに、だれが考えるのか。
ミストには何も考えていないように見える
ルークのことも不思議だった。


「確かに、供物はいただいた。こちらに」
わたされた荷物を手に、
ミストはありがとうとヤグードにはにかんだ。
「気をつけて。
我は人を信じるが、そうでないものも多い」
ヤグードの細身の体が人間のように礼の形をとる。
そう、分かり合えるのだ。
分かり合おうという意思さえあれば。
ミストはそんな風におもうと口の端に笑みが浮んだ。
友好の掛け橋は、小さな勇気一つで広がった。
嬉しかった。

86 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:20:02 ID:JYu/TyKx
「簡単な仕事だったね」
オズトロヤ城の回廊を歩きながらミストが軽口を叩く。
ルークは無言だった。
不意に、焼けるような熱さがミストの身体に触れた。
ヤグードの炎のエレメンツがミストの背中を焼いた。
「わ、アツっ」
「ぎゃぎゃ、こんなトコロでヒトがナニをしている?」
周囲を囲む黒いしなやかな肉体を持つヤグードたち。
「あ、仕事で荷物を運びに…」
言ったミストの腕に鈎爪が一閃した。
「うわ!!」
ルークが片手剣を手に、ミストをかばう。
「ヒトが入る城では、ナイ」
「身のホドを・・・シれ」
笛の音が響き、マドリガルが周囲のヤグードの士気を高める。
ミストの目が泳ぎ案内してくれたヤグードを捜したが、
近くには見当たらなかった。
「な、ちょっとまって!!
ルークも剣をひかないとっ!」
「……いや。
剣を引いたら、殺られる」
ルークは剣を手に前のヤグードを睨みつけた。
「ギャギャギャ、たった二人で、
それもこんなか弱いザコが
我等のシロに紛れ込んで、クルとはな」
「ギャッギャッなぶり殺してやろう」
ミストは目の前が真っ暗になった。
友好とは名ばかりの、
根強い剥き出しの敵意にあてられた。
それどころではない。
いまこの瞬間、ミスト達は敵に囲まれ
命を狙われているのだ。

87 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:21:02 ID:JYu/TyKx
「ルーク…」
ミストはあえぐように呟いた。
「やべぇかもしんねぇな。
いざって時は俺盾にして、デジョンで逃げろ」
ルークの言葉にミストは首を横に振った。
「そんなこと、――できるわけが…」
「来るぞ!!」
いくつものヤクードの漆黒の鈎爪が伸びてくる。
剣で受け、精一杯伸び上がるルーク。
すっと鈎爪が、ルークの肌を裂く。
ピシャリとミストの頬に、ルークの血がとんだ。
生温かい…命の源。
その瞬間ミストは考えるより先に魔法を詠唱した。
「あ…アルタナの恵みよ。彼の者を癒せ…ケアル」
気を絞り魔法を唱えるが、心が乱れてうまく治せなかった。
「ルーク!!」
「クッ…やべぇや、逃げろ!!ミスト」
ルークのわき腹から流れる血が、鎧を赤く染める。
ルークは襲い掛かる鈎爪を
小さな身体ですばやくはじきながら叫んだ。
ミストの手は、武器を持つ事すら出来なかった。
「あ、や。ルーク…」
慣れぬ戦闘にミストの身体に震えが来た。
魔法呪文が唱えられない。
鋭いヤグードの一閃が、ルークの鎧を壊し、肩の皮膚が裂く。
「あ…アルタナよ。女神の…―祝福!!」
「ッ…、このっ…――バカミストッッ!!」
ミストとルークが光に包まれ、
同時にヤグードの敵対心をミストは最高値まであげた。

殺される!!

突き出される拳にミストは身をすくめたが、
その敵はミストに触れることはなかった。
敵は血しぶきを上げ、ドウッと倒れた。
「え…?」
ミストの正面に青い鎧のガルカが立っていた。
斧が血に濡れていた。
「闘うぞッ!!」
ガルガが吼えると、
ガルカの仲間達は身軽に戦闘に飛び込んできた。
飛び散る、黒い羽。
銀の刃が戦場に舞う。
魔法の小さな爆発があちこちに見られ、
ルークやミストに癒しの光が投げかけられる。


88 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:21:54 ID:JYu/TyKx

戦場。
命をかけた戦い。

訓練なんか目じゃなかった。
実戦の恐怖はそんな生易しいものじゃなかった。
ただ、そこにあるのは力。
各々の力と単純な計算。
強いものが勝ち、弱いものが死す。
それだけだった。

時間にしたら、ほんの数刻。
なのにミストにはやけに長く感じられた。
体はこわばり動けなかった。
咽喉は固まり声も出なかった。
覚悟の足りない、自分を知った。

黒い影はすべて倒れ伏した。
青い鎧のガルカは斧を腰に収め、ミストに手を伸ばした。
「無事か?」
そこで初めて、ミストは自分がへたり込んでいた事を知った。
ガルカの仲間が倒れたヤグードの懐を探る。
遁術や歌、魔法を手にしている。
ガルカはミストにほろ苦く呟いた。
「見苦しくて、悪いな。
だが、お前さんの使っている白魔法も黒魔法も、
高位なものになると人の手では…造れない。
獣人を狩って、奪って皆使っている。
競売に出ている魔法は、みんなそんなもんだ」
ガルカの複雑な苦い笑みと言葉に、ミストは小さく頷いた。
ミストの頬の血をガルカは武骨な指で拭き取る。
そして、アダマンバルブータを脱ぎ頭を下げた。
「すまんな。
お前さんの理想どうりの世界じゃなくて…。
獣人を狩るような冒険者で、
…すまん」
ミストは首を横に振った。
「あ…」
涙があふれた。
泣きながらただひたすら首を横に振りつづけた。


89 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:23:38 ID:JYu/TyKx


ガルカたちはミストとルークをメリファトに送り出した。
別れの時、ミストはガルカに問い掛けた。
「何故…貴方は僕に謝ったのですか?
甘いのは僕で…貴方は戦場を生きている。
正しいのは貴方なのに…」
ミストの言葉に、ガルカは目を伏せ首を横に振った。
「正しいかどうかは人それぞれで
他人が決める事じゃない。
自分が決めることだ。
俺はお前さんの理想のようには生きられない。
俺には、妻子や親がいる。
明日の飯のために獣人から奪わなきゃ、やしなってゆけない。
でも…お前さんがよければ、
俺からの頼みを一つ聞いてくれないか?」
ガルカの言葉にミストは頷く。
ガルカはまっすぐな瞳で、ミストを見下ろした。
「できるなら、お前さんは変わらないでくれ。
そのまま、お前さんの理想をお前さんが殺さんでくれ。
お前さんの理想どおりに俺は生きられんが、
お前さんの言葉は俺の胸に響いた。
お前さんの理想はいいと思ったよ。
こんな事俺が言う資格はねぇが
お前さんの言う世界は、俺もあこがれる」
ガルカはそういうと、
仲間たちと共にオズトロヤ城の奥に入っいった。



90 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:24:32 ID:JYu/TyKx

追記


「恥ずかしかったなぁ…」
ミストはオズトロヤ城を見上げ呟いた。
「ん?そういえば、そんなこともあったか」
ルークはおぼろげに思い出したようだった。
「一緒にいてルークは恥ずかしくなかった?
今思い出しても、赤面するよ。
理想だけ語って現実何も見えてなくて、
力も追いついていなくて…
あの時の自分の言葉は、
本当に、ただの子供のたわごとだった」
ミストは鼻の頭をかく。
あの時と変わらず風は今日も吹いていた。
「そうか?
俺は夢を見る奴、嫌いじゃねぇし。
その夢が、自分が考えもつかない夢ならなおさら、な。
お前のことばかだなぁとも、損だなぁとも思うが。
お前あの時と今と、考え方変わったか?」
ルークの言葉にミストは苦笑して、首を横に振った。
「いろんなことがわかったはずなのに、
獣人と人が…争う世界はおかしいと、いまも思っているよ。
なんでだろう…。こんな世界なのに。
毎日人と獣人は争っているのに……―
僕だって襲われれば獣人に剣を振るうのに……
僕には獣人と人が争う本当の理由が、わからない。
過去の恨み以上の理由が見つからない。
争いのために、争っているようにしか思えない。
その輪廻は、どこかで断ち切らないと…――
…甘いよね」
ミストの微苦笑にルークは頷く。
「甘ぇな。
でも、まぁ、お前はそれで良いんじゃねぇの?
うじうじ悩んでるのはうっとおしいが、
そういうこと考えてる奴がいるのは、悪くない。
変わる必要も、変える必要もねぇよ」
ルークの言葉にミストはうなずく。

あのガルカは今も青い鎧で斧を振るっているだろうか?
彼の気持ちも今のミストなら、わかる。
彼は生きるために必死だった。
恥じ入る事はなにもないのに。
彼はミストに、ミストの理想に敬意を表してくれた。

オズトロヤ城を見るたびに記憶から掘り起こされる。
理想は胸に秘め、声高に語る必要はない。
人に押しつけることは、無粋だとあの時学んだ。
ミストにとっては
恥ずかしくて恥ずかしくて、
胸の奥が少し熱くなる思い出だった。



                  END





91 :ヴァナディール紀行:06/09/20 12:28:10 ID:JYu/TyKx
こんにちです。
ミストの青い時代ということでオズトロヤ城です。

たくさんのお声、ありがとうございました。
ヴァナデールの背骨といったのは実はフレでして。
その言葉が印象的で起用してしまいました。
すみませんっ。

ご指摘ありがとうございます。
応援と励ましのお言葉もありがとうございます。
皆様のおかげで、次がアップできます。

書き手の皆様、楽しい作品をありがとうございます。
                   N

92 :(・ω・):06/09/20 14:00:46 ID:Xe17XZos
目頭にグっと来た。 楽しかった。ありがとう (*´Д`*)

93 :(・ω・):06/09/21 00:41:25 ID:L4hN6NUh
自分のキャラが実際にヴァナで生きてたら、冒険者として生きていくために
複雑な思いを飲み込んで獣人を狩ってるのかもしれないし、もしかしたら
ミストと同じようなことを考えてるかもしれない。ちょっと目が熱くなりました。

ヴァナディールの背骨、個人的にはすごく格好よい言い回しかと!
「ドロガロガの背骨」って固有名詞とは別の話として、あれを世界を支える
基盤として捉えている冒険者が例えて言った台詞、というイメージをしてました。

ところで、ガルカって妻帯するのだろうかと思う自分がいたりしt

94 :ウ゛ァナディール紀行:06/09/21 08:43:29 ID:SHIyWPTZ
作中説明出来なくてすみません。

ガルカは仲間の冒険者が冒険で死ぬと、仲間の家族にギルを送っていましたが、その一家族から望まれて、
家族を得ました。
あのガルカには、バスにヒュム家族がいます。

彼はガルカの中では外れ者でしょう。


何時も突っ込ませてしまう大きな穴を、見せてしまう作りですみませんっ。



95 :(・ω・):06/09/21 09:26:17 ID:NHMSwozg
普通に結婚して孤児引き取ってるとか、何となく脳内補完してましたよ(´∀`)

96 :(・ω・):06/09/21 15:53:04 ID:/PcgaYIR
戦乱で帰る場所を見失った、
エルヴァーン少女を養っていたガルカも居ましたしね。

97 :暇つぶし :06/09/22 02:36:02 ID:4nPbfgZo
ヴァナディールには多くの魔法が存在する


                 イタ・・イ


それはヴァナディールに住む者達にとってなくてはならないものであり、
アルタナの民だけではなく獣人や到底魔法を使えそうにもないモンスターまでもが魔法の恩恵に預かっている


   タスケテ・・・


しかし魔法に満ち溢れる世界の外観とは裏腹に、ほぼ全ての魔法には多くの経験が必要になってくる


               ヤメテ


それはヒトであろうとモンスターであろうと変わらない絶対の掟


         ・・・イタイ




それを破るとどうなるか
その者は身をもって知る事になるだろう

98 :暇つぶし :06/09/22 02:36:46 ID:4nPbfgZo
薄暗い部屋に温度の差異から発生する霧が充満している
一つしかない明り取りの天窓から入ってくる光に反射してそれはキラキラと光り輝いていた
壁は全て本棚に囲まれ、部屋の中心には木で出来たテーブルが置かれていた
本棚には分厚い黒魔道の本がびっしりと詰まっている
恐らくここの部屋の持ち主の物であろう杖がテーブルの上に置かれていた
その脇にある椅子は無残にも砕け散り、辺りに散らばっている
よく見ると埃一つないよく掃除されているであろう床には赤い液体が転々と散らばっていて
さらにその脇には・・・


身体から氷を生やした少女がうずくまっていた


その身体は寒さに凍え手足も麻痺したかのように動きが鈍い
「痛い・・・」
少女は声を上げる事も泣き叫ぶ事も忘れて身を捩る
しかし少女が身を捩るとともに新たな氷の柱が突き出てきて少女の素足を貫いた
「っっ!!!!」
痛みに声にならない声を上げ身体を捻る少女
その顔のすぐ横を今度は先程よりも若干太い氷柱がすり抜けていく


アイススパイク
:本来は外敵からの攻撃に反応して敵にダメージを負わせるカウンター系の魔法である
:位置付けは黒魔法であり、ある程度の経験を積んだ黒魔道士とそれよりも若干多くの経験を積んだ赤魔道士が使う事の出来る魔法である


その魔法が外敵のいない場所で反応し、更には使用者であると思われる少女の身体を貫いている
まだ魔法の基礎すら知らないような未熟な者が使った魔法はただ消失するだけか
もしくはなんの反応も得られずに終わるかのどちらかだったろう
しかし、この少女は違った
天性の魔法の才能を持った少女が使った魔法は消失する事もなく発動し明確な目標もないまま手当たり次第に辺りを攻撃する
「い・・た・・・ああっ!!」
貫かれた足を庇うように身体を折り曲げた少女の腕に新たな氷が生える
それは中央に置かれたテーブルから生えており少女の腕を貫通していた
それは少女が身を護ろうとするたびに発動し少女の身体を傷付ける
その



その場の勢いで書いた
勢いで書きすぎて途中で止まった
今も反省はしていない

99 :(・ω・):06/09/22 16:11:51 ID:/F0txbpX
それは少女が身を護ろうとするたびに発動し少女の身体を傷付ける

その氷は赤く染まり、少女の心の炎を少しづつ吸い取っていく
「っう・・いっ・・・」
いっそ痛みで気を失ってしまえば楽になれただろう
しかし少女の心はそれを許さなかった


その小さな体に天性の魔法の才能と、計り知れないほどの強靭な精神力が
備わっていることに少女が気づくのはその数ヶ月後のことである

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

(まぁ、若気のなんとやらですわ、今となってはいい思い出ですこと・・・)

気が付くと先程まで4人で座っていたテーブルには空席が二つできていた
「あら?人が考え事してる間に先に行ってしまうとは失礼ですこと」
そう呟くと席に残っていた騎士がそっと一枚のメモを差し出す

 ”何やら思案中のようですので、先に舞刀会に行きます   某国銃士”

「主役は最後に登場がお似合いですわね
 でも、皆さん、殺気お盛んですこと
 あくまで教・育・的・指導なのをお忘れかしらオーホッホホホホ!」


そして数分後、舞刀会には教育的指導を受けた6人の冒険者が横たわっていた

100 :(・ω・):06/09/22 16:12:39 ID:/F0txbpX
その場の勢いで書いた
今もちょっと反省はしている

101 :(・ω・):06/09/22 17:36:08 ID:4nPbfgZo
シャントットかyo!!

102 :(・ω・):06/09/22 18:45:35 ID:1x1Lx5c4
TGSのローズカルテット、出陣の前のヒトコマですか…
さすがにTGS行けない。あとでファミ通DVDに収録とかしてくれへんかのぉ。

103 :(・ω・):06/09/24 01:01:23 ID:oItUgLMR
またうまく纏めたなぁw

>>102
【君にこれをあげましょう】

ヒロインズコンバット1戦目
ttp://ktkr.vip2ch.com/upload.cgi?mode=dl&file=4054
ヒロインズコンバット2戦目
ttp://sneg-kuma.ddo.jp/cgi-bin/up/upload.cgi?mode=dl&file=803
ヒロインズコンバット3戦目
ttp://ktkr.vip2ch.com/upload.cgi?mode=dl&file=4063
アサルト1戦目
ttp://ktkr.vip2ch.com/upload.cgi?mode=dl&file=4061
アサルト2戦目
ttp://ktkr.vip2ch.com/upload.cgi?mode=dl&file=4062

104 :(・ω・):06/09/24 15:41:44 ID:gNsGSxY+
>>103
見られないのだが

105 :The Phantom Pain:06/09/24 21:11:24 ID:7utj8uK7
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新36話をupして参りました。

>>66=白き〜作者様
お久しぶりです。
ご無事だったようで、という表現が相応しいかちょっと悩みますが、
何よりです。後ほど続きを読ませていただきますね。

>>81=ガルカのコックさん
読めたようですね、良かった。
そして、いつもながら読んでいただいて、感謝々々なのです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


106 :(・ω・):(・ω・)
(・ω・)

107 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:21:09 ID:qwCv7SiD
聖地ジ・タ

聖地ジ・タ
そこは深い霧と年月を経た巨木がうっそりと茂る土地。
「本当にこっちで良いのか?」
ルークの言葉にミストは頷く。
「ん」
空が見えないほどそそりたった樹々を見あげた。
冷たいシンとした空気が胸の奥から身体を綺麗にしてくれるようだった。
太古の匂いのする、土地。
「ちょっとボヤーダ寄って行こう」
ミストの言葉にルークは頷く。
「別に良いけどよ」
のんびり歩く風景は昔チョコボで走り回った時とは違い
ただ、ひたすらにのどかで静かだった。
ふっと視線を移すと、栗色の髪の女性が岩場に座っていた。
透けるように白い肌。
小柄な体、冒険者とは思えない軽装。
女性はルークとミストを見てにこりと笑んだ。
「こんにちは、はじめまして」
「よ」
「こんにちは」
二人はいぶかしげにしながらも、頭を下げた。
「すごい所ですね」
綺麗な女性の感嘆のため息にミストは頷く。
「本当に。
ヴァナディールの自然の記憶が古くから残ってる場所
って感じですね」
「こちらに来て少しお話していただけませんか?」
にこっとそこだけ、
花の咲いたように微笑む女性にルークとミストは顔を見合わせた。
急ぐ旅でもないし…。
二人は巨木に寄りかかり、あるいは根元に座り休む体勢をとった。


108 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:22:32 ID:qwCv7SiD
「あんた…何処から来たんだ?」
「ジュノからです。私の名前はリア」
「リア…ね。何でまたこんな所に?」
リアは両手を合わせて小さく笑んだ。
紫の瞳がやさしく細くなる。
「世界を、見たくて」
「ほぉ―――。お付きの冒険者はどうした?お嬢様」
ルークの目が細くなる。
リアはにっこりと笑った。
「もうじき夜露が降ります。
その夜露を集めて、アトルガン茶葉と幾つかのスパイスで煮詰めると
よいお薬になるそうですので、夜露をあつめに行っています」
「いくらアクティブな敵がこの辺はいねぇからって…安心しすぎ、だろ?
いつアクシデントが起るかわかりゃしねぇのに」
「私、別に…モンスターに襲われてもいいの」
「はぁ?!」
「?!」
ルークとミストの驚きに女性は小さく頷いた。
「私、もう治らない病気なの。
ゆっくりゆっくり死んでゆくんだって」
「………だったら」
「ベットで寝ていても、どうせ死ぬんだもの。
だったらいろいろ見てみたいじゃない?
いろんな人とお話してみたいじゃない?
だから…いままでの貯金全部崩して、旅をしているの」
リアの笑みは死を思わせるようなものではなかった。
むしろ、夢見る少女のような輝く瞳だった。
「……変わってるな」
リアは細い栗色の髪を揺らす。
「そう―?
私の両親は冒険者で、いろんな土地のお話をしてくれた。
アルテパの砂漠、ウルラガン山脈の山々…そして、この聖地ジ・タ。
時が止まったような場所だって言ってたけど本当にそのとおりね」
「両親…心配してんじゃねぇか?」
リアは天をあおいだ。

109 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:24:51 ID:qwCv7SiD
目眩がするほど高い木々。
「私のためにって、傭兵やって、お金稼いで…。
そして闘って戦って、死んじゃったから。
きっといまは、空の上で待ってるとおもうの」
ミストは言葉を詰まらせた。
「………あんた。それでも笑えるのか」
家族を失い、自分自身が死するさだめだと知ってなお、
やわらかな微笑を浮かべるリア。
ルークのボソリとした呟きに、リアは頷く。
「だって、旅が出来てうれしいんだもの。
いろんなものが見れて…いろんなところにいけて。
私ずっと不思議だったの。
私みたいに病で死ぬ人間は終りが見えるけど
冒険者って、終りが見えないでしょう?
いつ、命が消えるか…わかならない。
なのに、どうしてそんなに未来を信じられるの?
明日は絶対あるって信じて…明日死んじゃうなんてこと
思っても見ないで…。
みんな希望に瞳を輝かせていた。
父さんも、最期の冒険に出るまで元気いっぱいで
楽しそうだった…」
リアの言葉にルークは眉を寄せる。
「俺らだってわかってるさ。
明日死ぬかもしれないって。
本当は街にいようが荒野にいようが
いつその命がモンスターや他の生き物によって
断たれるかわかんねぇってな。
終りははっきりわからねぇが…
俺もリア、お前も一日の大切さは一緒だ」
ルークの言葉にリアは大きく頷いた。
「でしょう?やりたい事やって生きなきゃもったいないよね。
いっぱいいっぱい思い通りに生きたら、
自分の生きた意味がわかってきた気がするし」
「へぇ、すごいな。そりゃ。
いったいどんな意味だ?」
ルークは目を輝かせた。


110 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:26:24 ID:qwCv7SiD
リアは細い指を合わせて、高い空を見上げた。
「私はね。私が楽しむために生まれてきたの」
サラリといって、あざやかに笑うリアにミストは眩しそうに目を細めた。
「いいね」
「うん。…いいな」
ミストとルークの言葉にリアは得意げに笑う。
「いいでしょ?
はじめはね。病気だってわかった時に
苦しくて辛くて、周りの元気な人みんなうらやましいなぁ
ってずっと思っていたの。
うらやましいな。うらやましいなって。
死の心配もなく、生きてる人皆が妬ましかった。
でも、本当にそんなにうらやましいかなって気がついたの。
私のお父さんみたいに、明日死んじゃうかもしれない人が
ジュノの街にはいるし。
人をうらやむだけで人生終わらせたら、
それこそもったいないなぁって。
そんな風に思ったら、やりたいことやらなきゃって」
リアの言葉にミストは俯く。
「そんな風に…生きれたら、いいね」
ミストの言葉にリアは笑う。
「生きれるよ。自分が望めば」
「うん。そうだね」
ミストの言葉にリアは首をかしげた。
「このジ・タは聖地って言われるだけあって…
静かでいいわ。
心が、澄んでゆく」
リアの言葉にルークは目を閉じた。
「ああ…。そうだな」
遠く鳥の鳴き声と、樹の葉ずれの音だけが響き渡る。

111 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:29:47 ID:qwCv7SiD
「自分の生きる大事な時間。
誰かを恨んだり、
悲しみを誰かのせいにしたりしたら、辛いよね」
リアは小さく呟いた。
その声は風に消えるほどの小さな呟きだったが
リアの心には、葛藤は消えることなくくすぶっているのだと知れた。
それでも、小さく微笑むリアに、ルークとミストは元気をもらった。
「うん。リア。あんたと逢えてよかった」
ルークが手を差し出す。
リアは手を握り、笑う。
「私も…お話できて楽しかった。
またどこかで、逢えると良いね」
話は、終り。
ミストがリアの手を握り、手を放す。
抜けるように白い肌の、小柄なリア。
笑顔がきれいなリア。
ほんの少し、すれちがって心通わせた。
でも、確かに心に残る人間だった。
「また、どこかで」
ルークとミストは手を振って、ジ・タの巨木の中に分け入っていった。

追記

リアは、吐息をつく。
そして薬湯を飲む。
偉そうな事を冒険者に言ったが、
迷いはいつまでたってもリアの中にある。
でも、最後のその瞬間まで満足して生きれるように。
それがリアの目標。
「大丈夫か?」
護衛についてきてくれる冒険者は心配そうにリアを見た。
冒険者は、リアを依頼主以上の誠意を持ってつくしてくれている。
不器用な男だ。
でも、この不器用な男は、リアがいつか治るかもしれないと信じて
薬湯を処方している。
そんなやさしい男だった。
この出会いもリアが動き出さなければなかったもの。
そう考えると、心が明るくなる。
「ありがとう。次は何処を見にいこうか?」
「まずは休め。今日は疲れただろう」
冒険者は寝床を用意してくれた。
リアは目を閉じる。
いつか、その日がくるまで…
リアが前を向いて、生きることは
誰にも止められない。
「次はウルガラン山脈の夜明けがみたいなぁ
世界で一番に朝日が当たるって言われるくらい
高い山なのよね?」
リアの夢見る眼差しと明るい呟きは、ジタの濃い霧に消えた。

                  END


112 :ヴァナディール紀行:06/09/27 09:40:05 ID:qwCv7SiD
聖地ジ・タ
命を感じさせる荘厳な空間は、音楽とともにお気に入りです。
あの高い木々を主観視点にして空を見て走るのが
お気に入りでした。

さまざまなフォローと思いやりある言葉をいただき
ありがとうございます。
ミスも多いですが、楽しんでいただけると幸いです。

いろいろな書き手さんがんばってくださいませ。
シャントット先生のまとめはお見事でしたv
読み手の皆様、暖かい眼差しで見守ってくださって
ありがとうございます。
WIKI を守ってくださる方、感謝いたします。

                  N

113 :(・ω・):06/09/27 22:38:02 ID:Ga5qF4u1
てっちゃんのDS配信フラグならある

114 :(・ω・):06/09/27 22:38:19 ID:Ga5qF4u1
ごめん、誤爆

115 :(・ω・):06/09/28 12:20:36 ID:7vJ4TPQ9
ジ・タ、良いよな。
初めて訪れた時、まさに「聖地」だと思ったものだ。

116 :(・ω・):06/09/28 14:08:09 ID:yc8w5ezK
ひさしぶりに見に来た
ほっとさせてくれた紀行の人に感謝

あとシャントット様の少女時代とか思い浮かばない
たぶん生まれたときからあんな感じだと思う

117 :(・ω・):06/09/30 17:47:40 ID:FcLMpgqp
イーアルカンフー?
おれにはスパルタンXにみえたぜ

118 :(・ω・):06/09/30 17:47:51 ID:FcLMpgqp
誤爆

119 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:36:48 ID:kTDZV3l5
ボヤーダ樹

「何でボヤーダ樹なんだ?」
ルークの言葉にミストははにかんだ。
「花を…ここにはきれいな花が多いから
生命の源って感じがするから。ここの花好きなんだ」
ミストの言葉にルークは俯いた。
巨大な樹の内部のような空間。
天井も見えない中、薄蒼いキノコがぽぉっと輝き
ランプのように周囲を照らす。
むっとするような太古の…生命力あふれた場所。
ここは水も草花もモンスターも生き生きとしていた。

草の上を歩いていると、大きな影が突然ぬっと出てきた。
「え?」
「おっと…?」
ルークの小さい足を巨大なガルカが踏む。
「痛って―――!」
片手斧を振るうガルカは、慌ててよけた。
「すまんっ」
「大丈夫?ルーク」
ミストが屈み込んでとう。
ガルカは戦闘中だった。
といっても獣使いらしく、獣が闘っているのを見ながら
敵対心を調節しつつ斧を振るうという感じだったが。
ペットがスパイダーに最期の一撃を仕掛けた。
バチバチと黒くはじけるダークスポアに
スパイダー族は蜘蛛の網を残して沈んだ。
その網を拾い、ガルカは頭を下げた。
「すまんな。後ろに人がいるとは思わなくて」
「いや…戦闘中だし仕方ねぇよ」
ルークは言った。
「でもな…俺とお前さんじゃ体重差がありすぎる。
ブーツを脱いで見せてくれ」
ガルカは大きな背を丸め、ルークの足元にひざまずいた。
「大丈夫だって…」
「いや、一応傷を見ておかないと。そこに座って」
ガルカの言葉にルークは不本意ながら座ってブーツを抜いだ。
小さなルークの足の甲はうっすら赤く腫れはじめていた。
ガルカは自分の布を水に浸し、足の甲につけて冷やす。
「酷くはいためてなさそうだが…注意不足だった
すまんな」
そう言ってテキパキと手当ての準備をする。
セージの葉をもみこみ、布につけて貼る。

120 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:38:01 ID:kTDZV3l5
「あ。きもちいい」
ミストはその二人を見て、言った。
「ルーク、そこで休んでいて。
奥に行って来るけど、すぐ戻るから」
にこっと笑んで、ミストは身軽に歩き出した。
「あ、おい!ミストっ」
「少し休んでてね!」
ミストは叫ぶように言って、奥に消えた。
「………」
「………」
無音の世界。
モンスターが草を踏むさくさくという音だけが小さく時折聞こえる世界。
沈黙は重かった。
「あ――…」
「ん?」
手当てを終えたガルカの大きな指が丁寧にルークにブーツを履かせてくれる。
「戦闘邪魔して、ワリィな」
いう事が見つからず、とりあえずそんな事を言ってみる。
ガルカは人なつっこく笑った。
「いや」
大きな手がくしゃりとルークの髪をかきまぜる。
「おい。ガキ扱いは、するな」
ぐりぐりと子供のように撫でられるのは、ルークは嫌いだ。
その手を振り払うと、ガルカはビックリしたようにルークを見た。
「お前さん、撫でられるの嫌いか?」
「好きな奴がいるかよ」
ルークはぶすったれて言った。
「そうか。タルタル族は撫でられるのが好きなのかとおもった」
「はぁ?何でそうなるんだ?」
「俺の知っている子が…タルタルの魔道師だったんだが…―
撫でられるのが好きでな。
俺の名前は、イヴァって言うんだが
『イヴァさん撫でて撫でて』って足元によくまとわりついたもんだ」
ガルカは遠い目で呟いた。
「魔道師…ねぇ」
「ちびっちゃい女の子で、かわいいんだ」
ガルカは少し誇らしげに言った。
「ふぅん。いい友達なんだな」
その言葉に、ガルカの動きは止まった。
そして、ガルカは首を横に振る。
「俺は……その子に酷い事をした」
「ん?酷い、事?」

121 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:40:50 ID:kTDZV3l5
「ガルカは頑丈だ。バストゥークでも、有名だ。
炭鉱で働かされて、働かされて生きてきた」
話が急に飛んでルークは首をかしげながらも相槌を打った。
「あぁ」
「相手はタルタルの魔道師様だ。
頭もよくって高位な魔法も使える子だった。
それでも種族で分け隔てなんかしない子だった。
その子が俺と親しくなって俺のふるさとが見たいっていって
俺は彼女をバストゥークに連れて行った…」
「ふん」
「ガルカってのは横のつながりが強くてな。
みんな…ヒュムもタルタルもエルヴァーンも時の流れが早すぎて
俺たちは置いていかれる。
だから、俺たちはどうしても仲間同士が一番みたいな風潮があってな。
仲間の一人が俺とその子のことを…からかったんだ。
はじめはそんな感じだったのに、
俺が否定すればするほどそいつはムキになって…
タルタルの女なんか、信頼できない。
魔道師なんてガルカとは別世界の話だ。
他にも耳を覆うような事を言われた。
タルタルのその子はそれでも笑って許してくれた。
でも…へこまないその子に、切れたガルカの一人が
…その子が大事にしていたものを
夜の闇に隠れて、ずたずたにしたんだ。
その価値も知らず」
「ズタズタに…?」
ガルカは大きな手で頭を抱えていた。
「ナイフで切り裂かれて、用水路に捨てられてた。
とても着れるような状態じゃなかった…」
「服、だろ?
別にそんな…買ってやれば良いじゃないか」
ガルカは震える唇で呟いた。
「バーミリオクロークは、その子の宝物だった」

122 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:42:16 ID:kTDZV3l5
「なっ」
普通の人間には到底手の届かない高級装備だった。
「誰がやったのかわからない。
なんとなくはわかったが確定的な証拠はなかった。
俺は………どうしていいのかわからなくなった。
同族が犯した罪に、
タルタルのあの子はどう思ったのか…」
「別に、お前のせいじゃないだろ?!
犯人見つけて突き出してやりゃよかったんだ!!」
ルークの言葉にガルカは首を横に振った。
「俺ら…貧乏なんだよ。
確かに取り返しがつかない事をしちまった奴がいるけど…
弁償できる金持ってる奴なんて…いねぇんだ。
やっちまった奴も、その価値なんかわからなかったんだろう。
俺は同族の奴らが許せなくて、
その子に顔向けが出来ないくらい恥ずかしくて
どうしていいのかわからなくなって…その場を逃げ出した…」
「はぁ?!逃げ出したのかよっ。
その子に何も言わず?!」
こくりと頷くガルカにルークは深く吐息をついた。
「で、お前さんこんな所で何やってんだ?」
「裁縫のギルドに通って、金を稼ぎながら裁縫の技術を上げた。
やっとバーミリオクロークも縫える技術を身につけた。
あとは、金だ。
ここで蜘蛛の網から虹糸紡いで…金稼いでる」
「ばっ……――ばかかっ!!テメェ」
ルークは叫んだ。
ビクッとガルカが身をすくめた。
「バ…馬鹿…?!」
「不器用にもホドがあるってんだ。
何年かけてるんだ?!」
「え…と、一年と半年…位か。でもまだまだ金は…」
「一年半も?!その子に連絡はしてねぇのかよっ」
「だって…だって…あわせる顔、ないだろ?」

123 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:43:33 ID:kTDZV3l5
小さくなってゆくガルカと態度が大きくなるルークは対照的だった。
「合わせる顔?
こんなでかい顔してんのになに考えてんだ、ぼけっ!!
その子が弁償しろっていったのか?」
ガルカは慌てて首を横に振る。
「そんなこと…
……―きっともう、あの子は口もきいて…くれない」
「あのなぁ、その子は大事な装備を失ったかもしれねぇ。
それは痛手だ。
でもな、お前が逃げ出した事によってその子は
装備だけじゃなく、大事な友達まで失ったんだぞ?!
二重の痛みだっ」
ガルカは、はっと顔をあげる。
「逃げ出した?彼女が口をきいてくれない?
お前が逃げでどうするよ。
非難だろうが、なんだろうがしっかりそのでかい身体で受け止めろよ。
ったく。信じられねぇな。このでくの棒は」
「でも…でも」
「でももなにもねぇだろう!!
仲がよかったんだろ?その魔道師と。
なんで話し合わなかった?何でそのままバッくれた?
その子のことなんか、お前なにも考えてねぇだろ?
自分の事だけしか考えてないだろ?」
ミストと言うストッパーのないルークの言葉はきつい。
グサグサとガルカの胸に刺さった。
「あ…でも、じゃ、どうすれば…」
「やるこた、一つだ。
まずその子の所いって土下座だな。
許すか許さないかはその子が決める事だ。
お前が決める事じゃねぇ。
でも、許すも許さないもその子が決める前に
お前が逃げ出してたんじゃ…
最低だ」
「あぁ…でも…でも…」
「こんな所で悠長に蜘蛛狩ってる場合じゃねぇだろ。
お前さんの言うとおり時の流れが違う。
ガルカには長いときでも、
俺らはガルカにくらべればあっというまに生を終える。
その大事な時間を浪費させんなっ」
「許すか許さないかは…あの子しだい…」
ガルカはゆっくりとルークがいった事を反芻する。

124 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:51:19 ID:kTDZV3l5
「そうだよ。テメェで勝手に決めてんなっ。
判断あおいで、それでも許されねぇてんなら…
改めて金ためりゃイイだろうが。
相手もテメェも生きているのに、
やりようはいくらでもあるのに
何で一番遠回りな道を選ぶ?
傷つきたくなくて逃げてるのは、テメェだろ?!」
「うぅ…」
ガルカはがばっと顔をあげた。
「どうした?ん」
「いってくる・・・ウィンダスへ」
ガルカは呟いて、駆け出した。
「おぅ!がんばれよ――」
ルークは手を振って、天を仰いだ。


しん、とした空間が戻ってくる。
ルークはぽつりと俯いた。
「ったく、贅沢だってんだ。
生きてるんならいくらでも償いなんか出来るじゃねぇか」
ルークの泣きそうな、
辛そうな呟きは、ボヤーダ樹の中に消えた。



125 :ヴァナディール紀行:06/10/04 22:53:04 ID:kTDZV3l5

追記

汗にまみれたガルカが、息を切らして小さな家の前にたつ。
ウィンダスの水の区。
ここまでボヤーダからニ昼夜かけて走ってきた。
走ってきたが、ここで止まってしまった。
家は知っていた。
でも、ノックが出来ない。
戸惑って…戸惑って…。
やっぱりダメだときびを還した瞬間、何かを踏んだ。
「あ…」
「きゃ!!」
一年半の時をへての再会は、足を踏むというものだった。
「イヴァさん!!!!」
少女は座り込んだまま昔のままの笑顔でガルカの巨体を見上げた。
「あ…その。あ…ごめん」
腰には斧、獣の衣装。
網をかついで、何をしに来たというのか。
いまさらに恥ずかしくなったガルカは、駆け出そうとした。
その前を小さな体いっぱい広げて立ちはだかる、タルタルの少女。
「イヴァさんもう逃がさないからね。
まったくこんなに長い間音信不通で…どこにいっていたの?」
「あ……」
相方の不器用さを知るタルタルの少女は、
小さな手で大きな手を握り締めた。
「逃がさないから…。一年半分のお話、聞かせて?」
くんと小さな手に力が入り、家へ誘う。
ガルカは逆らうすべもなく、少女の家に入っていった。

暖かなウィンダスティを前に
タルタルの少女はガルカの長い長い話を聞いて、
家の奥から荷物を出してきた。
小さな手に広げられた光沢のある織物。
ダマスクの織物三枚。
「最近ずっとこれを名入りで縫ってくれる職人さんを捜していたの。
お願いできるかな?イヴァさん」
「え…俺が?でも…」
「職人さん、中々いないし。
リスク高いからみんな嫌がっちゃって…。
お願い」
見あげるタルタルにガルカは小さく頷いた。
ガルカの瞳に輝くものが浮んでいたが、
それが何かは語るまでもないことだった。

                 END





126 :ヴァナディール紀行:06/10/04 23:06:57 ID:kTDZV3l5
今日はボヤーダです。
ボヤは獣さんの聖地なので、獣さんの話にしようと思っていました。
ガル獣さん好きです。

秋の夜長、ちょっとした楽しい時間になってくれれば幸いです。
読み手のみなさま、お声いつもありがとうございます^^
書く支えになります。
書き手の皆様、新作楽しみにしています

                N


127 :(・ω・):06/10/05 09:39:29 ID:DX6+KwXl
ガル獣の{岩}さんに見えて笑ってしまったり。
まったりまったり・・(*´ω`) いい話や・・

128 :ヴァナディール紀行:06/10/11 12:59:30 ID:E9Dzzekd
ロ・メーヴ

サイレントオイルを使い、二人はゆっくりと歩き出す。
どんなに強い者も、モンスターにはかなわない。
そう思わせてくれる、場所がここだった。
たとえレベルが高くても、オイルが切れたら…
ひやりとさせられる場所だ。

けれど薬品を使えばあっけないほど簡単に抜けられる道でもある。
不思議な、白い建造物。
集合住宅のような…装置のような。
きれいな幾何学的な白い道が続いている。
風に削り取られ角のなくなったゆるやかな階段を上がろうとして
「キキッ」
という、モンスターの声に振り返った。
誰かが、モンスターに見つかった。
ルークとミストが振り返ると、そこにはタルタル族が立っていた。
「うわっ」
群がるモンスター。
「救援っ」
ルークが叫び、ミストがメリーのホルンでララバイを奏でる。
モンスターの動きが止まり、眠りにつく。
「立てるか?」
ひざまずいたタルタルの手にサイレントオイルを握らせ、立たせる。
「行こう。そんなにもたない」
ミストは呟いて、すでに駆け出していた。
夜。
満月の月が明るく皆を照らす。
オイルを振り掛けて、白い回廊を駆け出す三人。
背後から追って来るモンスターを何とか振り切り、神々の間に3人は飛び込んだ。
「ふぅ」
「無事?」
「あ……ありがとう」
タルタルは立ち上がって頭をぺこりと下げた。
「ピーアン歌おうか」
ミストのピーアンに癒され、タルタルは顔をあげた。
「奥で休もうぜ」
ルークの引く手に、タルタルは首を横に振った。
「ここには、いたくない」
タルタルは小さく呟き
そして、ロ・メーヴにでる。
「おい!!!!」
慌ててルークとミストは後を追った。

129 :ヴァナディール紀行:06/10/11 13:00:42 ID:E9Dzzekd
タルタルは月光の下、二人を手招いた。
「大丈夫です。ここのロボたちは、魔法を使わなければ…襲ってきません。
さっきは奥までいっちゃいましたけど…この広場なら」
「おまえっ」
「こっちに来て見てください。
幸い今日は満月。満月の泉が満たされる夜です」
タルタルの言葉にルークとミストがついてゆくと、
白い窪みの中に清水がたたえられ、水の底がなんともいえない輝きを放っていた。
「大丈夫なのか?お前」
怪我はないかと問う二人に、タルタルは頷く。
「お二人が、助けてくれましたから」
タルタルは、水に手を浸して、笑った。
「こんな危険なところで、何してるんだ?お前」
「・・・・・・・・・」
「どうかしたの?」
タルタルの装備にルークは目を細めた。
輝くように白い装備は、ナイトの服。
アーティファクト2と呼ばれる、アーティファクトのさらに上を行く装備。
押し殺されたタルタルの呟き。
「どうして…
タルタルは…タルタル族はどうしてこんなに脆弱なのでしょうか」
「あ?脆弱?!」
ルークの眉がぴくんとはねる。
タルタルは自嘲する。
「わかっているんですよね。
自分でも、体力ないって。
エルヴァーンにも、ガルカにもまったくかなわない。
僕には、なれないんです。
『神々の背中を守るもの』といわれたHNMの聖騎士のようには…」
タルタルは顔をあげ空を見上げた。
「泉の輝きも、天にある月も、手が届きそうなのに届かない。
あの輝きを持つような人たちには、わからない。
見えるのに、輝いてるのに手が届かないって…
まるで凡人を嘲笑ってるようで…」
言いかけたタルタルの頬をルークが握り拳で殴った。
タルタルは突然の衝撃に、え?というようにルークをみる。
「うっせぇ。凡人?良いじゃねぇか。
背負ってるものはみんな一緒だ。
テメェの言う月には月の、泉の輝きには泉の輝きの
人にいえねぇ苦しみがある。
テメェ一人悲劇の英雄気取ってんじゃねぇよ。
男のくせに」
「大丈夫?」
ミストはいそいそとタルタルを抱き上げ、
その頬を泉で浸した布でぬぐった。
口の端が、少し切れていた。

130 :ヴァナディール紀行:06/10/11 13:02:11 ID:E9Dzzekd
地の底を這うようなくらい呟きがタルタルの口から漏れる。
「あんたに、何がわかる?」
タルタルの言葉にルークは胸を張って答えた。
「わかんねぇよ。
テメェの痛みなんか、わかってたまるか。
でもお前もわかんねぇだろう?
他人の痛みを。
輝いてる所だけ見て、
遠くからうらやんでるだけなら気楽でいいよな。
限界ギリギリまで戦って、それでもダメで…
輝いている?!そんなもん他人から見たら、だろ。
自分じゃいっぱいいっぱいだったりするんだよ」
「……―」
タルタルは頬を押さえて泣きそうな顔でルークを見あげた。
ミストはやさしく語りかけた。
「もしかしてさ。
君は空で四神と戦うつもりでここに来たんじゃないのかな?
でなきゃ、君がここに一人でいるのは不自然だ」
タルタルは、うなずく。
深い森の静謐な空気が、心を満たす。
タルタルはうつむいた瞬間に、涙がぼろっとこぼれおちた。
「リンクシェルの奴が…タルタルが盾だと…ナイトだと
危険が増すって…。俺がガルカならよかったのにって…。
種族なんて、どうにもならないだろ?
俺はそれでも守りたくて、皆を守りたくてナイトを選んだんだ!!
でも、確かに言うとうり危険だ。
仲間守りきれてないって…自分で思う
俺はやっぱり、ナイトになんかなっちゃいけなかったんだ」
ルークは肩をすくめる。
言葉は何処までもそっけない。
「言う相手が、違うだろ。お前」
ルークはしゃがんで、泉の光を見下ろした。
「…」
「仲間の元に、帰れよ。まってるぞ、みんな」
「……―」
「確かにタルタル族はナイトにゃ不利だ。
不利だってわかってナイトを選んだ。
マイナスからの出発だ。
でもお前は聖騎士になった。
それほど、仲間を守りたかったんだろ。
そのために戦ってきたんだろ?
神に力を与えられてない分、
逆に必死に自分の力で頑張ってきたんじゃないのか?」
すくいあげる透明な水は、キラキラと月光に光りながら
ルークの手からこぼれおちた。
「お前にまだ、守るものがあるなら。
こんなとこでうろうろしている時間なんかねぇだろが」
「…」
タルタルの俯く表情。
握り締めた震える拳。

131 :ヴァナディール紀行:06/10/11 13:03:10 ID:E9Dzzekd
ルークはその姿をみて呟く。
「守るものがあるってのは、騎士にとったら最高の幸せだ。
それは、絶対失っちゃいけねぇんだ。
お前が一人欠けたせいで、もし失っちゃいけないもの失ったらどうする。
空では、戦いがもうすでにはじまってるかもしれねぇぞ」
顔をあげた、タルタル。
その瞳には、決意があった。
そして、神々の間から駆け出してくるエルヴァーン。
ノーブルチュニックを着込んだ女性は、タルタルに手を振った。
「お迎えが、来たね」
「仲間ってのは良いもんだ」
ルークはタルタルの背中をとんっと軽く、押す。
タルタルは、一瞬二人を振り返り、
そして大きく頷きノーブルのエルヴァーンの元へかけていった。
タルタルの後姿に二人は手を振る。
タルタルは振り返ることなく、神々の間に入っていった。
月光だけが静かに二人を見守っていた。

追記

「いう事の重みが違うね」
「あ?」
ルークは怒気をこめてミストをみた。
「『神々の背中を守るもの』のリクルクさん」
ミストの言葉にルークの眉がピクンと跳ねる。
「うっせ。『アルタナの慈悲を受け継ぐ者』
なんて呼ばれたミスティアノリア様には言われたくねぇな」
ルークがミストの大腿を叩く。
「お互い、空が近くて興奮しているみたいだね」
「久し振り…だからな。あの地に行くのは」
遠く、見あげる。
はるか上空にある地上とは別世界。
「そうだね…ずっと、いけなかったから」
ミストは白銀の月を見て呟いた。
ふかい深い森。
人の手の届かない神々の住む場所に
再び彼らは足を踏み入れようとしていた。

                 END

132 :ヴァナディール紀行:06/10/11 13:09:38 ID:E9Dzzekd
こんにちわです。
ルークとミストの本名とジョブがわかる場所になりました。
お空はキーポイントになりそうですし、
ちょっとしたおまけも描けたらと思います。

にしてもルークは短気すぎで困ります。
書くたびに怒っているような・・・・

コメントありがとうございます。
そのまんま・・・名前考えるの苦手ですみませんっ。
読み手の皆様、いつもありがとうございます。
書き手の皆様、新作楽しみにしています。

             N




133 :(・ω・):06/10/11 13:51:49 ID:cgCQWS7w
(*´ω`*) イイヨーイイヨー!
がんばれ樽ナ・・ありがとうNさん


134 :(・ω・):06/10/12 12:33:29 ID:vAni2vRB
ガルナの俺にとっては、タルナは羨ましいけどな〜。
まあ、PTメンを絶対守ると言う意志と、自分の種族にあった戦い方をすれば、種族どうのと
卑下するようなことはない、とルークは言っているような気がする。
ルークの怒りっぽいところとか好きだな〜、ミストと良いコンビだ。
俺としては、ミストがちとなよっぽい方が困りもののような。

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