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涙たちの物語10 『旅の行き先』

1 :(・ω・):06/05/09 07:22:35 ID:38OC3SEF
 ヴァナディールを舞台にした物語を語るスレです。
 あなたの中にあふれる物語を聞かせてください。
 
 前スレ:
  涙たちの物語9 『旅の果てに』
   http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1123780223/
   
 倉庫等(現役稼働中):
 (Wiki)http://kooh.hp.infoseek.co.jp/
 
 歴代スレや旧倉庫は>>2あたりを参照。
 次スレは、400k越えたあたりで、宣言→立て→告知を願います。
 ※この板の転送量限界は512kなので、早めに対応しましょう。

2 :(・ω・):06/05/09 07:23:52 ID:USs8H447
2

3 :1:06/05/09 07:24:42 ID:38OC3SEF
歴代スレ(新しい順):
涙たちの物語9 『旅の果てに』
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1123780223/
涙たちの物語8 『旅の始まり』
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1105231828/
涙たちの物語7 『旅の終わりは』(仮板からログ移転)
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1088379577/
【したらば@FF(仮)板】
涙たちの物語6 『旅の途中で』
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/game/6493/1077148674/
【したらば@マターリ板】
涙たちの物語5『旅が続いて』
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=6493&KEY=1069286910
涙たちの物語4 『旅は道連れ』
http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log2/1064882510.html
涙たちの物語3 『旅の流れ』
http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log2/1058854769.html
涙たちの物語2 『旅の続き』
http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log/1054164056.html
涙たちの物語 『旅は終わらない』(避難先)
http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log/1048778787.html
(※↑ログ消滅のため【過去ログ図書館】にリンク)

【xrea】
初代 涙たちの物語 『旅は終わらない』
http://mst.s1.xrea.com/test/read.cgi?bbs=ff11&key=042463790
(※↑見れるときと見れないときがあるらしい)

倉庫等
(Wiki)http://kooh.hp.infoseek.co.jp/
(新)http://f12.aaacafe.ne.jp/~apururu/
(旧)http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/4886/index.html

ここも姉妹スレ?
今はいないフレンドへの手紙2通目
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1103090107/l50

4 :(・ω・):06/05/09 07:33:01 ID:Amj+/eEG
>>1
おつかれさん
ありがとな


5 :(・ω・):06/05/09 09:36:21 ID:KaKQX2Lp
>>1
おつ〜・・・
でも惜しいかな・・・こっちが現行すれ

ここも姉妹スレ?
今はいないフレンドへの手紙3通目
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1140264545/l50

6 :(・ω・):06/05/12 14:36:14 ID:JSv9jxMd
一乙。

7 :群雄の人:06/05/13 23:28:04 ID:gDxJrGu6
念のためにこちらにも。

お久しぶりです。
と申しましても二年近く前でお忘れと思いますが、
FF11二次創作小説サイト『群雄』、リアル諸事情で中断しておりましたが、
本日より連載を再開、復活することになりました。
だいたい更新予定は週に一回程度になると思いますので、
どうぞお暇などございましたらご覧下さいませ。

なお、作者はFFをやめてから二年近く経ちますので、
内容の多くを記憶と妄想に頼っております。

笑って許して下されば幸いです。

http://www.infosnow.ne.jp/~sugata/FF/top.htm

8 :(・ω・):06/05/16 13:43:43 ID:AiNBWDd5
群雄キターーーーーー!!!!
【仕事】【何ですか?】【とんずら】

さっそくいくぜー

9 ::(・ω・):06/05/16 15:13:06 ID:Cqb+rK1+
夜の剣団 も、更新されてました!
作者さん、まってましたです♪

各作者さんへ
暑かったり、寒かったり、この頃疲れやすい日が続いてますけど
お体には十分気をつけてくださいです。m(__)m

10 :(・ω・):06/05/22 13:28:13 ID:SQ4TBuOZ
余計と思っても書かずにいられない・・。

各作者様。そして個人的に気に入ってる夜の剣団の作者様。
ステキな物語をありがとう (*´Д`*)

11 :The Phantom Pain:06/06/09 00:50:11 ID:3Lj4nzrs
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新32話をupして参りました。
2ヶ月強もお待たせしてしまいました、申し訳ありません。

>>前スレ492さん
気になるところのつづきがようやくupできました。
楽しんでいただければ幸いです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


12 :(・ω・):06/06/09 18:11:17 ID:NWvUdqVL
PP様キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
作者様乙です。

さらに首を【ダルメル】にしてお待ちしています〜!ヽ(´ー`)ノ





ユールルが・・・・ユールルがぁああああああ!!!!!!(つД`)

13 :(・ω・):06/06/09 18:33:58 ID:SzXH+rvg
夜の剣団の人のとこも最新キターーーーーーーーーーーーーーー!!

ヽ(*´Д`*)ノ ヤッホーーイ

14 :(・ω・):06/06/10 16:25:38 ID:CPCiQoIx
PP作者様へ

ガルカのコックです。
ご無沙汰しております。

しばし諸事情に忙しく、中々閲覧できていない状態ですが、作品の続きの方
楽しみにさせていただいてます。

感謝の言葉を送るくらいか、読み手側はできませんが、EDまでしっかりと
見守り、読み続けようと思っています。

そして作品を描き続けてくれている作者様、全てに
"ありがとう!!"

15 :(・ω・):06/06/20 18:44:30 ID:7MQELzZ5
作者様方が帰ってきたときに見つけやすいように
age

16 :名無しの話の作者 :06/06/23 00:50:51 ID:D6atCU7p
「名無しの話」の34 −その後日−

………
……

渡すタイミングとか、日時とか。
そういったものを外すと、とたんに渡しにくくなる物がある。
たとえば、プレゼントだったり、プレゼントだったり、プレゼントだったり…。
渡しそこねた物を渡すというプレッシャーはとても大きくて
ついつい渡しにくくなるっていう事は、よくある事。
すると、ますま時間がたって。
どんどん渡しにくくなって…。
ふと気づくと、逃げ出したくなってる自分がいたりして…。

「でもにゃ〜、最悪なのは、相手がソレを待ってるときだにゃ〜」
ふーふーふーふー
熱々の鍋から皿に取った具を冷まして
はくはく
食べてるミスラ。
「「?」」
首をかしげるタル白タル黒。
「なにー?」
「まってるのー?」
と左右からミスラを見上げる。
「にゃ、なんでもないにゃ」
と鍋へ手をのばす。
「なの?」
「?」
一緒にタル白タル黒も手を伸ばす。

今日の鍋は団子鍋。
甘〜いミスラお手製ダンゴが入ってる………わけじゃない。
くつくつ煮えた鍋はとても良い匂い。
サケやニシンやイワシの魚団子は混ぜ込んだ貝が隠し味。
鳥・豚・牛の肉団子は脂身の割合が旨味の秘密。
たっぷりの野菜とキノコが深みの素。
そして、ほんとなら味の合いにくい魚と肉をうまくなじませるミスラ入魂の出汁。
頃合いの良くなった団子を食べるのには、東の国のお箸という道具。
片手に二本の細棒を持ち、はさむように使うもの。
フォークで食べたら簡単なのだけど
「鍋はお箸にゃっ」
とミスラが主張したから、みんなでお箸。
タル白タル黒ガル戦も、冬の間の鍋三昧で、すっかりお上手。

17 :名無しの話の作者 :06/06/23 01:03:41 ID:D6atCU7p
「くっ、このっ」
ひとり苦労してるのはタルモンク。
欠員補充で呼ばれたはずなのに、なぜか、お箸相手に格闘中。
表面ざらりの団子たち。
なのに箸から逃げていく。
はさんで…
グリン
はさんで…
コロン
「くーっ」
いっそ手でつかもうとしたのだけれど
ジロリ
ミスラににらまれたから、いまだお箸と格闘中。
「くくくー」
大きくもない取り皿の中を、グリグリコロコロ逃げる団子たち。
グーグーいってるおなかに耐えて、追っかけ回してはっと気づく。
手のひらにお箸を握り混み
プスッ
突き刺してしまえば、簡単だった。
「やたー」
思わず声が出る。
けれど
「にゃ、握り箸はいけないのにゃ。不作法なのにゃ」
とミスラに怒られた。
「いけないのー」
「ねー」
とタル白タル黒も。
「うう…」
タルモンクにとってお箸を使うのは、カタール操るよりも難しく、タコと殴り合うよりも手強い修行。
「…百裂拳…」
多分それでも勝てない相手。

「ちゃんと野菜も食べるにゃ」
言ったのはタルモンクへだけど
「んーわかってるぅ」
ガル戦がおっきなお箸ですくうと、野菜がごっそりなくなる。
「まだまだあるにゃ」
ミスラの脇には、大皿一杯の具材。
「………」
車座になって食べる中、ひとりお箸が進んでない。
それに気づくミスラ。
「どうしたにゃ。たべないにゃ?」
「……」
返事がない。
「にゃっ!好き嫌いはよくないにゃっっ。食は命の源にゃっ」
キッとにらむミスラ。
「そんなことじゃ、強い子良い子にはなれないにゃっ」
「……」
やっぱり返事がない。
「にゃ〜」
カックリと耳を下げるミスラ。
ややうつむき加減のエル騎士は、鍋を見てるようで見てない。

18 :名無しの話の作者 :06/06/23 01:04:37 ID:D6atCU7p
ヒュム戦がパーティに来なくなって、最初はすごく荒れてたエル騎士だけど、だんだん勢いが無くなった。
このごろは、言葉も減ってる。
それに影響されてか、みんながぎくしゃくしてるようにも思える。
だから、一生懸命美味しい物を用意して、話題を引き出そうとしてたりするのだけど。
−…なんとかしないといけないかにゃ…−
と考えてみたりもする。
でも
興味本位でつっつくのは好き。
本気で口を出すのは好きじゃない。
男女の仲に割り込むバカは、チョコボに蹴られてお星様…という伝説があるとかないとか。
でもでも
やっぱりこんなのは好きじゃない。
みんなで楽しく愉快に面白く。
それがパーティのいいところだから。
−パーティのピンチを救うのはリーダーの義務と権利とお仕事なのにゃーーーーっ!!−
轟っっ
心で炎が燃えてくる。
熱い炎が燃えてくる。
轟轟っっ
背中で火柱燃え上がる。
激しい火柱燃え上がる。
キラキラキラ
ついでに猫目にお星さま。
ぷりてぃーきゅーてぃーふぁんたすてぃっく。
でもでも…
ミスラはリーダーじゃ無かったような気がするのだけど?
「んじゃ、サブリーダーでもいいにゃ」

−つづく−

19 :名無しの話の作者 :06/06/23 01:14:56 ID:D6atCU7p
ごめんなさい、ごめんなさいm(_ _)m
とっても間が空いてます。
けど、前回から1ヶ月くらい後と思っていただけると、私がとっても嬉しいような気がします。
今年はタル侍が出てこれませんでした。
アレと間違われて追っかけ回されてたようなのは気のせいでしょう。
次はヒュム戦復活です。
…多分…(-_-)

20 :(・ω・):06/06/23 09:40:41 ID:ZpOl5kx7
名無しの話の作者様へ

いつも楽しく拝見させていただいてます。
作品がアップされてる度に小躍りさせていただいてます。
ヒュム戦が盾で凹まされる瞬間が大好k(略

忙しい中でのUPかと思われますが、作品の続き、とてもとてもとても楽しみにしております!!
季節の変わり目ですので、体調を崩されない様に〜!

燃えている ミスラの背中に 超期待! 

21 :(・ω・):06/06/23 10:14:13 ID:LR6PYsQr
きーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
てーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
たーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

22 :記憶の冒険者 :06/07/10 10:22:51 ID:rHyq+0Kj
あなたは覚えていますか?
初めてのキャラを造りあの世界にログインした時の胸の高鳴りを
あなたは覚えていますか?
サポートジョブをGETした時の歓びを
あなたは覚えていますか?
初めてジュノに着いたときの感動を
あなたは覚えていますか?
チョコボ免許を取得したときの嬉しさを
あなたは覚えていますか?
エキストラジョブを手に入れた時の誇らしさ
あなたは覚えていますか?
飛空挺パスを手に入れた時の高揚感を
そして、
闇の王を倒したときの魂が震えるような感動を





そして、信頼できる戦友、仲間を、あなたは今も覚えていますか・・・・・

23 :(・ω・):06/07/11 11:09:50 ID:vP3YTKYF
剣団キターーーヽ(*´Д`*)ノウホホーー

24 :夢月の邂逅1:06/07/16 14:48:28 ID:0+2hm4uV
「う……うぅむ…」
彼は倦怠感と軽い頭痛に促される様に、意識を取り戻した。
霞む視界を、頭を振って振り払う。
「む?ここは……」
神々しくも淡く、全てに慈愛を施すかの様な光の中に、自分が居る事を認める。
「おぉ、この温かい光…こりゃ月か?」
好奇心がくすぐられたのか、手を動かしたり足を振ったりして、確かな何かを掴もうとしている。

――そんな彼の目の前に、周りと同じ様な光の粒子が集まっていく。
やがて、その光景を見つめる彼と同じ――タルタルの形を成し、光が収まっていくと共に姿を露わにしていく。
「…久しぶりかな、コルモル…君の姿を見るのは…」
微かに光をその身体に残しながらも、彼――コルモルが良く知る声の主は微笑んだ。
「おぉ?…おぉ!カラハバルハではないか!おまえさんとは20年ぶりになるが元気にしとったか?」
身を置いている状況の全てを頭の端に置き、コルモルは懐かしい友との再会をガハハ、と陽気に笑って喜ぶ。
風評に『変わり者』とされている彼が、己の置かれている状況に疑問を抱くのには、僅かばかりの時間を要した。
「ん?そういや、お前さんは戦争で死んだんじゃなかったか…? とすると、ワシも死んだ?」
特異な順序でモノを考える彼を見て、カラハバルハは笑いながらも「君は亡くなってはいないよ」と付け加えた。
そして静かに「やっと、戻ったんだ…」と呟く様に語り始める。
「私達のウィンダスが…未来を望んで、確かに歩み始めた…。
 私達が守ったウィンダスは、もう大丈夫…大地が、星々が、あるべき力を取り戻していく」
光の外、彼方に煌く光の点の数々を見つめながら、「コルモル」と続けて呟く。
「君達三博士や、院長達…そして冒険者達。皆の成果だよ。ありがとう…。
 お陰で、偉大なる獣も蘇えったんだ」

25 :夢月の邂逅1:06/07/16 14:50:42 ID:0+2hm4uV
「ガハハハ!お役に立てて何より!
 それにしても、ワシ等が博士になっとる事まで知っとるとは、流石カラハバルハ。相変わらずで何よりだ!」
「…ずっと、観ていたよ」
「お?」
自分が笑っている間に、ふとカラハバルハが漏らした言葉に引っ掛かるものを感じるコルモル。
だが、彼が次に何かを考えるより先に、カラハバルハの口が動いた。
「そうだ、コルモル。前に私の貸した魔法人形…いい加減に返してくれないかな?」
「おぉ、そういえば借りていたな。今度会う時には持ってこよう」



彼等はそうして幾ばくかの時間を楽しんだ。カラハバルハに至っては、話を積極的に咲かせてその時間を精一杯楽しんでいる様に見えた。
まるで、猶予を与えられた時の流れの中で、最後の思い出にするかの様に。



やがてコルモルの意識に変化が生じる。
彼の頭の中に入り込む様に、掻き乱す様に慌しい足音が響く。

26 :夢月の邂逅3:06/07/16 14:51:30 ID:0+2hm4uV
「うう…なんだ…?」
「……コルモル。そろそろ帰らないといけない様だ…。
 私も、君も」
「お、どこへだ?」
「私は、ウィンダスを、見守る、全てに…。
 君は…目を覚まさないと」
尚も淡く輝きつづける中で、二人で腰を降ろして座っていたカラハバルハは、ゆっくりと立って、また光の外側を見つめる。
コルモルは、彼の背中に頼もしい様で、儚く、切ない様な、そんな印象を受けていた。
「…頼みごとがあるんだ」
「おおう…ワシにとは珍しい。なんだ?」
意識がどこかへ引っ張られる様な感覚に覆われながら、辛うじてカラハバルハを見遣りつつ返事を送るコルモル。
「言葉を…届けて欲しいんだ。
 偉大なる獣が蘇る為に、全てを投じてくれた、星の神子様…。
 星の神子様を支える様に手を尽くしてくれた、ゾンパジッパの子供達。
 常に星の神子様の傍でその御身を守ってくれた、守護戦士達。
 ウィンダスを常に考えてくれている院長達、他の博士。
 …そして、ウィンダスを未来へと向かわせる様に、確かに手を引いてくれた、あの冒険者達に…
 ありがとう、と」
コルモルの意識の中に、彼自身が近年知るに至った人物の、威勢の良い声が彼を呼びつづける。
それはどんどんと大きくなり、同時に彼は意識が朦朧となっていく。
「うう…何か用か…? ワシは今、満月の中で、懐かしの旧友と……」
頭の中の呼ぶ声に耐えられず、呻く様に呟くコルモルを観て、カラハバルハはその由を知っているのか、悟った様な表情を浮かべる。
彼はこれが最後を言わんばかりに、切なげに語りかけた。
「コルモル。公私混同だけど…ずっと星の神子様の傍で、支えてあげ………っっ……」
淡い光に覆わて微笑むカラハバルハを見つめながら、コルモルは最後まで言葉を聞く事無く、意識を失った。

27 :夢月の邂逅4:06/07/16 14:56:51 ID:0+2hm4uV
「おーい、博士、博士ぇー!…起きろコラァ!」
「…起きねぇな」
「どうする? 叩き起こすべきか?」
「…そっと、寝かしておいたら…」
「いや、そうもいかんだろ。飛空挺の発着まで時間無ぇし、クソ重たいコレ、さっさと渡したいしな」
動きやすそうな服装と、盗賊が好む様な短剣を腰に備えた女性が目を瞑ったままのコルモルを大声をかけながら揺すり続ける。
その横で、様相を観察しながら会話する三人の男女。
いずれも剣や盾、槍、錫杖等の装いを備えていながらその格好・人種に統率性が見られない事から、冒険者と推して知れる。
「さっさと起きないと…!!」
片手の拳を強く握り上げて、今にも殴りそうな所で、コルモルはその瞳を開く。
少し欠伸を取り、身体を伸ばしながら、霞む瞳をこすって目の前の、自分からすると大きなヒュームの女冒険者を窺う。
「ほほう、冒険者君達か。なんの用かな?」
あまりに自然な振る舞いに、唖然とする四人の冒険者達。
僅かな間を置いて、重たそうに化石を抱えていたヒュームの男冒険者がコルモルに近付き、ゴトン、と置く。
「ほれ、前に博士の言ってた貝、コレじゃねーの?」
「おお!そういえばそんな事も頼んでおったな!」
ガハハハ!と笑うコルモルに、溜息をつく冒険者一行。
「…あたしは、先に飛空挺の方へ…」
「それでは、私も」
大人しそうな、魔法使いの外套を纏ったタルタルと、柴色の甲冑に身を包み槍を背負ったエルヴァーンの両女性が、扉を開けて出て行く。
「労賃は、これで足りるかね?またいつか、ワシの研究の方に手をかしてくれたまえ」
そうして手近の机の上に置いてあった棍棒を手にとり、掲げる様に手渡す。
そこに拒絶の返答は許されていなかった。
「…どうも…」
「さあ、あとはこれを、隣のハカセに知られぬようにこっそり返さないと……」
渋々受け取る男冒険者を尻目に、ぶつぶつとコルモルは化石を見つめながら、策を講じる様に呟き始める。
用事の結末に呆れたのか、お手上げの様相を呈しながら、ヒュームの女性は扉を開けて、入り口の傍にもたれかかった。

28 :夢月の邂逅5:06/07/16 14:57:56 ID:0+2hm4uV
「さっさといこーよ。そんなのに付き合ってたら日が暮れるし」
「そうだな…じゃあ博士、またなー」
先の女冒険者に続く様に、棍棒を持ちながらも、男冒険者はコルモルに手を振って去っていく。
それまで呟いていたコルモルが、ハッと思い出したかの様にその冒険者二人へと視線を向けた。
「おおそうだ!思い出したぞ!」
「ん?」
呼び止められたものと察して、振り返るヒュームの男女。
「カラハバルハから聞いたぞ。なんでも大いなる獣を蘇らせる為に、大活躍だったそうじゃないか」
「…なんで、この人が俺達のやった事知ってんだ?」
「カラハバルハって、あの英雄のカラハバルハ? もう亡くなった人じゃん」
「って事は、博士お得意の『夢』って事か?」
唐突に言われた言葉に論議を醸す冒険者を見つつも、コルモルは独自に考えを張り巡らせる。
「……お?おかしいな?
 カラハバルハは死んどるよな。ありゃ夢か?」
「うっわ、この人自分でツッコんでるよ…」
「まぁそう言うなよ、それが博士なんだしな」
片割れで思わず率直な感想を漏らす姿を見ながら、なだめる様に男冒険者が笑う。
その間にも、コルモルは結論を出していたらしく、続けて声を発した。

「まぁ、夢でも変わらんだろ。
 カラハバルハは、おまえさん達に『ありがとう』と言っておったよ」

29 :夢月の邂逅7:06/07/16 14:59:29 ID:0+2hm4uV

この人は、一体どこまで知ってるのか。
二人の冒険者は揃って、そう心中で呟いた。だが同時に、そのコルモルの言葉に、温かいものを感じずに居られなかった。
さも満月の泉で感じた、星と月の温かさの様な、温かさを。



「そしてワシには、貸した魔法人形を早く返せと言っておった。ガハハハ!」

一瞬感じたものが崩れ去る様に、コルモルの独特の空気に呑まれる二人。
「…アホくさ。…って!そろそろ行かないと本気で乗り遅れるって!」
「あぁ、急ぐか。博士、また『夢』ん中でカラハバルハと会えたら、どういたしまして、って言っといてくれよー」
二人の冒険者は足早に去りながら、笑い話をするかの様な口調でそう言い残し、やがて扉が閉まると共に、コルモルの家には静寂が訪れる。



「まずは一つ、旧友の頼みを果たせたか…」
コルモルの記憶には、確かに焼き付いていた。月の中で見て、聴いた、カラハバルハの姿、声を。
「カラハバルハ、ワシはちゃんと頼まれた事を果たそう。おまえさんが出来ない分も…な。
 だから、魔法人形の事は見逃してやってくれ!」
ガハハハ!と一人、愉快そうに笑いながら、また一つ夢の中での頼まれごとを果たす為に、自らの家の入り口の扉を開ける。




彼が、家の傍で待ち構えていた骨工ギルドの人員に拉致され、滞らしていた、膨大な支払をさせられたのは、また別の話である。

30 :(・ω・):06/07/16 15:04:48 ID:0+2hm4uV
|・ω・`)ついカッとなって書いた。後悔はしていない。

見やすく分割するのって難しいやね…(´・ω・)
番号が二つめも1なのは勘弁してくだちい。

ウィンダスの、例のアレのアレ。脳内予想で書いた。
カラハバルハ自体は、魔晶石イベント位しか言葉が見受けられないので、勝手に口調の性格付けさせて貰いますた。
読んでくれたアナタの中のカラハバルハとイメージが違う場合は、御容赦下さい。

コルモルも、書く上で非常に難しい…。
口調なんかはある程度はわかるとして、そのボキャブラリーが余りにも掴めない。
ってワケで、違和感が無いと感じて頂ければ、幸いの極みにございます(´・ω・`)

冒険者は適当に人格付けしました。誰かをモチーフとかありません。俺の趣味です、完全に。


世間はアトルガンに加速度的に向かっているけれど、
俺は、三国が好きだぜ!!
…もう、引退してますが(´_ゝ`)

31 :(・ω・):06/07/16 15:06:49 ID:0+2hm4uV
追記:誤字脱字は、勘弁してください

それでは皆さんに良いFFライフを!

32 :(・ω・):06/07/18 12:30:47 ID:sDmKVxwA
いやいやいや、こういう話し好きだな〜。
なんとなく、未来に架ける何とかって言うクリスタル戦争時の院長のフラッシュを
思い出したよ。


33 :The Phantom Pain:06/07/18 23:23:44 ID:WHGzDTqT
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新33話をupして参りました。
今回も1ヶ月強お待たせしてしまいました、ご容赦ください。

>>12さん
1ヶ月間も【ダルメル】させてしまいました。
その甲斐があるものになっていればいいなと思います。
しかし「ダルメルする」という動詞は自分で言ってて如何なものか。

>>14=ガルカのコックさん
ご無沙汰にご無沙汰を重ねております。申し訳ありません。
読んでくださる方がいる。待ってくださる方がいる。
それを純粋に思い出させてくれて、いつも感謝しております。
ありがとう。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


34 :ガルカのコック:06/07/19 12:56:24 ID:2VzBGHC6
ID:0+2hm4uVさんへ

お話のUPありがとうございます。

キャラの個性が出ていて、とても楽しく拝見させていただきました。

ウィンダスのミッションは進めていないので、カラハバルについては
謎が多いのですが・・・コルモルの話し方はそっくりですね(^-^)

また何か思いついたら作品の方を読ませていただきたく思います。


The Phantom Painさんへ

久しぶりです!

毎回作品のUPを楽しみにしております。

ストーリを考え、文書構成を考え、それを文面にして修正、そしてUP

並々ならむご苦労をされてるかと存じますが、これからも応援させていただきます!!

後、何故かそちらの直リンクに飛べないのですが・・・;;

む〜何故だろう


名無しの話の作者様へ

ぷりてぃーきゅーてぃーふぁんたすてぃっくな目でお待ちしてます。

35 :The Phantom Pain:06/07/26 23:08:39 ID:pLYZ1c91
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新34話をupして参りました。

>>34=ガルカのコックさん
今回は早めにupできました。楽しんでいただければ幸いです。
リンクから飛べないとのことですが、
確認画面のアドレスを踏んでも飛べないのでしょうか?
アドレスをクリックすると、広告がたくさん張られた確認画面に一度飛びます。
その画面の中央あたりに小さく、確認のアドレスが表示されているので、
もう一度そこをクリックしてください。
それで飛べなければ、ちょっと私には分からないので、
どなたか詳しい方に説明をお願いしたいところです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


36 :(・ω・):06/08/11 21:27:06 ID:OKMOuVvt
Phantom Paink来てた!

37 :(・ω・):06/08/15 11:24:25 ID:bKWkiNXS
ヽ(*´Д`*)ノ 剣団も来てたよウワーイ

38 :The Phantom Pain:06/08/26 00:22:33 ID:LbXxN2J6
毎度、失礼いたします。
先ほど、wikiさんに「The Phantom Pain」最新35話をupして参りました。
1ヶ月お待たせさせてしまいました、ご容赦ください。

>>36さん
また来ました。
楽しんでいただければ幸いです。

では、よろしければ、こちらで。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/?page=The%A1%A1Phantom%A1%A1Pain


39 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:26:13 ID:zeNngbcx
シャクラミ地下迷宮

ミストが釣りをしていた。
別に魚がつれなくてもよかった。
トライラマイでの出来事を反芻しながら、思う事はたくさんあった。

逃げる事を、選択したミスト。
ルークはそれに付き合ってくれているけれど…
ルークは本当は闘いたいんじゃないだろうか。
あの、敵と。
ミストの胸に、広がる思い。
ぽちゃん。
と、水面に小石が転がり落ちて波紋が広がる。

はじめは小さな石つぶて一つが起こした波紋なのに、
いつのまにか大きくなりすぎて
自分の手では止められないような影響を
あちこちに与えてしまいそうで。

何より、生きることを願った自分は
戦いの恐怖をもう思い出したくは無くて。
戦いの中にある多くの死を、見すぎて。
両手からこぼれ落ちてゆく、救えなかったいくつもの生命。
それを見続ける事が、ミストには耐えられなかった。
クン。
竿がひかれる。
が、ボンヤリしていたミストは、竿を上げた時には餌だけ奪われていた。
「ぁ…」
ふぅ、とミストの重い吐息。
また、水面にぽちゃんと小石が落ちた。
波紋が広がる。
「ん?」
と振り返るとタルタル族の青年がパタパタとミストの後ろを走っている。
そして、岩肌を見ては、吐息をついてまたパタパタと走る。
「どう、したの?」
思わずミストは声をかけた。
自分のついた吐息は棚に上げても
他人のついた吐息が気になってしまう。
ミストはそんな人間だった。


40 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:28:21 ID:zeNngbcx
「あ、すみません。釣りしていらっしゃる後ろでバタバタしちゃって」
「ううん。釣りは別に…。気晴らしだからいいんだけど。
何か探しているのかな?」
「ええ。いい採掘ポイントを探しているんですが。これが中々…」
疲れたようにぺたんと座って吐息をつくタルタル族に
ミストは笑った。
「もしよければお茶を一緒に飲んで休もうか」
ミストは荷物の中から茶葉と茶器を出し、コポコポとウィンダスティを入れる。
「ありがとうございます」
タルタルはミストの足元にきて、はぁ。ともう一度吐息をついた。
地下の湿った空気の中に、ウィンダスティの香りが広がる。
「どうぞ。熱いから気をつけて」
ミストはウィンダスティとジンジャークッキーをタルタルに差し出した。
「あ、ありがとうございます」
受け取ったタルタルはクッキーをこりこりとほおばり、嬉しそうに笑う。
どうやら、お腹もすいているようだった。
「採掘師ってわけでも、なさそうだね」
ミストの言葉にタルタルはクッキーを咽喉に詰まらせた。
「ムグ、んっ!ど、どうしてわかるんですか?!」
ミストは柔らかく笑んだ。
「手が、ね。採掘師の手じゃない。剣を握る手だね」
「え?」
タルタルは自分の手をじっと見る。
「前に山師さんの手を見たけど、剣士の手とは全然違う所が硬くなっていたから」
手にいくつもある硬くなった所は、剣士特有のもの。
「たははっ。ばれましたか」
「剣士さんが、採掘?」
「ええ、まぁ。というか、探しているんです」
「何を?」
「竜の卵です」
タルタルは自分の手を見て、深く笑った。


41 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:30:27 ID:zeNngbcx
「竜の卵…?」
「ええ。ぼくは竜騎士になりたくって。
戦士や忍者も極めたつもりだったんですけど…。
自分の竜が欲しいのです」
「竜騎士…」
ミストの言葉にタルタルは大きく頷いた。
「そう。竜騎士です。
竜は忠誠を誓う獣です。
卵を見つけたものを生涯の主人とし、2人の主人を持たない。
ぼくはそんな竜とヴァナデールを旅をしたくて…。
ぼくの竜の卵を捜しているんです。
シャクラミから採掘できるって聴いたんですが
これが中々…採掘なんかはじめてでして、難しい」
タルタルは眉間に皺を寄せた。
「竜と供に闘う騎士。
獣を操ったり神獣を呼んだりできるジョブはあるけど…」
ミストの呟きに、タルタルは身を乗り出した。
「竜騎士は違うんです。
竜と供に生きることができるんです。
ずっと一緒にそばに寄り添っていてくれるんです!
その言葉に惹かれちゃって」
てへへっと笑い
ふーふーとウィンダスティを冷まし、うまそうにタルタルは飲む。
「いいね」
ミストの言葉にタルタルは頷く。
「育ててみたいんです。
ぼくの、竜を。
そりゃ竜騎士は、街で生きるのはむつかしいって聞きますけど
強いし、カッコイイし
何より供に冒険する仲間がいるのは、いいです」
「供に…冒険する、仲間」
ミストは遠くを見る。

42 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:33:09 ID:zeNngbcx
そして、首をかしげた。
「竜は本当に主人を裏切らないの?」
ミストの言葉にタルタルは大きく頷く。
「そう、聞いています」
「でも、もし主人がどうしようもないような主人だったら?
冒険を辞めちゃったら?」
ミストの言葉にタルタルは
ん〜と眉間に皺を寄せて悩んだ。
そして、悩みながら口を開く。
「どうでしょうね。
ぼくにはわかりません。
ぼくもいつか冒険を終える日がくるかもしれない。
竜にふさわしい、主人ではいられないかもしれない。
でも、ぼくは竜に恥ずかしくない生き様を見せるつもりだし
竜に、供に生きていきたいと思ってもらえるように
努力するつもりです」
「………」
「ぼくとぼく以外の生き物。
二つの命があったら反発する事もあるだろうし
お互いに考えや意思が違うかもしれない。
でも、ぼくはお互いを尊重したい。
自分を殺さず、竜の意思も尊重したい。
そのために仲良くなって、お互いの気持ちがわかるようになりたい。
そんな風に竜を育てたい。
人の付き合いも、そうじゃないですか?
なんて…たははっ。
竜に意思や心があるのか、謎ですが。ね」
パクッとジンジャークッキーを口の中にほおりこんで
タルタルは言った。
「尊重しあう…か。いい言葉だね」
ミストの言葉にタルタルは笑った。
「竜と一一緒にヴァナデールを見ます。
ぼくは。
そのために竜の卵を捜しているんです」
タルタルは立ち上がりクッキー屑をはらった。
「じゃ、また僕の竜の卵を捜してきます」
タルタルは手を振って駆け出していった。

43 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:35:48 ID:zeNngbcx
ミストはシャクラミの天井を見上げる。
「ぼくは…ルークに甘えてばかりなのかもしれないな」
ぽろりと落ちた言葉に、涙があふれた。
いつか、ルークは闘うかもしれない。
あいつと。
そのときミストは親友として隣に立てるか…。
生きて残れるのか。
自分のバックを見る。
いくつもの楽器が入ったバック。
今までサポートジョブとしても、いわいる本職のジョブはつけなかった。
本当なら、ミストの本職のジョブをつけたほうが、
どんな冒険も危機も楽に乗り越えられたのに。
「回復魔法…錆びついちゃったかな」
ミストは小さく呟いた。
素性を知られたくなくて、本職のジョブから遠ざかった。
ルークはその事について何も言わなかった。
詩人としてのミストをあるがままに受け入れてくれた。

二人という事。
一人ではないという事。
ミストの意思だけではなく、ルークの意思も尊重して旅をすること。
当たり前の事なのに、分かり合っているとおもって
侮っているといつか手痛いしっぺ返しを喰らうかもしれない。
「いつか、のために。覚悟と準備は必要…なの、かな」
ミストは震えた。
目を閉じる。
戦いの日々は今のミストには記憶だけでも辛すぎた。

追記

小さな竜が長い首をかしげるようにタルタルを見る。
「ええと、竜の食事は…んと。
ベットはこんなカンジでいいかな?
お前は今日からぼくの家族だよ」
タルタルが差し伸べる手を
生まれたばかりの竜は気持ちよさそうに目を細めてうける。
また、はじめから。
故郷のサルタバルタから、修行の日々が始まる。
でも、歩む道のりは一人じゃない。
「一緒に、頑張ろうな」
タルタルの言葉に竜は頷いた。―ような気がした。
タルタルは竜の光る青い背を撫でて、そして自分のベットに入った。
濃い紫紺のアーティファクトと長い槍を手にする時も
傍にはこの竜が一緒に飛んでいることを祈りながら
タルタルは気持ちのよい眠りについた。

                   END


44 :ヴァナディール紀行:06/08/30 19:39:43 ID:zeNngbcx
お久しぶりでございます。
wikiの読み方がわからなくて、過去を見つけられなかった私です。
シャクラミからだったと思うのですが。

少しずつ過去を出しながら、またぽつぽつと書いて行けたらよいなと
思っています。

スレを守ってくださる飲み手の皆様
書き手の皆様、ありがとうございます。
新しい方の作品も楽しみにしています。

                N


45 :(・ω・):06/08/31 09:50:59 ID:MtFSfyCH
(*´Д`*) お疲れ様です いいわぁ

46 :(・ω・):06/09/03 17:24:37 ID:u8Se/G/g
初めて投稿します。一本書き上げたら、いてもたってもいられなくて。
お目汚し失礼します。

47 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:27:31 ID:u8Se/G/g
『 倉庫たちの詩 』

それは、冒険者と呼ばれる存在が、世界を巡り始めた黎明の時期。
各国に競売所と呼ばれるものが作られ、物資の流通が勢いを増し、その一端を冒険者たちも担うようになった
時、一つの問題が彼らを悩ませることになった。
冒険には、資金が要る。
地に満ちる数多くの危険から己が命を守るには、力量に合った装備や武器、薬品や糧食など、およそ想定し
うる限り、そして背負える限り携えなくてはならない。
よって、金策は冒険者として当然の素養と言えたが、その為に割く時間もまた貴重であり、心の翼は彼方を
駆けてやまなかった。

やがて、ある存在が生み出された。
それは「冒険をしない冒険者たち」だった。彼方に旅立つ彼らの代わりに、三国にあって彼らを支え、手助けと
なる者達。
それは冒険者の身内であったり、契約を結んで金策の代行を務める者であったりした。
ある者は地元の合成ギルドで技を磨き、その職をもって日銭を稼ぎ、ある者は家庭菜園を設け、収穫をもって
糧を得る。

そもそも当初の彼らの存在価値は、彼らに支給されたモグハウスの余ったスペースに、旅に出た冒険者の
使われていない装備などを預けるためであったので、揶揄もこめてか、「倉庫」と呼ばれることが多かった。
しかし、侮るなかれ。
多くの場合、彼らは三国間の個人輸入も行い、競売所を賑わすことも生業としていた。
その働きは冒険者達の更なる活躍の一助のみならず、やがてヴァナ・ディール全体の経済にまで影響を及ぼ
すこととなっていく。
冒険者と倉庫たち。
この二つの歯車が、世界を回す原動力の一つであると、否定できる者はいないだろう。


48 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:29:41 ID:u8Se/G/g
第1話 渡りの風


アトルガン皇国。
彼の地で言う「中の国」より辿り着いて、既に幾月。
いや、うちの「社長」に言わせれば、赴任だっけか。
(ここまで来る予定なかったんだけどなあ……)
毎日暑いし、多くの荷物を運ぶ関係もあって、私はいつも水着で走っていた。
気に入っているし、赤い民族衣装のようなこの服は意外にこの街では浮かないので、誰も文句をつけることも
ない。むしろ、親衛隊だか不滅隊だかの方がよっぽど奇天烈で派手なのだ。
それらにふんだんに使われている金糸なんか見ると、一着でどんだけ使ってるんだろ、とつい皮算用したくな
るのは、仕入れ担当の性かもしれない。

私は、俗に「倉庫」と呼ばれる者だ。
冒険者の肩書きは持っているが、その資格を利用して他の冒険者に雇われている。
違法ではないが限りなくグレーゾーンな存在らしい、と誰かが言っていたけど、危ない事はしなくていいし、気
楽に稼げるのが気に入って契約を続けていた。
倉庫の管理と、私と同じく「社長」と契約した他の倉庫から送られてくる品物を競売に出したり、自分の任地で
しか手に入らない、あるいは他国より安い品物を買い付けて送ったりするのが、主な仕事だった。
三国の倉庫なら、合成の腕を磨いて師範代にまで上り詰めた人もいるんだけど、面倒くさいし独り身の気楽さ
から、私はジュノ大公国に赴任してた。
だけど、最近国交が復活した西の大国に行ってくれないかな、と社長に頼まれて、ミスラの性分か一つ所に
収まるのが好きじゃない私は、深く考えずに話を受けてしまったのだった。
冒険者レベル1の私の渡航費用、しめて50万ギル。社長太っ腹。
ついでに三国からジュノ大公国まで徒歩るよりも怖い道のりも走破しましたとも、ええ。
おかげでそうそう帰りたいなんて言えやしない。きっと、元を取るまで帰す気もないだろう。

49 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:31:13 ID:u8Se/G/g
ここ、アルザビは職人の街だ。
多くの合成ギルドが店を出し、ここでしか手に入らない素材も競売に並ぶ。ジュノ競売所と連携するようになっ
てからは、遠きライバルともしのぎを削る日々が続いている。
いつものルートを走り、売店を冷やかしていく。いい気晴らしになるし大事なリサーチなのだけど、道行く人々
を見るとやっぱり場違いな気がしてしまうのは慣れない。
ここは高レベルの冒険者が集う街でもあるのだ。
華やかで、重厚で、実戦的で、装備のどれ一つとっても高価だったり、入手難易度が半端ではなかったりする
ものばかり。
冒険者が一番金をかけるのは、命を預ける装備や武器だ。
だから、全身に一財産を纏う彼らが、輝いて見えるのは当然なのだろう。
誇りの色に。
そりゃあジュノ大公国だってそうだったんだけど。こっちは遠隔地の為か、私のようなあからさまな「倉庫」が
あまりいないってことも、身の置き所がない理由の一つかもしれない。

それだけならまだ我慢もできたんだけどと、思いながら次の店に到着。
いつもの売店の前には、質素な姿もちらほら見られる。
それは合成スキルの高い者だけが纏う職人服だ。胸に縫い止められた証が煤け、古ぼけるほど年季と実力を
垣間見せるようで、彼らから少し離れて店員に話しかけたりする。
のだけど。
「や、久しぶり」
「あ、こんちは」
最近ここで会う職人さんだった。エルヴァーンの色男、というには素朴な感じに笑う人なので、割と構えずに
話せる数少ない知り合いだ。
「最近どう?」
「ぼちぼちかなあ」
「僕も」
意味のない会話。彼もうちの職人とスキルは同じくらいらしいので、たまに買い物がバッティングする。
というかそれが出会いだった。

50 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:32:42 ID:u8Se/G/g
「いやあ、僕、原木をダース買いする人って初めて見たよ」
どうやって運ぶの?と興味津々で問うて来た、アトルガン初入国の彼だった。
「……直接宅配に持って行ったら、泣かれるわよ」
サンドリアの木工ギルドの盛況ぶりは有名である。ライバルが多いからこそアルザビで買い付けるのだが、
流石にこれだけの数を揃えられるのは珍しかったのだろう。
あの頃はまだここまで来る職人は少なくて、いろいろ安く買えたんだったけ、と、金勘定から思考が離れない
自分が悲しい。
他の倉庫たちもそうなんだろうか。三国なら二人以上いると聞くから、寂しくないんだろうな…と、思ってしまっ
たことに愕然とする。
送り先としての名前しか知らない、会ったこともない。リンクパールによる連絡も、必要事項のみで終始する。
それでいい、それが契約なんだから。仕事さえすれば後は好きにやらせてもらえばい。
……何を?

朗らかに対応してくれる店員たちとは顔なじみだけど、ただのお使いである自分にどれほどの価値があるんだ
ろうか。
(いやきっと呆れてるだろうな……価格がほぼどん底になるまで粘って、根こそぎ買い尽くす女なんて……)
それが仕事なんだから仕方ないんだけど。
更にそれを宅配で送る苦労を、うちの社長はわかってるんだろうか。
特に最近は。

51 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:33:36 ID:u8Se/G/g
ドーン…ドーンドーン……!!

遠くから響いてくる銅鑼の音に、びくっと尻尾まで跳ね上がる。
「やばい、第一級戒厳令だ…急いで!」
慌てて店じまいを始める店員たちと、必死で取引を成立させる。
蛮族と呼ばれる異種族たちが、はるばる遠くからこの街まで攻めてくるなんて、赴任前に聞いた覚えはなかっ
た。あああ…と思わず耳も下がる。
「あ、市街戦だね」
暢気な彼の声がした。思わず握りしめる手はガッツポーズではない。

(きたきたきたぁーーー!)と街がざわめく。
冒険者の血が騒ぐのだろう、ピリピリしてどこか浮かれてる祭りのような空気の高まり。
報せが走り、じきにこの街には、続々と冒険者たちがやってくるだろう。
貪欲な彼らがこぞって集うほど、皇国からの見返りがあるからだ。
……そして私はこっそりと退場する。店員さん達と同じように。
後はただ、祈る。
(どうか競売長と宅配のおやびんさんと、ギルド売店の店員さんのお友達だけは、連れて行かないでください、
蛮族の神様)
真剣に商売に差し支えるんです、名前も知らないけどどうかよろしく。
祈りながら、我が家へと走る。

無礼千万な祈りが効いたのか、モグハウスが閉まっていた。
「嘘おおおおお」
「いや、いつも閉まることになってるよ? 知らなかったの?」
「警報来たら、出ないようにしてたから…」
いつかはやるのでは、と思っていた事って、必ずやらかすのはどうしてかなあ。
「とりあえずどっか、敵が来ないような所にいこう」
「そんなとこあるの」
「周り見てれば、多分なんとか」
あはは、と力なく笑う彼。もしかして。
「…あんた、装備は」
「うん、買い出し装備なんで」
職人服だけかい。いや、守ってもらおうなんてあんまし思ってなかったけど。
そういえば彼の持つジョブを聞いた事が無かった気がする。
こっち行ってみよう、と階段を上る彼に仕方なく続く。
遠くから、悲鳴とも怒号ともしれない響きが聞こえてきた。

52 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:36:11 ID:u8Se/G/g
剣戟の音。魔法が発動する不可思議な音。理解不能な蛮族の叫び。爆発音。
街の喧噪はすさまじかった。
モグハウスは完全防音だったらしい。たまに腹の底に響くうなりくらいしか聞いたことがなかった私は、完全に
気圧されていた。膝が笑って座り込みそうになる。
「まだ大丈夫、このエリアの将軍が頑張ってる」
返事も出来ない。いつのまにか、彼の手を握ってしがみついていた。
ていうか将軍って何だっけ。
「ごめん、ちょっと無理かな」
静かな彼の声。足下は階段になっていた。
「少し下がって」
冒険者の心得に、素早い身支度があるとか聞いた気がする。
特定の装備の持つ利点を生かす為に。だから彼もそれが出来るのだろう。
瞬く間に彼の身を包む、茶色の…布の服。

「え」
彼の短い気合いがその場に響く。でもそれって、あの、忍者ではなくて。
しかもその装備、色違いでも仕立てが違うものだから、目利きが出来なくては仕事にならないからしてわかる
けど、だけどそれは。
「あんた、レベルは」
「モンク20。サポートジョブはまだ取れてない」
「砂丘行ってこいーーーーーー!! ていうか来るな馬鹿ーーーーー!!」
動転する余り、支離滅裂になった。
「だって冒険に来たんだもの、僕」
そう言って、笑い顔も爽やかに、彼は眼下の地獄絵図に飛び込んで行った。
次の瞬間。
どこから来たのかわからない衝撃に、意識が吹き飛んだ。

53 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:37:48 ID:u8Se/G/g
「皇国のサポートがあるからね、ちょっと戦闘不能になっても大丈夫なんだって、聞いてなかったかな」
「知るかそんなの」
びびっていた自分が情けない。
めでたく蛮族を追い返した冒険者たちの歓声が響き渡る。どのくらい気を失っていたのか、いつの間にか夜が
明けていて、遠くに見える尖塔が赤く輝いていた。
「いやあ強い強い。僕の拳、ぜんぜん効かなかったよ」
負けたくせに、屈託なく笑う彼である。
(効くかよ。最高レベルの冒険者が束になってかかる相手だし)
すっかりやさぐれて座り込んでいる階段は、よく見るといつも通る売店への道だった。
ここが戦場になっていたのか。
振り返り、ぼうっと見上げる先では、売店に群がる人の山。
それは私の戦場だった。

たかが売店の開店待ちと言う無かれ。
瞬間に売り切れる品物の争奪戦にかけては、どんなレベルの相手であろうと、引けを取ったことはない。
全勝無敗とまではいかなくても。
それだけが、私の誇りでも。

「よし」
すっくと立ち上がる。まだ頑張れそうな気がするから、我ながら現金だ。
「そろそろだね」
と彼も立ち上がって言う。嫌な予感だ。
「なんで今の時間よ。あんたには関係ないでしょう」
「あ、うちの社長がね、錬金術の素材買い込んで来いって、ほら」
ひょいと上げた手、そこには私と同じ色のリンクパール…社長言うところの社員証が、あった。
「しゃちょ、お…?」
「二人いれば買い占められるって、もちろん価格見てからだけど…って、どうしたの?」
「なんで言わないのよ!」
「なんで知らないの?」
名前見たらわかるでしょ、いつもの送り先だし。
にっこりと、会心の笑みが憎らしい。

54 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:38:51 ID:u8Se/G/g
送り先。
それが、生きて目の前にいる人の名前だと、何故気づかなかったのか。
我が社のサンドリア支店長にして、木工師範代。彼の称号だった。
「なんでそれでモンク20なのよーーー!」
白門と呼ばれる街を走りながら叫ぶ。
「だって合成だけでいいっていう契約だったから!でもさあ!」
「なによう!」
街を知り尽くし、最短距離を走る私にちゃっかりついてくる馬鹿一名。
「ジュノ担当がレベル1でこっちに赴任したって聞いて、行ってみたくなったー!」
ホントに馬鹿だ。
道理で最近、木工関係の流通が滞ってるって、そういうことか。
「できたらもう一人こっちに置きたいけど、今のとこ他は社長しか来れないでしょ?
だから行きたいって言ったら、あっさり通ったよ」
でも自腹で行けってさ、と息を切らせて笑うのが、なんだか眩しかった。

辿り着いた売店の前で息を整える。
「……せめて、サポートジョブの資格は取りなさいよ」
「うん、帰国したらね」
店員が配置につく。静かに手元を見つめ、書類をめくって何かを確認している。
今日の目的の品物の、販売リスト位置を頭の中でおさらいする。
曜日よし、時間よし。ライバル皆無、いや違った。
「負けないわよ」
「うん、楽しいね」
何がよ。わからない。でも、わくわくしてるのも確か。
「こうして同僚と肩を並べるのって」
……同僚?
思わず彼の顔を見上げた瞬間、カウンターの窓が開いた。
「あれくださいなー」
命をかけた買い物の、第一声がそれか。
完敗。



「異動願い…ぐは、マジ? 後任育てないと駄目かなあ」

55 :倉庫たちの詩 :06/09/03 17:42:55 ID:u8Se/G/g
後書き

心臓ばくばくいってます。いいのかこれ、と頭の中で声が木霊します。
一部のフレならバレる気もします。内緒にしてください。

倉庫たち。メインより好きな気がします。
いろんな生き方とか、自然と性格とか出来てる感じがするのは
気のせいかなと思いながら、こんな物語が出来ました。

56 :(・ω・):06/09/03 21:26:53 ID:o9yxdSi5
>倉庫たちの詩
とても面白かったです! 洗練された文体に、テンポのいい遣り取り。
倉庫が違和感なく一人の人間として生き生きと動いていて、引きこまれました。
自分の操るキャラ達に、物語を持ってプレイできる方だからこそでしょうか。
またそんな物語が一つの形になることがあれば、ぜひ文章として読ませて
いただきたいです。というわけで、下がり過ぎなので密やかにage('д')

57 :(・ω・):06/09/04 12:27:05 ID:8om71SbB
わ−い、久々の2作品だー!
イイヨイイヨー!(゚∀゚)

>>ヴァナ紀行
今回は意味深なところが多かったね〜。
次はメリファト?ギデにはいかないのかなぁ。
どっちにしても楽しみだ。

しかし、タルタルに竜か・・・。
名無しの作者トコを思いだした。


>>倉庫たちの詩
56氏も言ってるけど、キャラが活き活きしてるしテンポがいいね〜。
それと、書き方に惹きつけるものがあるかな。
次回作に期待大!





58 :倉庫たちの詩 :06/09/04 20:22:41 ID:38d6FuHt
一晩過ぎて頭が冷えると、ああこう書けば良かった、ああすりゃ良かった、と
推敲しまくりたくなりましたが、一度世に出した以上はまな板の上の鯉なので
潔く諦めます…が、一つだけ。

アルザビの錬金術ギルドの売店は、対面カウンターでした。窓ありません。

脱兎。



>>56
嬉しいお言葉をありがとうございます。とても励みになります。
日曜の午後、突然に神様が降りてきたようなお話でした。
他の倉庫たちのお話もネタがあるようなないような…
がんばります。


>>57
ご感想、ありがとうございます。
勢いで書いたせいか、ポンポン話が展開していきました。
今後も精進して参ります。

59 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:12:06 ID:IDlJPTz/
アットワ地溝

「な。ミスト」
ミストはボンヤリとしていた。
「………」
「ミスト?」
「え、あ、何か言ったかな?ルーク」
ルークは吐息をついて言った。
「たまには景色でも見にいかねぇか?」
魚釣りときれいな風景とうまい食事を作ることが好きな相棒に
ルークは問い掛けた。
「ん?」
「急いで旅しているわけでもねぇし、たまにはアットワの岩山の上からの夜明けも
おつなもんだと思うぜ」
「そう…だね。行ってみようか?」
ミストの言葉にルークは頷く。
「おっし。いってみようか」
りっくりっくと元気に駆け出すルークの後をミストはついてゆく。
トライマライの『あいつ』の一件で思い悩む事があるのだろう。
とルークも当たりをつけていた。
無理矢理話させるのは、趣味じゃない。
が、沈んだミストが口にしない気持ちは
ルークにもなんとなくしか察せないので
気晴らしを提案してみた。


60 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:14:00 ID:IDlJPTz/


砂塵舞う夜のアットワ。
星が瞬いていた。
乾いた大地に荒涼と風が吹く。
かさかさとアントリオンがうごめくが、
ここのモンスターはミスト達にはすでに練習相手にもならない。
岩陰の迷路を抜け、さぁ岩登りをしようと足を進める。
道幅が狭い。
なんてもんじゃないくらい、狭い。
おまけに所々瘴気が沸いていて先に行けない場所もある。
「たしか…ここは落ちるんだよな」
「うん。気をつけてね、ルーク」
「任せろ」
崖を滑り落ち、下の道に下りるのも少しコツがいる。
ととっと降りてまたそろそろと崖を歩く。
「にゃあああああぁぁぁぁぁぁ」
絶叫が上から、響いた。
「え?」
「わ」
瞬間人だと認識した。
よけようと思えばよけられた。
が上から落ちてきたミスラがクッションもなく地面にたたきつけられたら怪我をする。
一瞬でそこまでひらめき、
ルークとミストは両手を広げミスラを受け止める体勢をとった。
「にゃあああぁぁ」
ざざざあああぁぁ。
ドサドサ…ドスン。
滑り落ちてきたミスラに押しつぶされるように、ミストとルークは地面とキスをした。
「おも…」
「無事?ルーク」
ミストは立ち上がり、ミスラをルークの上から抱き上げた。
「にゃあぁ」
小さくなるミスラにルークはパンパンと服についた土を払った。
「大丈夫だ」
「君は、平気?」
ミスラににこっと微笑みかけるとミスラはコクンと頷いた。

61 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:15:27 ID:IDlJPTz/
が大きな瞳からボロッと涙がこぼれおちた。
「ごめんなさい…にゃ。…また落ちたにゃ」
ンっ…クン。
ミスラは手の甲でこぼれ落ちる涙を、ぬぐった。
「この上に、用事?」
ミストの言葉にミスラはコクコクと頷く。
「こんな上に、何でまた…」
「友達と待ち合わせにゃ」
「この上でか?!」
ルークはビックリして叫んだ。
コクン。とミスラは頷く。
「仲良しの友達だったけど
…最近急になんかうち避けるようになったにゃ。
うちのこと悪いとこあったらなおすって言っても、
うちの目見てくれなくて駄目駄目で…
どうしててっ無理矢理迫ったら…今日の夜明けにここで話すって…」
「今日の夜明け……」
「一生懸命昇ってるけど、もう3回も落ちたにゃ。
夜明けに間に合わなかったらどうしよう」
時間は0時を回る。
夜明けまであと4時間という所か。
ミスラの身体を見ると擦り傷切り傷がいっぱいで、
落下の衝撃を二人に教えた。
「まずは、ピーアンかな」
ルークの言葉にミストはエボニーハープを取り出し、爪弾いた。
傷がゆっくりといえてゆく。
ルークはミスラにグレープジュースを差し出した。
「ありがとうにゃ」
「ったく、その男、呼び出す場所を考えろってんだ」
ルークのぼやきにミスラは牙をむいた。
「エーヴァンのこと悪くいっちゃ駄目にゃ!!
エーヴァンは誤解されやすいけどいい人にゃ!
エーヴァンもきっと考えがあって呼んだにゃ!
エーヴァンのこと何にも知らないのに悪口いったら
うちが許さないにゃ!!!」
「にゃーにゃーうるせー」
ルークはミスラの耳を引っ張った。

62 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:17:02 ID:IDlJPTz/
ミストはふっと笑う。
「君はそのエーヴァンさんが好きなんだね」
ミストの言葉にミスラは若葉色の瞳をキラキラさせ
こくこくと何度も頷く。
「好きにゃ。
でも、うちは…リンクシェルでも目立たないし
エーヴァンには足手まといに思われてるにゃ。
いっつも迷子になるし…
戦闘はヘタッピだし。
だからきっと…きっと、エーヴァン…」
「きっと?」
「うちのこと嫌いになったにゃ…」
「んじゃ、何でお前こんなとこ上ってんだよ」
ルークの言葉にミスラは顔をあげた。
瞳が強い意思を込めた緑に輝く。
「うち、いっぱい迷惑かけたから、きらわれて当然にゃ。
それは仕方ない事にゃ。
でも『さよなら』だけはちゃんと受け止めるにゃ」
「そっかぁ」
ミストは頷き、ルークは髪をぽりぽり掻いた。
「でも…………上までたどり着けない、んだな」
ルークの言葉にミスラは
にゃあああっとまた大きな声で泣き出した。
「うち、最期までダメダメにゃ――」
ルークは手を差し出す。
「ああ、泣くな。うぜぇ。一緒に登ろうぜ」
「そうだね。三人ならきっと登れるよ」
「にゃ?」
「行こう。夜明けまでに上に昇ろう」
腕をひかれ、ミスラは立ち上がる。
そしてととっと前に進む。
細いしなやかな尾が揺れる。
「こっち。ゆっくりおいで」
「この骨の上渡って、ああ、急がなくてイイからな」
「下見ないでね」
「あぶねぇ、そこ。崩れるぞ。もう一歩前だ」
ミストとルークの声が響く中、手をひかれミスラはビクビクしながらも前に進んだ。

「ここの瘴気が消えたら、あとはもう頂上だよ」
どれくらい時間がすぎたのか、空は白み始めていた。
ミスラの顔が、ほっと安堵の笑みと、そして複雑な表情を見せる。
この上に待っているものが何なのかわからない。
けれど、ミスラにとってそんなに痛いものでなければ良いとミストは思った。


63 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:19:14 ID:IDlJPTz/

岩山の山頂には銀髪のエルヴァーンが立っていた。
「きたにゃ…」
ミスラの言葉にエルヴァーンは頷く。
二人きりにしたほうがいいような気もしたがそう広くもない山頂。
ミストとルークは少しはなれたが
言葉は漏れ聞こえた。
「うん」
しばらくの沈黙。
朝日が昇る。
ミストとルークはここに来た理由も忘れて、
二人の行く末を固唾を飲んで見守った。
「なぁ」
「うん」
言葉がしばらくでてこない。
朝日がゆっくりと顔を覗かせる。
キラキラと空気が輝いている。
銀髪のエルヴァーンは意を決したように口を開いた。
「俺と、付き合ってくれないか?」
「はぁ?!」
ルークが思わず素っ頓狂な声をあげた。
「うちで…いい、にゃ?」
恥らうミスラにエルヴァーンは頷く。
「ああ。お前しかいないんだ。
これから先どうなるかわからない。
でも、なにがあってもお前のそばで一緒に過ごしていきたいんだ」
エルヴァーンの言葉にミスラが涙を浮かべ大きな胸に飛び込む。
「………―うれしいにゃ」
ルークは足元の小石を蹴った。
「ちっ。やってらんねーぜ!!」
「まあそういわずに。ハッピーエンドでよかったね」
ミストの言葉にルークは肩をすくめた。
朝日が2人の顔に眩しく当たる。
その眩しさに、目を細める。
「ばかミスト。あいつらは、エンドじゃなくて
今日からが、はじまりだよ」
ミストは笑って大きく頷いた。

64 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:20:42 ID:IDlJPTz/


これから始まり、なのかも知れない。
でも、エルヴァーンの台詞ではないが
ミストたちもこれから先どうなるかわからなくても、
この道を選んできたのは、ミストだ。
その選択にだけは自信がある。
これからも、自分の思うとおり、
後悔しないように選択してゆけばいい。
そう思うと、ふっと体が軽く感じられた。
「よかったね。あの二人」
「あぁ。勝手に幸せになりやがれ、だ」
ルークはぼやいた。

追記

「ありがとうにゃ。
夜明けに間に合ったのは2人のおかげにゃ」
ミスラの言葉にルークは肩をすくめる。
「いんや。
ドン臭いミスラだってわかってんなら、一人でこんな山上らせんなよ
エーヴァンさんとやら」
「え?」
銀髪のエルヴァーンは慌ててミスラを見た。
「山を昇るのに何度も落ちてたね」
朝日の中でミスラは顔にまで擦り傷をつくっていた。
「あ…ごめんね。そっか。君がそこまで…―」
言葉をとめたエルヴァーンにルークが言葉を続ける。
「そこまでとろいは思わなかったか?」
ニヤニヤ笑うルークにミスラはぽかぽかと叩く。
「とろくないにゃ。頑張ればできるにゃ!
二人に助けてもらったけど、ちゃんとこれたにゃ!!」
ミスラの言葉にルークは笑う。
「そうだな。お前さんの頑張った結果が現在だ。
おめでとさん」
ルークの言葉にミスラは朝日に負けぬ眩しい笑顔を見せた。

                     END





65 :ヴァナディール紀行:06/09/06 09:26:27 ID:IDlJPTz/
こんにちわです。

今回はアットワ、ここに上ってフレと朝日を見たことが忘れられず
こんな話になりました。
明るく楽しい話になっていればうれしいのですが。

>>57
お言葉ありがとうございます
あいにく予想外れてアットワがきてしまいましたが
お楽しみいただければ幸いです。


このスレに書かれる書き手の皆様
新作楽しみにしています。
読み手の皆様、寒暖の差が激しい季節
お体に気をつけてくださいませ。

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