涙たちの物語8 『旅の始まり』

■掲示板に戻る■
■過去ログ倉庫めにゅーに戻る■
涙たちの物語8 『旅の始まり』
- 1 名前:(・ω・) :05/01/09 09:50:28 ID:mZ+3d7pX
- 【FF11の板(壺)】
前スレ:
涙たちの物語7 『旅の終わりは』(仮板からログ移転)
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1088379577/
【したらば@FF(仮)板】
涙たちの物語6 『旅の途中で』
http://jbbs.shitaraba.com/bbs/read.cgi/game/6493/1077148674/
【したらば@マターリ板】
涙たちの物語5『旅が続いて』
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=6493&KEY=1069286910
涙たちの物語4 『旅は道連れ』
→http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log2/1064882510.html
涙たちの物語3 『旅の流れ』
→http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log2/1058854769.html
涙たちの物語2 『旅の続き』
→http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log/1054164056.html
涙たちの物語 『旅は終わらない』(避難先)
→http://hyakuyen.nce.buttobi.net/FF11log/1048778787.html
(※↑ログ消滅のため【過去ログ図書館】にリンク)
【xrea】
初代 涙たちの物語 『旅は終わらない』
→http://mst.s1.xrea.com/test/read.cgi?bbs=ff11&key=042463790
(※↑見れるときと見れないときがあるらしい)
倉庫等
(Wiki)http://kooh.hp.infoseek.co.jp/
(新)http://f12.aaacafe.ne.jp/~apururu/
(旧)http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/4886/index.html
ここも姉妹スレ?
今はいないフレンドへの手紙2通目
http://yy10.kakiko.com/test/read.cgi/ff11/1103090107/l50
- 2 名前:(・ω・) :05/01/09 10:08:33 ID:mZ+3d7pX
- 前スレに誘導貼れない・・・orz
- 3 名前:(・ω・) :05/01/09 13:09:06 ID:uzcjSgRq
- おおおおおお、やっと立ててくれましたか!
自分、なぜかスレを立てられなかったんで orz
- 4 名前:(・ω・) :05/01/09 17:52:48 ID:mZ+3d7pX
- 前スレ、誘導貼ろうとしたら、貼れませんでした。
どうしようもないので、とりあえず前スレの倉庫格納依頼出してきます。
- 5 名前:(・ω・) :05/01/10 02:39:04 ID:n/KToq+6
- 誘導ないなら・・・・・age!!
- 6 名前:(・ω・) :05/01/10 12:19:51 ID:ZlEHyLCn
- おぃおぃ寂れすぎですよage
- 7 名前:(・ω・) :05/01/10 14:06:33 ID:FmxN8/lR
- また旅が始まるのかwwwwwww
- 8 名前:(・ω・) :05/01/10 14:59:08 ID:W/bfWvGd
- Wiki管理人でございます。新スレおつかれさまです!
WikiのFrontPageのリンクをここに貼り変えておきました。
ただただ毎週のバックアップしかしていないサボリ管理人ですが、
Wikiがグングン育って行くのを見ると、それだけで心暖まる思いです。
これからも、ゆっくりゆっくり皆で育てていきましょう。
あ、そうそう、近々Wikiのアップデートを行なう予定です。
完了しましたらまた報告させていただきます。
それでは、また新たなる旅を!ヽ(´ー`)ノ
- 9 名前:1/3 :05/01/10 22:05:31 ID:HAunhvIn
- [ エリーにおまかせ! 理想のメイド 事件編 ]
僕はワトソン。
この薔薇十字探偵所の探偵助手だ。
今、僕は探偵所の応接室で依頼人の話を聞いている。
そして、僕の前で熱弁をふるっているヒュームの男性が、
今回の依頼人、ヒュム沢ム吉である。
「そこで俺は、毎朝ギルドに通って商品を集めたり、
合成素材の価格を安定させることで、今の財産を築いたんだ」
「はぁ……」
「そして俺は、念願の『ネコ耳メイド』を手に入れたんだ。
辛いこともあった。悲しいこともあった。だが、そんな過去はもう忘れた。
『ネコ耳メイド』は男のロマン!俺はそれを手に入れたんだ!」
「オメデトウゴザイマス……。それで、相談とは何でしょうか?」
「ああ。そうだ。じつはそのメイドのことで相談があるんだ」
「えーと、何か問題でも?」
「ああ。そうなんだ。そのメイドときたら、料理は不味いし、
掃除も洗濯もやらない、主人の俺に口答えする、
そして語尾に『にゃ』を付けない!」
「最後のはアレですが、なんだか、すごいメイドですね」
「ああ!そうだ!まさに俺の理想のメイドなんだ!」
「ハァ?」
「だが、そんな理想のメイドにも、一つ問題があるんだ」
「えーと、それは何ですか?」
「まあ、大したことではないのだが、
どうやらメイドが、金庫から金塊を持ち出しているようなんだ」
「それは大問題なのでは?」
- 10 名前:2/3 :05/01/10 22:05:58 ID:HAunhvIn
- 「まあ、金塊が少々減るのは問題ではないんだ。
問題なのは、どうやって金塊を持ち出しているのかということなんだ」
「えーと、詳しく教えて下さい」
「ああ。以前から金塊が減っていることには気付いていたんだ。
そして、それはメイドが金庫に出入りすることで起きているんだ。
そこで俺は、金庫から出てきたメイドを捕まえて、身体検査をしたんだ。
だが、メイドは金塊を持っていない。しかし、金庫の金塊は減っている。
一体これは、どういうことなんだ?」
「ふむふむ。大体のことはわかりました。では、少し確認させて下さい」
「ああ。なんだ?」
「まず第一に、金塊が減るとのことですが、
それはム吉さんの思い違い、ということはありませんか?」
「それは無い。俺の日課は、金庫の金塊を数えることなんだ。
だから金塊が減ればすぐにわかる」
「ふむふむ。それでは第二に、金庫に入れる人物ですが、
ム吉さんとメイドさん以外に、誰かいますか?」
「いや、いない。金庫のカギを持っているのは、俺とメイドだけだ」
「なるほど。それで、ム吉さんが金塊を持ち出していない以上、
メイドさんが金塊を持ち出している。
そして、問題はその方法ということですね?」
「ああ。そういうことだ」
「なるほど……」
金庫から金塊を持ち出すメイド。
しかし、身体検査をしても金塊は出て来ない。
難事件の予感がする。
だが、相手はネコ耳メイド……。
これは念入りに調査しなくては!
- 11 名前:(・ω・) :05/01/10 22:06:23 ID:HAunhvIn
- 「それでは、早速、そのメイドさんを念入りに調査しましょう!」
そう言おうとした時、僕は扉の隙間から手招きするエリーに気が付いた。
「ちょっと失礼します」
僕は依頼人にそう告げると、あわててエリーの元へ駆け寄った。
彼女はエリー。
この薔薇十字探偵所の探偵だ。
見た目は可愛いミスラの少女なのだが、
その知識と食い意地には、目を見張るものがある。
「エリー?どうかしたのか?」
「どうもしてないわ」
「そうなのか?じゃあ、どうしてコソコソしてるんだ?」
「自己防衛よ。気にしないで。
それよりワトソン、依頼人への伝言をお願いするわ。
『真実はネコ耳に隠されている』以上よ」
「ん?良くわからないが、わかった。ちゃんと依頼人に伝えるよ」
「そう。ありがとう」
僕はエリーの言葉を胸に、依頼人の元へと戻った。
「失礼しました。えーとですね、『真実はネコ耳に隠されている』?」
「それは、どういう意味……。そうか、わかったぞ!」
「え?何がですか?」
「ありがとう!問題は解決した!
ああ!スグに戻って、お仕置きの準備をしなければ!
という訳で、さらばだ!むははは〜!」
依頼人はそう言い残すと、電光石火の如く探偵所を後にした。
僕は訳も分からず、呆然と立ち尽くすしかなかった。
- 12 名前:(・ω・) :05/01/10 23:18:23 ID:n/KToq+6
- う〜む。メイドの正体はミスラではなくて、他種族がネコ耳バンドでも着けてたヤツで、
ニセ耳の中に金塊を隠して持っていっていた。他種族だから、語尾に『にゃ』が付かない。
どうだろう(´・ω・`)?
- 13 名前:(・ω・) :05/01/11 11:06:35 ID:pbjCp9uA
- ゴールドインゴットを金の髪飾りに合成して持ち出してる。
ネコミミの下に髪飾りが。
- 14 名前:(・ω・) :05/01/11 15:59:00 ID:wj7yikwh
- もまえらココは推理スレじゃないですヨ。
と言いつつ>>13に一票。
- 15 名前:(・ω・) :05/01/11 16:34:42 ID:aaxNQKdG
- >>14
エリーにおまかせ の後は、住人が推理してたのが多かった希ガス。
- 16 名前:(・ω・) :05/01/11 19:08:00 ID:wj7yikwh
- >>15
過去ログ漁ってたら見つけました・・・面白かった・・・
>>作者様
非礼をお許しをば оrz
- 17 名前:1/3 :05/01/11 23:41:36 ID:UxorxXCN
- [ エリーにおまかせ! 理想のメイド 解決編 ]
僕はワトソン。
この薔薇十字探偵所の探偵助手だ。
彼女はエリー。
この薔薇十字探偵所の探偵だ。
そして今回の依頼人、ヒュム沢ム吉。
彼からの依頼は、メイドが如何にして金塊を運び出しているのか、
その方法を明らかにすること。
そこで、エリーは『真実はネコ耳に隠されている』と言った。
この言葉には、今回の謎を解くヒントが隠されている。
ム吉は屋敷に戻ると、早速メイドを探した。
案の定、メイドは普段と同じく仕事もしないで、
居間で紅茶を飲んでいたので、簡単に見付けることができた。
そこでム吉は、彼のもうひとつの日課を実行した。
それは、メイドをじっと見つめることである。
ム吉はメイドをじっと見つめた。
ああ。何度見ても『ネコ耳メイド』は素晴らしい。特にネコ耳が……。
「ナニ見てんだよ?」
「ん、ああ。えっと、オマエ、仕事はどうした?」
「アン?そんなの知るか。面倒だから、やってねぇよ」
「なんだと。いいか、俺の命令は絶対だ。
それと、語尾には『にゃ』を付けろと、何度も言わせるな」
「アー、ハイハイ。わかったにゃ〜」
メイドはそう言い残すと、給湯室へと引っ込んでしまった。
一人残されたム吉は、何故かニヤリと笑った。
それからム吉は、部屋の隅に隠れると、
メイドがシッポを出す機会を伺った。
補足だが、メイドはミスラなので、常時シッポは出している。
ここで言うシッポとは、犯行そのものである。
- 18 名前:2/3 :05/01/11 23:42:01 ID:UxorxXCN
- 程無くして、メイドが現れた。
メイドは金庫に入り、数分後、
何も無かったかのように金庫から出てきた。
そして、ここぞとばかりに、ム吉はメイドの前に立ち塞がった。
「ちょっと待った!」
「わ!なんだよ、おどかすなよ!」
「オマエ、今、金庫で何をしていた?」
「アン?ナニもしてねぇよ」
「嘘を付くな。最近、金庫から金塊が減っていると言った筈だ」
「なんだよ。アタシを疑ってるのかよ?
アア、ハハ〜ン。なるほどね。とかなんとかイッて、
また、アタシの体を触るのが目的なんだろ?この野郎!」
「ふふふ。俺を見くびるなよ?
確かにそれも目的の一つだが、今回は違うぞ」
ム吉はメイドをじっと見つめた。
「な、なんだよ?」
ム吉はメイドのネコ耳をじっと見つめた。
「な、何度も見てんじゃねぇよ!」
ム吉の中で疑惑が確信に変わった。
ム吉の手が、ゆっくりとメイドのネコ耳に迫る。
「うわぁ!や、やめろよぉ!くすぐったいだろ!」
暴れるメイドを押さえつけ、
ム吉はメイドの髪に飾られた『金の髪飾り』を掴んだ。
「オマエ、この『金の髪飾り』は、どうしたんだ?
居間でサボってたときは、装備してなかった筈だ」
「そ、それは……」
「ふん。全てお見通しだ。オマエ、合成したな?」
「チッ。ばれたか……」
メイドは金塊から『金の髪飾り』を合成することで、
ム吉の目を誤魔化していたのだ。
だから、ム吉が金庫から出てきたメイドを、
念入りに身体検査しても金塊は出でこないのである。
そして、ネコ耳好きなム吉は、ついついネコ耳に注目してしまい、
金の髪飾りを見落としていたのだ。
- 19 名前:3/3 :05/01/11 23:42:32 ID:UxorxXCN
- これは、ネコ耳好きの特性を逆手にとった巧妙なトリックで、
ネコ耳に注意をそらし、金塊を隠すこのトリックは、
ミスディレクションならぬ、ミスラ・ディレクションと呼べるだろう。
「むははは〜!と言う訳で、お仕置きタイムだ!」
「ハン。好きにしろよ。どうせ、いつもと同じく蜜蝋とかだろ?」
「ああ。あれは飽きた。それに、オマエの弱点はわかっているんだ」
「な、なんだよ、ソレ?」
「今回のお仕置きは、一晩中、オマエの耳に息を吹きかける!」
「や、やめろ!バカ!ひ、ひぃ〜!はにゃ〜ん!」
ム吉の屋敷は、狂喜で満たされた。
それは普段と変わらぬ、ウインダスの夜更けである。
「う〜ん。今日の依頼人は変わった人だったな」
「そうね。あまり近付きたくない人だったわね」
「そうなのか?ああ、だからコソコソしてたのか」
「自分の身は、自分で守る。これは最低限のルールよ」
「ふむふむ。あれ?買って置いたクッキーがない……。
もしかして、エリー?」
「自己保存のために摂取したわ。ごちそうさま」
どんな事件も見事に解決!
エリーにおまかせ!
- 20 名前:0/0 :05/01/11 23:43:11 ID:UxorxXCN
- >13 >14 that's right
>12 ok, another solution
アケマシテ&新スレ、オメデトウゴザイマス。
今年もよろしくお願いします。
- 21 名前:(・ω・) :05/01/12 12:26:42 ID:GSvMyF5P
- 素直に髪飾りだったのかー。
インゴ>金糸>装備で身に付けて誤魔化したんじゃないかと思った自分は
ウィン在住の裁縫屋w
- 22 名前:(・ω・) :05/01/13 04:11:08 ID:3fxz+ups
- しかしヴァナの金の悪いところは加工すっと容易に元に戻せない事だな。
それでも値段安定してっけど。
- 23 名前:(・ω・) :05/01/13 13:22:23 ID:y7J09gKn
- Civilian
○月×日(晴れ時々ブチ切れますわよ)
はたして、タルタルというモノは、
かくもそう在るべきモノなのでしょうか。
私が驚いたことは、
街中で古代魔法と呼ばれる超破壊的な魔法を
ぶっ放すその残虐性でも、
それさえも許せるような愛らしい容姿でもない。
それは、もっと恐ろしいものでした。
「少年ですって?
ふざけてるとワタクシ、ブ チ 切 れ ま す わ よ?」
深く被ったフードをゆっくりと外すと、
そこから美しいブロンドの長い髪を二つに縛った
かわいらしい少女の顔が現れた。
ワタクシという単語がわざとらしく響いたのはそのせいだろうか。
そして、なぜタルタルに性別の壁が無いのだろうか。
老若男女、種族の壁さえも越えて愛されるその魅力に、
私は深く嫉妬し、そして恐れる。
「さて、邪魔者も消えましたし、ゆっくり競売所でも覗かせて頂きますわ。」
テクテクと、死骸(もはや人の形をしていないモノ)の上を歩いて
競売所の窓口まで歩いていく。
あの容姿、口調、もしかしてトリビューンで特集されていた
ウィンダス連邦の魔女、シャントット博士?
そんなことを考えながら、私も求人報告をチェックしに死骸の上を
ゆっくり跨ぎながら進んでいく。
しかし・・・。
「うわぁ・・・。チラシ全部焼けちゃってる・・・。」
残念ながら、壁に貼られていたチラシは全て焼け落ちていた。
やはり女神は私にバイトをさせたくないようです。
「ちょっと!誰か居ないんですの!?」
どうやらさっきの騒動で、競売員の人もにげてしまった様だ。
その騒動の張本人であるタルタルの女の子は、
窓口に備え付けてある机の上を背伸びしてバンバン両手で叩いている。
どうやらご立腹のようで、また古代魔法でも放たれるんじゃないかと、
少しだけ不安な気もします。
もう用もないし、朽ち果てる死屍累々の様に巻き添えに会いたくないので、
私は帰路に着こうと思った。
そのときです。
「全員動くな!とくに其処のヒュームとタルタルの女!」
つづく
- 24 名前:(・ω・) :05/01/14 00:16:47 ID:Hw2SGjrw
- (・ω・)つ【F5】
- 25 名前:(・ω・) :05/01/14 01:50:42 ID:Fwh9w+cY
- ・・・寂れたな此処も・・・( ゚Д゚)ノシ【F5】
- 26 名前:流行り神 :05/01/14 04:46:23 ID:i4Hi8aEs
- 寂れようがなんだろうが、ここが無くなると私は困ります。
というわけで、保守のためup。
ほんとはセイブが上がるか結末まで全部書き終えたら出すはずでしたが、
どうもそうも言っていられないようで。
これからはもっと最速かつ恒常的にだしていけるようにしたいものです。
現在の目標はとりあえずこれを完結させることです。
気が向きましたら、お読みください。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/fswiki/wiki.cgi?page=%CE%AE%B9%D4%A4%EA%BF%C0inFF
- 27 名前:(・ω・) :05/01/14 09:36:39 ID:EFgjP/gz
- >>23
シャントット様ばりのタルタル、イイネ!
続きが楽しみです。
しかし、シャントット様の紹介は、「連邦の黒い悪魔」で宜しく。(・ω・)ノ
寂れようが何だろうが、ここでしか読めない物があるし、楽しみにしてます。
- 28 名前:(・ω・) :05/01/14 11:47:47 ID:yMxFrq1s
- >>26
最後のパーツだけは本物ってオチかと思ったお^^;
- 29 名前:(・ω・) :05/01/14 14:25:07 ID:Vxxko00v
- >>26
いいねー、こういうの大好き
- 30 名前:civilian :05/01/14 21:29:09 ID:0I+Nl473
- >>24さんへ
基本的に、髪型はFFにある物にこだわっていません。
このタルタルがシャントット本人なのかは、
是非続きを読んでいただいて・・・。
つづかなかったらごめんなさい。
>>27さん
ありがとうございます。励みになります!
連邦の黒い悪魔・・・了解です!(☆д☆)>
- 31 名前:(・ω・) :05/01/14 21:32:58 ID:d7v3WWwN
- 風の通る道もう待ちくたびれて
ムラムラしてきた
- 32 名前:(・ω・) :05/01/15 01:55:05 ID:+3Zpv1mu
- 「ハッ・・・ハッ・・・」
月明かりに照らされた従者通りをただひたすらに走る。
後ろを振り返ると幾つものランプの灯りが見えた。
(見えた・・・凱旋広場・・・)
そもそも騎士の家系などに産まれてしまったのが運の尽きだった、
来る日も来る日も作法だ、稽古だと・・・ウンザリする。
自分がなりたいのは大御爺様の様に世界を見て廻る事なのだ。
そんな訳で荷物を纏めコッソリ家を抜け出してきたのだが−
そこはデスティン王が治めるサンドリア。
夜中に歩いてる怪しい奴を見逃すハズがないのである。
『いたぞ!追え!!』
筒所聞こえた神殿騎士の声に慌てて視線を前に戻す、
そこにもいくつかのランプの灯りがチラホラと。
囲まれたら一巻の終わりだ、どうする?
(・・・これじゃあマジで犯罪者かな・・・)
自分の考えに苦笑しつつ再び走り出す。
目的地はチョコボ厩舎
任務はチョコボ強奪
外に繋がれていたチョコボに飛び乗る。
待ってろ、まだ見た事の無い<<世界>>、
このリュクレース・B・Oが今逢いに行くから−
<<続>>(けられるといいなぁ)
- 33 名前:24 :05/01/15 15:26:14 ID:q1AuOxsU
- >>30
【F5】ちうのは、顔のタイプじゃなくてね…。
キーボードF5ってのはリロード(再読み込み)なのですよ。
続きが書かれた後にリロードしたら、即続きが読めるでしょ?
だから、早く続き読ませてねーって事なのですよ。
まさか【F5】に解説つける事があろうとは思わなんだ。
- 34 名前:(・ω・) :05/01/16 12:16:24 ID:Nvs4gLW9
- てことで
ノシ【F5】
- 35 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:40:06 ID:hTt4lRCR
- 私は東サルタバルタにある川原で寝そべっていた。
目に映るのは、若草色に淡く光る風の月。
あたりは静かで、虫の音と、時折跳ねる魚の水音が、川のせせらぎに溶け込むようだった。
(このまま眠ったら、風邪をひいてしまうかなぁ)
そう思いながら、ただぼんやりと月を見ていた。
どれほどそうしていたろう。
「こんばんは」
突然、声をかけられ、慌てて飛び起きた。
声の主はすぐ近くまで来ている。赤い鎧に身を包んだヒュームの若い男性だった。
(こんなに近づかれるまで気づかないなんて……)
川のせせらぎに、歩く音がかき消されたのだろうか。
それとも、戦場から離れて気が緩んだかな。
一人であたふたしているうちに、再び声をかけられる。
「こんばんは……ここで何をしてるんですか?」
無視してしまっていた自分に気づき、失礼のないようにすぐさま返事をかえす。
「ただぼんやりしているんです」
そう答えると、彼は意を決したように言った。
「突然で失礼とは思うのですが、力をお貸し頂けないでしょうか?」
- 36 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:40:29 ID:hTt4lRCR
- 彼の話は、要約するとこうだった。
バストゥークからウィンダスまで長旅をしてきて、連れが病気になってしまったらしい。
なんとかウィンダスには到着し、もう夜中になっていたが、衛兵たちに道を聞きながら薬屋まで行ったそうだ。
薬屋のミスラは、夜中に来た客を、追い返すような真似はしなかった。
事情を説明したところ、なんの病気か見当がついたらしく、すぐに薬の調合に取り掛かろうとしたらしい。
しかし、足りない材料があったため、取ってきてくれたら調合すると言われた。
だが、その材料は魔力を持つものでないと見分けられず、魔力を持たない彼はそれで困ってしまった。
まだウィンダスについたばかりで、こんな夜中に頼れる魔道士の知り合いなどいなかった。
焦れていた彼に、暇なのでそのまま様子を見ていた衛兵が、私の名を告げたらしい。
衛兵が私の名を挙げるのも、わかる気がした。
確かに私は、こんな時間まで起きている暇な冒険者に違いない。
白魔道士としても修行を積んできたし、魔力については問題ないだろう。
それに、近頃は自らの栄達や強さにこそ意味を見出す冒険者が多いから。
みんな忙しく動いていて、こんな小さな助けを願う声が、聞こえなくなってしまっているから。
……本当はわかってる。私はその栄達の道を踏み外したに過ぎない。
でも、道を踏み外して立ち止まっている私だからこそ、聞こえる声もあるのだと信じたい。
「いいですよ。いっしょに行きましょう」
そう告げて、私は立ち上がった。
- 37 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:40:57 ID:hTt4lRCR
- 「タロンギカクタス、ですか?」
「うん。あれが足りない材料らしいんだけど」
それなら、別に魔力は必要ないような……。
出発してから一時間ほどが経っている。
戦闘もなく暇なので、私は自分の役割を彼から聞いていた。
彼はもう敬語をやめている。むしろ親しみやすい言葉を選んでいるように感じた。
……タルタルだから小さいけれど、私は子供じゃないんだが。
タロンギカクタスとは、その名のとおりタロンギにあるサボテンのことである。
もっとも、サボテンそのものよりも、そのサボテンが咲かす花を指して言うことのほうが多い。
珍しい花ではあるし、薬屋に在庫がなかったのもわかるのだが、探すのに魔力は必要ないはずだった。
身長差のため、どうしても遅れる私を振り返りながら、彼は言葉を加える。
「たまに魔力を帯びた花を咲かすこともあるみたいで。魔力を持った人間が集中すれば、見分けがつくって言ってたよ」
なるほど。そのくらいなら、私にはそれほど難しくもないようだ。
道のりもさほど遠くはない。昼までには往復できる距離だろう。
私たちの強さなら、特に危険な敵もいない。このまま、戦うことすらないに違いない。
安全な道行とわかったので、気ままに話しながら進むことにした。
- 38 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:41:15 ID:hTt4lRCR
- 「今はまだ無名だし、ウィンダスへ来たのも、簡単な調査の依頼を受けたためなんだ」
話を聞いて見つめる私の視線をどう思ったのか、戦士は苦笑して弁解を始めた。
「地味な仕事なのはわかってるんだけど、今はこれくらいが精一杯。
でも、いつかは吟遊詩人達に歌われる叙事詩のような活躍をしてみたいよ」
頷くくらいしか反応のしようがない。無邪気なほど真っ直ぐな夢だ。
彼は己の歩む道に、微塵の迷いも感じさせなかった。
どこまでも真っ直ぐに、子供のようだとすら思わせる夢を追いつづけている。
私には語るほどの夢もない。だからせめて、心の中でそっと応援した。
彼の語る夢は、私にはとても眩しかったから。
快活な戦士の話を聞きながら、曲がりくねった道を抜け、開けた場所に出た。
目に飛び込んできたのは、幾星霜もそこに根付く緑と、どこまでも透き通る緑。
生命の尽きたような荒地に、緑色のサボテンが無数に生えている。
山間の隙間からは、沈みかけた月が柔らかな若草色の光を投げかけていた。
そして、緑色に染まった荒地の中、小さな赤い花が密やかに咲いている。
美しい。素直にそう思った。
- 39 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:41:35 ID:hTt4lRCR
- 昼下がりのウィンダス森の区。薬屋のミスラは眠い目をこすりながら私たちを迎えた。
「昨日、誰かさんが夜中に起こしたものだから、とっても眠いのよ」
実際は、気持ちいい陽気で眠くなっているだけなのではないかと思う。
ミスラの言葉に恐縮しながら、戦士はとってきたタロンギカクタスを差し出した。
「ちゃんととってきたのね。えらいえらい。それじゃちょっと中に入りましょうか」
そう言って、他のミスラに店番を代わるよう指示しながら、家のほうへ歩き出す。
私たち二人は、小部屋で待たされることになった。
仔ミスラが入ってきて、トマトジュースを出してくれる。
「それじゃ、私は急いで調合しちゃうから、少し待っててね」
薬屋のミスラは、仔ミスラといっしょに出て行った。
座ると、昨夜からの疲れがどっと出てきた。
一晩徹夜で歩きづめだったのだから、当然だろう。
戦士はと見ると、やはり疲れが顔に出ている。
しかし、連れのことが心配なのだろう。その表情は緊張を解いていない。
「はやく出来上がるといいですね」
そう小声で言ってから、私は黙ってトマトジュースをすすった。
ふと思う。彼の連れは、どんな人なんだろう。
依頼をこなしに来たのだから、同じく冒険者だろう。
彼は生粋の戦士だし、パートナーは魔道士である可能性が高い。
実力の程は、彼を見ていれば想像がついた。
彼は、重い鎧を着けたまま、私に気づかれることなく近づくことのできる戦士だ。
- 40 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:41:48 ID:hTt4lRCR
- あまり無駄話をする雰囲気でもないのだが、聞いてみることにした。
「連れのかたは、どんな人なんですか?」
声をかけると、彼は顔をあげ、はじめて私に気づいたように、表情を和らげて答えた。
「元気な人だよ。……病人を元気って言うのも変だね。でも本当にそういう印象。
落ち着いているんだけど、同じ場所に留まることができないって言えばいいのかな。
走りつづけていないと、退屈で死んじゃいそうな人だよ」
そして首を傾げて苦笑しながら続ける。
「少しだけ、気が強いかな」
聞いていて、魔道士ではないような気がしてきた。
少しだけ間があいた。彼はまた、悩んでいるような表情になる。
「大切な仲間なんですね」
聞くと、戦士は不思議そうに見返してくる。
「だって、こんなに心配しているんですから」
「……そうだね。僕にとっては、とても大切な人」
そう言う彼の目は、とても優しい色をしていた。
- 41 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:42:09 ID:hTt4lRCR
- 「ここに泊まっているんだ」
そう言いながら彼が指差したのは、水の区にある宿屋だった。
すでに薬はできているし、私の手伝いは終わっている。
それでも、改めてお礼が言いたいからと、連れて来られた。
階段を上がり、とある部屋の前で立ち止まると、彼は振り返って言った。
「事情を話してくるから、少し待っててね」
そう言いながら鍵を開け、中に入っていく。
どうやらここが泊まっている部屋らしい。
口下手な私が、どう挨拶したものか考えている間に、彼は戻ってきた。
「遠慮しないで入って。うつったりするような病気でもないから、心配しないで」
彼女も歓迎しているから、と呟く。
彼について入った部屋は、薄暗かった。
部屋の隅には荷物が置いてある。
細身の長剣が一本、壁に立てかけてあった。彼が使うのだろうか。
その槍の横に、彼の鎧と同じ、真っ赤な服が壁にかけてある。
ヒュームが着るサイズ。これがその『彼女』の服だろう。
目を移すと、その彼女が寝ているベッドがあった。
暗くてわからなかったが、どうやら起き上がっていたようだ。
彼はもうベッドのほうへ歩いていた。遅れないように私もあとを追う。
「はじめまして。かわいらしい魔道士さんね」
かわいらしいと言われるのは、ウィンダスに帰ってきてから久しぶりのことだった。
ジュノでは、冒険者らしくないという、言外の意味を感じさせるものもいた。
他の種族からそう言われることには慣れていたが、彼女の声音からは好意を感じ取って嬉しくなる。
「はじめまして。お体の具合は大丈夫ですか?」
「ありがとう。休ませてもらってるから苦しくはないわ」
その言葉を裏付けるように、顔色は悪かったが、呼吸の乱れなどは感じさせなかった。
「よかった……。私にできることがありましたら、遠慮なく言ってくださいね」
安心して自然と笑みが漏れていたらしく、それを見た彼女から頬をつつかれる。
「これならお持ち帰りしたくなるのもわかるわね」
どういう意味だろう……。
- 42 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:42:32 ID:hTt4lRCR
- 私たち二人が打ち解けているようなのを見て、戦士は薬の準備をするため席を外した。
「頼みたいことがあるのだけど、聞いてもらえるかしら」
ふと彼女は真顔になって私を見つめた。
その顔はとても綺麗で、私は一瞬だけ見とれていた。
私たちタルタルにはない美しさだと思う。
誉めたかったが、どう言えばいいのかわからず、返事だけ返すことにした。
「なんでしょうか?」
首を傾げる私を見て、彼女は言葉を続ける。
「私たちが仕事のためにウィンダスへ来たことは、あの子から聞いているかしら?」
あの子……。彼女のほうが年上なんだろうか。
そういえば、彼が尻にしかれているような感じもしたし……。
しかし、恋人をあの子呼ばわりするとは、ちょっとすごい。
「はい。調査の依頼とか」
そんな考えはおくびにも出さず、模範解答を返す。
「頼みたいのはそのことなのよ。私はこんな状態だから、その依頼を手伝って欲しいの。
ここに滞在するのはあと一週間ほどの予定だから、その間に終わらせないといけなくて」
引き受けてはいけない。私の理性がそれを告げる。
私はもう、あの戦士に惹かれている自分を自覚している。
これ以上いっしょにいるのはまずい。深入りしすぎてしまう。
彼の恋人は、こうして目の前にいるのだから、自分が傷つく結果にしかならない。
「わかりました。任せてください」
……引き受けてはいけない。
- 43 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:42:56 ID:hTt4lRCR
- 仕事の内容は、ギデアスの宝物庫にある品々の調査。
それだけならば、それほど難しいものではなかった。
たとえ戦闘になっても、ギデアスのヤグードくらいならば、何体いても問題にならない。
私一人で調査に向かったとしても、簡単にこなせるだろう。
しかし、この調査には条件がある。そしてその条件が、ものすごく難しいことだった。
すなわち、ヤグード達には決して見つからないこと。
そして、一切の痕跡を残さないこと。
ただ侵入するだけならば、まだ簡単なほうだろう。
たとえ見つかっても、仲間を呼ばれる前にその口を塞いでしまえばいい。
極端な話、彼ならばすべて切り伏せながら進むことも可能なのだ。
しかし、この二つの条件によって、そういう手段をとるわけにはいかなくなっている。
どう考えても、戦士が請け負うような仕事ではない。シーフや忍者のほうが向いている。
いや、それ以前に、ギデアスの宝物庫にある品など調べてどうしようというのか。
脅威になるようなものなどないだろうし、さほど価値のある品もあるまい。
どのような目的でこのような依頼を、しかも戦士と赤魔道士という、極めて戦闘的な二人に課したのか。
疑問を口にする私に、戦士は至極簡単な答えをくれた。
依頼主は、実力を証明しろと言っている、と。
インビジを彼にかけ、待っててもらう間に自分にもかける。
お互いの姿が消えてからは、はぐれないように彼に手を引いてもらいながら進んだ。
少し照れくさくなりながら、この手を握っていいのは今だけなのだからと自分に言い聞かせる。
こんなことを考えてしまっていることを、彼の恋人に心の中で謝りつつ。
途中、ミミズがうねっているところを通った。
スニークをかけなければ、魚やミミズには気づかれそうなものだが、それは構わないだろう。
まさかミミズがヤグードに侵入者の存在を報告するとも思えない。
しゃべるミミズを想像してにやにやしている私を、突然彼が物陰へ引き込んだ。
「大丈夫? 痛みをこらえるような声がしていたんだけど……」
ごめんなさい。笑っていただけです。
「なんでもありません。行きましょう」
見えないけれど、彼は不思議そうな顔をしていたに違いない。
- 44 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:44:36 ID:hTt4lRCR
- ようやく宝物庫に侵入し、一息つく。
ここまで何度かインビジをかけなおしたが、余裕を持って物陰に潜んだので、気づかれてはいないだろう。
宝物庫の見張りはどうしようもないので、席を外すまで待った。
扉を開けるときに少し大きな音がしたが、どうやらヤグードには気づかれなかったようだ。
……ミミズは気づいたかも。
宝物庫にある品は、私にはよくわからないものが多かった。
報告するのは私ではないので、手伝わなくて良いらしい。
戦士がひとつずつ調べて、なにやら頷いている。意外と楽しそうだ。
こういう壺なんかが好きなんだろうか。
そう思って、改めて手近にある壺を見てみたけれど、私にはやっぱりよくわからなかった。
- 45 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:44:59 ID:hTt4lRCR
- 「こうやって本拠地に侵入するのは」
作業が終わって休憩しながら、彼が口を開く。
自分でも気づかなかったけれど、ずいぶん緊張していたらしく、彼の声が久しぶりに感じた。
その声はいつもより、沈んでいるように聞こえて、私は無言で顔を上げる。
「侵略でしかないんだと思う」
彼の意をはかりかねて、私は首を傾げた。
そんな私を見て微笑みながら、彼は言葉を重ねる。
「例えば、ウィンダスにヤグードが侵入してきたら、全力で排除するよね」
それはそのとおりだと思う。頷く私を見て、彼は再び微笑む。
「ここはヤグードにとっての住処であり、街だから……」
彼はそう言いながら俯き、言葉を探すように足元を見つめた。
「だから、ここに来る僕たちは、彼らにとって排除すべき存在なんだ」
彼は少し上目になって、私のほうを見た。
その目は少し、傷ついたような色が浮かんでいる。
「それでも僕は、この侵略行為をやめるつもりはない。
僕にはこれしか、上に登る方法がないから」
「……登った先に、何があるんですか?」
そう言うと、彼は意外そうな表情をしたあと、首を傾げて少し困った顔になった。
「何があるんだろうね。本当は僕にもよくわかってない」
彼は立ち上がり、こちらに向き直った。
「ただ、ずっとそれだけを思って進んできたから……。
いまさらこの道を降りるわけにもいかない」
そして、こちらに歩みよりながら、考えをはらうかのように首を振って言った。
「そろそろ出よう。依頼も済んだことだしね」
私は頷き、立ち上がってテレポの詠唱を始めた。
宝物庫から見つからずに出ることは難しいから、このほうがずっと良い。
彼は残されないように、私の手をとり、呟いた。
「きっと、誰かに聞いてほしかっただけなんだ……。
自分の進んでる道をね」
詠唱が終わり、薄らぐ視界の中、私は答えた。
「ちゃんと聞いてますから、大丈夫ですよ」
何が大丈夫なんだろうと思うけれど。
けれど、彼はその言葉を聞いて。
確かに、安堵したように微笑んだ。
- 46 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:45:21 ID:hTt4lRCR
- あれから一週間が経つ。
すでに赤魔道士はすっかり回復して、明日ここを発つことになっている。
この一週間、依頼の手伝いをしてから、毎日のように宿へ行っていた。
すっかり赤魔道士と打ち解けて、戦士よりも多く話をした。
彼女が「あの子」について語るときの顔が、瞼に焼き付いている。
戦士にとっても彼女は大切な相手なのだろうけれど、彼女はそれ以上の大切さを感じさせる表情をしていた。
彼女にはかなわない。何度もそう思ったものだった。
私は今、街の外にある川原で寝そべっている。今日は宿に行っていない。
明日帰ってしまうのだと思うと、顔をあわせるのが辛かったから。
そう自分に言い聞かせている。そんなのは言い訳だとわかっているのに。
風が緩やかに頬を撫でていく。
目を閉じると、風に揺れる草の音がした。
もう会うこともないのだろうから、気持ちを伝えたほうがいいのだろう。
でも、言えばきっと後悔する。綺麗なままの思い出にできなくなる。
……言わなくても後悔する。
身動きができなくなった私は、ここに逃げてきた。
目を開けると、翠の月が私を見下ろしていた。
あの人に会った日も、翠の月が出ていた。
そうして、音もなく近づいてきた彼は……。
- 47 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:45:53 ID:hTt4lRCR
- 「こんばんは」
私は慌てて飛び起きて。
驚いた顔で動けないまま、口を開くこともなく。
「こんばんは……今日は来なかったんだね。どうしたの?」
あの日と違って、問いに答えることもできないまま、彼が隣に腰を下ろした。
月が雲に隠れ、あたりが夜の色に染まっていく。
「今日はちょっと……」
口をつくのは、無意味な言い訳になりそうで、そのまま言葉を飲み込んだ。
彼はそんな私を見て、少し首を傾げたあと、手近にある小石を川に投げ込んだ。
ぽちゃん
その音に虫の声までも止んで、静けさが拡がる。
水面に広がる波紋が、翠にきらめく。
そよいでいた風が止まる。
月が出る。透き通る翠に世界が照らされる。
そして、彼が口を開いた。
「風の月って綺麗だよね。とても優しい澄んだ色で。
ウィンダスに来るまでは、そんなこと気にしたこともなかったのに」
彼がこちらを向いた。
「初めて見たときも、帽子を脱いでいたね。
風の月に浮かび上がる髪がとても綺麗だと思った。
月の光を受けて、きらきらしてたよ」
私は慌てて自分の髪に手をやった。
彼が誉めてくれたこの髪は、決して綺麗なんかじゃない。
くすんだ緑色で、いつも私は帽子を被って隠していた。
「綺麗なんかじゃないですよ……」
そう見えるのは、風の月が投げかける光のせい。
呟く私に、彼は少しだけ困った顔をしてから、こう言った。
「綺麗だよ。とても。
昼間の若草色も好きだけれどね」
そう言うと、彼は立ち上がった。
「明日、僕達はここを発つ。見送りはいらないよ。
きっとまた会えると思ってるから」
そして、彼は街に向かって歩いていった。振り返ることもなく。
あとに残された私は、大きく息をついた。
- 48 名前:翠月 ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:46:07 ID:hTt4lRCR
- 彼は私の髪を美しいと言ってくれる。
まるで、私自身が若草であるかのように。
でも、私はまだ若草の強さは持ち合わせていない。
道を踏み外し、こんなところで足踏みしているだけなのだから。
今はまだ、小さくて頼りない、芽吹いたばかりの若草に過ぎない。
炎のような彼の隣では、きっと枯れてしまう。
そう、彼は炎のよう。温かくて、力強くて。
時には激しく、焦がれるような想いを秘めていて。
そして、その炎の隣には、同じ炎がいる。
ふたつの炎の間に、入る隙間なんてない……。
私は炎にはなれない。
炎のように、道を突き進む力もない。
それなら、私は若草のままでいい。
ゆっくりと伸びればいい。
もしも、炎に追いつくことがあったら。
炎がその力を失うことがあったら。
その時は、この身を焼いて燃えればいい。
燃え尽きるくらいなら、この身を焦がせばいい。
その時まで、少しずつ歩いて行こう。
彼が信じた道を、私も。
- 49 名前: ◆BAsLlXyVEs :05/01/16 12:59:38 ID:hTt4lRCR
- あ、41に間違いが。長剣が槍になっちゃってる。
まあいいか。脳内で修正よろしく。
そのうちおまけも投稿します。
ではでは。
- 50 名前:(・ω・) :05/01/16 13:10:23 ID:aZvl5SbL
- 片思いのいい話っす
続き期待していますよ〜
途中で終わらせないでください
気になって夜も眠れずしんじゃいまう
- 51 名前:30 :05/01/16 22:36:36 ID:xHb9NzcG
- >>33さん
めっちゃはずかしい!
わざわざ説明ありがとうございます・・・。
顔真っ赤ですよ。暑い暑い・・・・。
- 52 名前:(・ω・) :05/01/16 23:37:09 ID:kfcITEwJ
- >>35-48
素敵です〜(゚ー゚*)
是非是非続きを書いてね!
- 53 名前:(・ω・) :05/01/16 23:49:07 ID:xHb9NzcG
-
○月×日(晴れのち逃避行)
別にどこでも良かった。
ただ、そこに留まることが嫌だった。
だからサンドリアへ来た。
だから、別にサンドリアじゃくてもいいのです。
「お前らだな?この惨事を引き起こしたクソ犯人は!」
端整な顔立ちのエルヴァーンには似つかわしくない汚い言葉使いで、
神殿騎士団の制式武具を着けた男が私達に怒鳴りつけてきた。
黒い髪の襟足は短くかられ、顔が隠れるくらい長い前髪を七三分けにしてある。
目の下には黒い隈の様な化粧。
なんというか、サイキックなセンスです。(意味不明)
というか、お前らというのがおかしい。
私は無実なのです。
「どっちだ!こんなことしたクソ残虐者は!」
私と隣のタルタルに的をしぼったのは、
賛辞しても良いくらいの推理だった。
だから早くタルタルを逮捕して私に仕事をくださいな。
「わ、私みてました!」
タルタルが何時放つであろうか解らない古代魔法を恐れ、
遠くに出来た人垣の中から一人の
冒険者らしきエルヴァーンの女性が声を上げた。
どうやら隣のクソ残虐なタルタルがフレアをぶっ放した所をみていて、
私に掛けられた容疑をといてくれるようです。
あら、ワタクシとした事がクソだなんてハシタナイ。
「そこのヒュームの女の子が、さっきの爆発を起こしたあと、
誇らしそうに腰を手にあてて『ふふん』とか言ってました・・・。」
わざわざ物真似までしてくれた。
- 54 名前:(・ω・) :05/01/16 23:49:57 ID:xHb9NzcG
- 「なんですとおおおお!!!!」
と、心の中で叫ぶ私ですが、ご存知の通り、
私は感情を面に出すことが出来ない。
だから、ただ淡白に言うしかない。
「・・・・私じゃないし。」
信じてもらえないのは、言うまでもないことだと思う。
「クソ犯人に限ってそんなクソいいわけをするんだ!」
なんにでもクソをつければいいと思っているのか、
呆れるほど頭の悪い口調で神殿騎士と思われる隈の騎士が怒鳴る。
「おーっほほほほほ!ワタクシを無視するとは良い度胸ですわね!!」
シャントット博士に激似のタルタルが
いつの間にか競売の二階に上がって叫んだ。
「とう!」
飛び降り、まるでボールの様に回転し、スタンと着地して、
またまたボールの様に弾む。
「わわ!わわわ!」
格好よく着地するつもりだっんだろうけど、
体型を良く考えるべきだと助言したい所です。
「ん?・・・お前どこかで・・・・。」
隈の神殿騎士が、タルタルをじーーーーーっと見ている。
そして青ざめ、段々驚愕の表情に。
「おおお、お前まさか!連邦の黒い悪魔!!!」
それを聞いて、野次馬の群もざわついた。
ざわざわ
「・・・おい・・・・連邦の黒い悪魔って・・・・。」
ざわざわ
「逃げたほうが・・・・。」
ざわざわ
「・・・たしかウィンダスの・・・・。」
辺りの雰囲気が暗く重くなるのが解った。
だれもが恐怖していた。
タルタルが一歩前に踏み出すと、民衆はざわざわっと後へ退いて行く。
隈の神殿騎士でさえ、恐怖に声をもらした。
「ひぃ!」
威厳も何もあったもんじゃない。
様ぁみろバーカ。
もちろん心の中で密かに思ふだけですから。
- 55 名前:(・ω・) :05/01/16 23:50:59 ID:xHb9NzcG
- じりじりと民衆ごと隈を追い詰めるシャントット博士。
もうすこしで民衆は恐怖で暴走し、
その間に逃げることができそうだ。
私は走るためにクラウチングスタートの体勢をとる。
バッチコーイ。
そのとき、綺麗な声が響く。
「シュナイダー、そいつを良く見ろ。」
綺麗な女の人の声。
凱旋門の辺りから人垣が割れ、そして綺麗な女騎士が現れた。
まるで演劇の様に仕組まれた登場。
ずるい。
なぜかそんな感情が芽生えた。
「さすがタルタルは見分けずらいな。
そいつはクチナシだぞ、シュナイダー。」
シュナイダーと呼ばれた隈は、目をパチクリさせてクチナシと呼ばれた
偽シャントット博士を見ると、急いで腰のサックから紙の束を取り出して
めくり始めた。
「ああ!!右目と左目の色が違う!てめぇ!このクソ!クソ!」
悔しさで言語がより乱れる。
もう少しで逃げられたのにな。
このまま捕まっても、おばさんが助けてくれるだろう。
大人しくしてるしかない。
「おーっほほほほほ!バレちゃあしかたありませんわ!
みんな死んじゃいなさーーーい!」
クチナシさんは、両手を胸の辺りへと持ってきて、
なにやらぶつぶついっている。
これはもしかすると、フレアをぶっ放す前にしていたものと同じなのではないか。
「まずい!みんなにげろ!」
綺麗な女騎士が叫んだ。散り散りになる民衆。
辺りが騒然とするなか。
「そ〜れ、エスケポ〜ですわ〜。」
びよーん。と音がなり、クチナシさんは闇の渦に巻き込まれて言った。
そして私の視界が暗くなった。
続く
- 56 名前:(・ω・) :05/01/17 00:33:19 ID:+0V6FDCv
- >>53-55
とてとて好きな文体なので、続き大期待。
- 57 名前:53-55 :05/01/17 19:58:40 ID:/yRwvldu
- >>56さん
ありがとうございます!
続き書ける様、とてとて頑張ります!
- 58 名前:Scrapper :05/01/18 04:47:07 ID:1XK0bDqy
- 毎度ありがとうございます.
それと引越しの手続きなされた方,ご苦労様でした.
私に出来るお礼は書くことだけですかね.
というわけで,続きをアップしました.
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ango/5451/
新しいお話も楽しんで読ませていただいてます.
>55で最後の落ちに吹き出したりしてまして.
では,読者の皆さんも作者の皆さんもがんばってくださいね.
- 59 名前:(・ω・) :05/01/18 15:12:21 ID:MRynLoDy
- Scrapperキタ――――!!!!!!!!!!!!!!!
待ってました!!さてとさっそく読んでこよう・・・v
- 60 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 06:47:08 ID:CNzngFrK
- 名無しの話の29 −謹賀新年U−
年明けの朝。
いつもの集合場所。
一人立ってるのはヒュム戦。
でも、いつもの鎧姿じゃない。
黒い上着に黒灰のズボン。
ゆったり幅広なそのデザインは、異国のもの。
わざわざ取り寄せた、東の国の礼服。
上着は紋付き、ズボンは袴という。
もちろん、足袋と雪駄も忘れてない。
そして、懐には小銭を入れた紙袋。
これも東の国の風習。
お年玉。
そんなにたくさんじゃないけど、タル白タル黒に渡そうと用意した。
「〜♪」
ちょと上機嫌なヒュム戦。
そこへ。
どっこどっこと足音。
顔を向ければ、走ってくるガル戦。
…なのだけど…。
「んー、おめでとぉ〜」
「…あ、おめでとう」
新年の挨拶を返しながら、気の入ってないヒュム戦。
「んー?」
「…ガルさん…それ…」
指さすのは、ガル戦の服。
「んー、おとりよせぇ」
ガバッと両手を広げるガル戦。
その服のデザインは、ヒュム戦のとそっくり同じ。
「このごろ東の国のがはやってるからぁ思い切って買ったぁ」
と頬など染めて見せるガル戦。
「…そう、そうなの…」
「んー?ヒュム戦も買ったんだぁ」
「…そう、そうみたい…」
「おそろいだぁ」
嬉しそうなガル戦。
「…そだね…」
なんとなく、複雑な心境のヒュム戦。
そこへ。
- 61 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 06:50:13 ID:CNzngFrK
- りっくりっくと足音。
顔を向ければ、走ってくるタル白タル黒。
それを見て…
ガックリと肩を落とすヒュム戦。
「おめでとうございます」
「ございます」
しっかり挨拶する二人に
「んー、おめでとぉ〜」
「おめでと…」
しっかり挨拶を返せないぐらいに。
理由は簡単。
「「?」」
ヒュム戦の様子が変なので二人して首をかしげてるタル白タル黒も
「んー、四人でおそろいだぁ」
だったから。
「これね、ミスラさんが、かってくれたのー」
「おそろいね〜」
と、とても嬉しそうなタル白タル黒。
パタパタと両袖を開いたり閉じたりしてる二人に
「あはは、似合ってるよ」
複雑な笑みのヒュム戦。
でも、気をとり直す。
さりげなく懐をさぐって。
まだ、コレがある。
「あのね」
お年玉袋を取り出そうとしたとき
すたたたた
「おめでとにゃ〜」
走ってきたのは、ミスラ。
「おめでとう」
「「おめでとうございます」」
「おめでとぉ」
挨拶をかわす。
のだけど
「「「「?」」」」
首をかしげるヒュム戦、ガル戦とタル白タル黒。
ミスラの服がいつものだったから。
タル白タル黒にまで東の国の服を送ってるから、てっきりミスラも東の国の服を着てくると思ってた。
「あ、これにゃ?」
「ふくはー?」
「にゃはは、予算の都合にゃ〜」
ポリポリと頭をかくミスラ。
「そのかわり、スペシャルがあるにゃ〜」
と、ヒュム戦たちの背後を示すミスラ。
振り向くと…
「おめでとう!」
いつのまに来たのか、気配もなく立ってたのはエル騎士。
なのだけど
「「「「…」」」」
すこし反応が遅れ
「お、おめでとう」
「んー、おめでとおぉ」
「「おめでとうございます」」
挨拶を返す四人。
その理由は
- 62 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 06:53:08 ID:CNzngFrK
- 「きれいー」
「すごーい」
と驚きの声を上げるタル白タル黒。
エル騎士も東の国の服を着てたのだけど、ヒュム戦たちとは全然デザインが違ってる。
簡単に言えば、夏に流行った浴衣をもっと厚くして、もっとキレイにしたような服。
「振り袖って言うにゃ。アタシが半分出したにゃ」
と得意そうなミスラ。
白絹に金糸銀糸で花や鳥を織り込んだ姿は、豪華そのもの。
地面に届くぐらい幅広な袖は、たしかに『振り袖』
ぐっと胸を張って姿勢正しく立ってると、とてもキレイでかっこいい。
エル騎士自身もにこにことうれしそう。
「…」
言葉のとぎれたヒュム戦へ
「東の国の女の子は、これ着て新年を祝うにゃ。とーっても高い服にゃ」
と思いっきり得意そうなミスラ。
「女の子?…」
ついヒュム戦が漏らした言葉に
「「!」」
シュピン
と反応するエル騎士とミスラ。
「なにか問題があるのか」
「問題があるにゃ?」
冷たい視線が上と下からヒュム戦を見つめる。
「いやいや、女の子、女の子」
プルプルと首を振るヒュム戦。
その隣から
「おんなこのはふりそでなのー?」
「なのー?」
と、タル白タル黒がミスラの服を引っ張る。
「にゃっ」
しまった、という顔のミスラ。
「にゃ〜、これは大きい女の子用にゃ。小さい子は紋付きなのにゃ。予算不足とか、アタシの趣味とかじゃないにゃ」
「そうなのー」
「なのー?」
微妙に納得したようなしてないようなタル白タル黒。
特にタル黒は、へんだなー、と、うたがわしそうな表情。
と、
「おもいだしたぁ!」
と大声を上げるガル戦。
「「「「「!?」」」」」
驚いて見上げる五人。
「んー東の国の新年の遊びをおもいだしたぁ」
言うなり
ダダダダーー
走り去る。
- 63 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 06:55:03 ID:CNzngFrK
- 「「「「「?」」」」」
なんだろうと顔を見合わせる、五人。
ダダダダーー
どこへいってたのか、すぐに現れるガル戦。
その手には、人型の紙。
よく見れば、細い木でできた枠に張ってある。
「あー、たこー」
とタル黒。
「なにー」
早速興味津々なタル白。
「んー、そっくりだぁ」
とガル戦。
たしかに。
並べるとタル白タル黒と大きさも形もよく似てる。
「これねー、いとつけてねー、そらにとばすのー」
よく知ってるタル黒。
「あそぼうかぁ」
見下ろすガル戦へ
「「うん」」
うなずくタル白タル黒。
「じゃあ」
ごそごそと懐から何かを取り出すガル戦。
「?」
大物用の釣り糸。
「これをこうするぅ」
「?」
タル白の両袖両裾へと糸を結ぶガル戦。
「でもってぇ」
その端を一本に結び
「こうしてぇ」
糸を伸ばして少し離れるガル戦。
「こうっ!」
一気に糸を引っ張るガル戦。
「んきゃっ」
宙を飛ぶタル白。
そのまま
ブンブンブン
「んややゃゃーー」
タル白を振り回すガル戦。
「やめんかー」
気づいて慌てて走り寄るヒュム戦。
「んー?凧揚げだぁ」
ブンブンブンブンッ
さらに振り回すガル戦。
「ちがうだろー!」
ドゴーン
ガル戦の顔面に、蹴りが決まる。
瞬間
- 64 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 07:30:44 ID:CNzngFrK
- 「「「「あ゛」」」」
「ミ゛」
糸が、ガル戦の手から離れる。
「ミ゛ーーーーー…‥・」
悲鳴の尾を引いて飛んでいくタル白。
キラーン
空に消える。
「…」
「あーあ、またにゃ〜。ヒュムさん、学習能力無いにゃ〜」
「…オレのせい?」
「半分は、オマエの責任だな」
「そなの?」
「んーそうだぁ」
「おまえが言うなぁー」
「んー、でも、オレの責任は半分だけだぁ」
「そうにゃ。だから残りの半分はヒュムさんの責任にゃ」
なんだか、よく判らない論法。
「あ゛ぅ」
ガックリと座り込むヒュム戦。
「さて、探しに行くか」
とエル騎士。
その手には、いつの間にか剣と盾。
いついかなる時も剣を手放さないのが騎士の…。
そして、新年早々。
紋付き袴のガル戦、タル黒と
振り袖で剣と盾を構えたエル騎士と
ごく普通のシーフ姿のミスラという珍しいパーティーがヴァナの野を走った。
ドガッバギッ
「うむ、生地が厚いから、なかなか防御力が高いな」
「エル姉、エル姉、それ振り袖にゃ」
ボグッガゴッ
「さすがだな、この帯は斧も弾くのか」
「だから、そういう使い方じゃないにゃ」
ゲシッメギッ
「そうか、この袖の長さは!」
「重り入れて殴るためじゃないにゃ…」
「しかし、足運びが悪いな」
「エル姉、振り袖でスソ割っちゃダメにゃ…」
「んー、振り袖って、実は鎧だったんだぁ」
「…ぜったいちがうにゃ…」
翌日。
タル白タル黒の元へ、ごめんね、のメッセージと共にヒュム戦から届け物。
鳥の絵のついた小さな紙袋。
中にはお金。
「おこずかい?」
「これね、おとしだまっていうの。ひがしのくにのおいわいー」
「ヒュムさん、やさしいのー」
「ねー」
「がくしゅうのうりょくないけどー」
「ねー」
−おわり−
- 65 名前:名無しの話の作者 :05/01/20 07:38:04 ID:CNzngFrK
- ごめんなさい、ごめんなさいm(_ _)m
今頃正月ネタです。
チョットだけ、ほんのチョットだけ新年クエで新しい晴れ着が出ないかなって期待してました。
で、たぶん、ホントに振り袖の帯は斧止められると思います。
やってみたこと無いけど。
- 66 名前:翠月おまけ ◆BAsLlXyVEs :05/01/20 22:02:37 ID:DnFpnlzD
- ウィンダス森の区、チョコボ宿舎の前。
チョコボの世話をしていた女は、二人の客を迎えた。
しかし。
「呆れた。それで結局気持ちも伝えずに戻ってきたわけ?」
「うん……。いいんだ。まだその時じゃないって思ったんだから」
「その時じゃないってあなた。また会えるかどうかもわからないじゃないの」
「きっと会えるよ。彼女はこんなところで埋もれる程度の実力じゃない」
「実力の点は私も同意するけどね」
「いいんだ。彼女が自分で動き出す決心をしてからじゃないと、いっしょに連れて行くことはできない」
「あら。連れて行くつもりだったの?」
「……悪いかい?」
「そうしたら私はお役御免かしらね。お邪魔になっちゃうし」
「また意地の悪いことを言う。勘弁してよ姉さん」
「立場が弱くなると弟に戻るんだからあなたは。
冒険をするなら姉弟じゃなくて、パートナーとして扱って欲しいって言ったのは誰よ?」
「それは……僕のほうだけれど」
「客観的に見たら、パートナーどころか恋人同士の旅にしか見えないってなんでわからないのかしらね。
彼女だって、絶対に私とあなたがそういう関係だって、勘違いしてたわよ」
「まさか。彼女がそんなふうに勘繰る必要なんてないじゃないか」
「相変わらずここぞとばかりに鈍いわね……。
まあ、私はあなたの、パートナーとして扱ってほしいってポリシーにケチつけるつもりはないわ。
変な男が寄ってこないおかげで、私も楽だしね」
「鈍いってどういうこと?」
「さあ?」
「姉さん? ちょっとそれって……まさか……」
「知らなーい」
……乗るならさっさと乗ってくれないかしら。
チョコボに飼葉を与え終わった女は、うんざりしていた。
- 67 名前:(・ω・) :05/01/21 14:37:19 ID:wdhUj/kX
- 最近このスレ見つけて今ざっとWiki見てきたけど
途中で書くの辞めちゃった作者さんてもう降臨しないのかな?
終わらない冒険をっていう話が凄い良かったんだけど・・・
ハンスル・ホルロの男っぷりに惚れた(*´д`*)
作者さん!!もしまだここを見てたらぜひ続きを書いて下さい!!
- 68 名前:(・ω・) :05/01/22 02:36:50 ID:N38gNt5u
- Wiki管理人でございます。Wikiシステムのアップグレード完了しました。
で、手順をミスしまして…更新日付情報の引継ぎに失敗しました。orz
準備自体は前からやっており、そのお陰で最近の作品はRecentの上に来てますが、
過去の作品が全部一まとめになっちまいました…申し訳ない(⊃д⊂)
あ、少しは良くなってます。
少し軽くなってます。一覧等の表示がちょっと扱いやすくなりました。
あと、その軽くなったお陰でしょうか、PDF出力が使い物になってます。
(以前の版ではcore吐いて死んでたので機能をOFFさせていました)
以上です。それではまた、また〜り作品を待ちつつ潜ります。
- 69 名前:(・ω・) :05/01/23 12:16:02 ID:tRJgFjh3
- 乙です
- 70 名前:流行り神 :05/01/24 02:11:46 ID:sdUwhEtL
- いわゆる二次創作と呼ばれる作品。読む側としては要するに面白ければなんでもいいわけですが、
作る側としての魅力はなんといっても他人が作ったキャラを自分が動かせる。これに尽きます。
幾人かの論者曰く、二次創作を作っている人間というのは一見自ら腕を振るって作品を作っているように
見えて、その実「創作」という手段で物語を消費しているのだそうです。マンガを読んだり、ゲームをしたり、
キャラグッズを買ったりするのと同様に二次創作をする訳です。なるほど。そう考えるとキャラを動かすと
いうのは明らかに自分の楽しみであって、それは誰かが作ったキャラクターという物語を消費してるといえる
でしょう。
してみると、ここで我々がしているのは二次創作です。が、Wikiを読む限り多くの作品において登場するのは
オリジナルのキャラクターです。では私たちが消費している物語とはなにか?
それはいわゆる世界設定というやつでしょう。人間、獣人、冒険者、国、魔法、アビリティ…そういうものが
存在する世界を、自由に動かせる。私たちはそのようにFF11というゲームを遊んでいるというわけです。
それは本質的にはゲームをするのと同じ、消費なのですね。
では、さらに突っ込んだ疑問をあげてみましょう。私たちはなんだって「世界設定」なんてまわりくどいものを
消費してるんでしょうか? ザイド兄貴を主人公にして書いたっていいと思うのですが……
なんでしょう。ヴァナのストーリー担当者への敬意とかなんですかね。かくいう私も設定と矛盾する事を書く
のが怖いからそういうことはやりませんし…。このあたりは、まだ一考の価値がありそうです。
そんなことを考えたからというわけではありませんが、元ネタにおけるさる女医にあたる人物として
「アノ人」出してみました。俺、けっこう好きなんですよ。「アノ人」。
さあ、「アノ人」ってだれでしょう? シャントットじゃないですよ。でもシャントットは惜しい。
思わせぶりな宣伝だなあ、と苦笑しながらも、こちらをどうぞ。
http://kooh.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/fswiki/wiki.cgi?page=%CE%AE%B9%D4%A4%EA%BF%C0inFF
- 71 名前:(・ω・) :05/01/24 09:59:08 ID:8AXjEwbP
- スルー?
- 72 名前:(・ω・) :05/01/24 20:55:33 ID:cpJV3OW1
- 目が泳いだ
- 73 名前:(・ω・) :05/01/24 22:39:53 ID:062qetUT
- civilian
○月×日(晴れ時々)
叔母さんに眼帯をプレゼントされたのは、
彼女に会った次の日だった。
その日から外したことはない。
顔を洗う時やお風呂、寝る時とかは別として。
そんなに醜かったのでしょうか。
私の右目は。
気付いたとき、私の目の前には緑色の風景が広がっていた。
誰かから聞いた。
ロンフォールの森は、木々の合間からこぼれる光が幻想的で、
その抱擁はそこに生きる全ての生き物を包み、
抱かれたものに安堵を与える。
そんな森に、私は一度も出たことが無い。
初めて見る森は、聞いていたよりも幻想的でも無かった。
ミミズがあちこちから顔を出し、
気持ち悪いキノコ爬虫類や節足動物がうようよしている。
私がサンドリアに来た頃には獣人と呼ばれる
オークの活動が活発になっているとのことで、
一般人が好き勝手に門から外にでることが禁止されていた。
バストゥークから荷台に押し込められてやってきたサンドリア。
外を見る余裕も無かった。
初めて見る森は、想っていたよりも絶望的だった。
「あの・・・。」
私が口を開くと、クチナシさんはニッコリと微笑んで私を見上げた。
「なんですの?お礼なんていりませんわよ。
困っている人を助けるのはワタクシにとって常識ですから。
おーっほほほほほ。」
聞く耳持たぬという感じですか。
「いえ・・・。私は・・・・。」
「あらあら!あのままでしたら大変でしたわよ!
あんなに死者を出してしまったら、裁判なしで死刑決行ですわね。
もしかしたら、あのまま切り捨てられていたかもしれませんわよ。
まったく何て物騒な国ですこと!」
物騒なのはアナタです。
「それよりこれから如何しますの?
あなた、戻ったら捕まってしまいますわよ。」
「え・・・マジで?」
「ええマジですとも。如何しますの?如何しますの?」
叔母さん、私は参ったことになりました。
つづく
- 74 名前:civilian :05/01/24 22:44:12 ID:062qetUT
- とてとてがんばろうとすると、
なかなか書けなくなってしまうへたれ作者でして、
やはり私なりにアッサリ逝こうと決めました。
いえ、作者を名乗ることさえ恥ずかしい。
私の様な作者もどきですが、
他の作者様方の素晴らしい作品の合間に摘む
オードブル的なモノが書ければ幸いです。
- 75 名前:civilian :05/01/24 22:57:31 ID:062qetUT
- 再び失礼します m(_ _)m
サブタイトル書き忘れてしまいました・・・。
(晴れ時々キノコ)です。
申し訳ございませぬ!!!切腹!!!
- 76 名前:(・ω・) :05/01/24 23:43:43 ID:hM1ZAsXe
- マジつまらん
- 77 名前:(・ω・) :05/01/25 08:15:03 ID:1XpaB9XB
- そうか?
俺はおもしろいと思ふ
- 78 名前:(・ω・) :05/01/25 09:27:46 ID:bX0sNWqF
- 競売前が混んでたってだけで虐殺か
なんかこう、頭おかしい展開だね
- 79 名前:(・ω・) :05/01/25 11:26:37 ID:DggnPGOj
- 「ハチャメチャ」と「頭おかしい展開」は紙一重。
どんなに壮大で面白い話でも、未完では話にならん。
ということで、完結めざしてがんばれ>civilian
- 80 名前:(・ω・) :05/01/25 17:46:32 ID:KSHgPOel
- >>73
前回の軽いノリは大好きだ。
思いつきと勢いだけでも十分読める。
気にせず、続きを書いてくれ。
つまんなかったら、書き直しねw
気長に待つぞお。
- 81 名前:(・ω・) :05/01/25 21:25:31 ID:rdRf1XdL
- ノシ【F5】
- 82 名前:(・ω・) :05/01/26 09:38:20 ID:KFvCRelt
- 最近読んだ独断と偏見の感想〜
>>35〜
初恋話イイネ!
話の持って行き方といい、何となく書き慣れてるのかな?
読みやすくて良かった。
前にあったモコ草の話を思い出したよ。
>>53〜
このテンポ良い進み方がイイネ!
主人公の心の突っ込みというか、思っていることの表現がまた面白い。
今後の展開によってどうなるかだね〜。
>>73を読んだ感じでは、このまま変な旅に出そう。
ああ、そうそう。
作品のあとにあまりごちゃごちゃコメントとか書かない方がいいかも。
ネットには色んな人がいるので、コメントを嫌ってごちゃごちゃ言う人もいるし、
それがきっかけで「つまらん」とか、「いつまで書いてるんだ」とか言われた人も
いる。
前にそれで消えていった作者さんもいるので、まあ、何言われても我を通して作品
をうpして下さい。
少なくても私は面白いと思って読んでるし、「つまらん」とか、野次とばす人も、
実は読んでるから言えるのです。
最後に、「連邦の黒い悪魔」してもらってどうもです(・ω・)ノ
>>60〜
相変わらずほのぼのとしてて面白いっす。
が、最近ヒュム戦が落としどころになってて可哀想な気がw
- 83 名前:civilian :05/01/26 10:52:46 ID:QW6n2af0
- >>76さん
目からうろこなコメントありがとうございます。
>>77さん
ありがとうございます。超嬉しいです。
貴方の為に書き続けましょうぞ。
>>78さん
実際頭おかしいので言い返せませぬ。
むしろ誉め言葉に聞こえるのは末期ですな。
>>79さん
ありがとうございます。
気にする程のことではありませんが、
慰められると甘えたくなりますね(´∀`)
>>80さん
ごめんなさい。誤字みつけても気にせず載せてしまいます。
つまらなくてもそのまm・・・げほげほ。
>>81さん
至極の応援ありがとうございます。
・・・また勘違いだったら恥ずかしい(ノдノ)
>>82さん
連邦の黒い悪魔でぐぐって見たところ、
めちゃくちゃヒットしました。
教えていただいてありがとうございます!
展開はわかりかねます・・・。
旅にでる予定ではあるのですが、
なにしろ思いつきでして・・・。
文末コメントは自慰みたいなものなので許してくださいw
- 84 名前:(・ω・) :05/01/29 20:47:08 ID:OjNWOxR5
- そんなことより
(・ω・) ノシ【F5】
- 85 名前:(・ω・) :05/01/30 16:11:45 ID:1zDEg30e
- むやみに卑下するのは作品を貶めることにもなりかねん
wiki管理人なんて最高じゃないか
毎回その妙に長い前振りは何だといわせんばかりに
ひたすら我が道を行ってる
upし続けてる人はみんな最高だ
- 86 名前:(・ω・) :05/01/30 22:17:29 ID:/6aQsYgP
- そんなことより
(・ω・)ノシ【F5】
- 87 名前:(・ω・) :05/01/30 23:39:45 ID:4GexKwH4
- 愛しい人−挿話
その晴れた朝。
聞こえてきたのは、賛美歌。
弔いの炎が焚かれ、骨は土へと帰る。
私たちには、いつか帰るべき場所がある。
それは幸せなこと。
どうか、忘れないで。
血が、幾重にも重なって、美しい模様を描いた。
春の日、とても暖かな太陽の下。
優しさに包まれながら、僕は、獣人を殺していた。
死者の手から武器を拾い、
後からついて来るチョコボにぶら下げた籠へと
それを入れてゆく。
「獣人にカタルシスを求めるひとも居るけど。」
チョコボの上に乗っている彼女に、僕は話しかける。
「それほどたいしたことじゃないよね。」
顔が隠れるほど、黒い髪を伸ばした彼女は、
ただチョコボの歩みに揺ら揺ら揺らいでいるだけだった。
「ただの欺瞞だと思いません?」
僕の声は、シャルルの壊れた心まで届くことは無かった。
シャルルの精神が壊れ、テトラが僕達から離れ、
僕はいつの間にか一人ぼっちになってしまった様だ。
空は優しかった。
全てに平等に存在し、そして何も与えはしない。
雨は優しかった。
時として、恵みを与え、死を、生を与える。
時として、それは不幸という名の借り宿を人へと与え、
幸せの意味を悟らせる。
だからだろうか。
とても悲しいんだ。
何も答えてくれない、愛しい人。
- 88 名前:(・ω・) :05/01/30 23:40:22 ID:4GexKwH4
- ジャグナーの森を越えると、白く大きな岩が見えた。
美しい城にさえ見える、一つの物体から切り出されたそれは、
美しい草原の広がるラテーヌ平原のあらゆる所から見ることができた。
すこしずつ時間が過ぎ、その白い城は、太陽に赤く汚されてゆく。
時は僕等から光を奪い、そして闇を与える。
辺りが暗くなり始めると、僕はチョコボの手綱を地面に杭で打ちつけ、
そして背負わせていたテントを建てた。
簡易なつくりで、布と紐を細い棒に結びつけるだけの、
風除け程度のものだ。
昨晩、テントを張ったジャグナーの森に比べれば、
ここは幾らか暖かく、僕はテントの中に毛布を敷き、シャルルの服を脱がせ、
そこへと横たわらせた。
長い髪の間から魅せる、美しい瞳。
生気の無い、完全な迄に美しい人形の様。
僕は、彼女のいたるところにキスをした。
額に。
頬に。
唇に。
胸に。
指に。
お尻に残る銃跡に。
生きることを忘れてしまった只の人形に。
唯、自分の悲しみを癒すためだけに、僕は真っ白に壊れた彼女の心を汚し続ける。
僕は、壊れた彼女を愛してしまった。
- 89 名前:(・ω・) :05/01/30 23:40:52 ID:4GexKwH4
- サンドリア王国を目指していた。
老いたるその王国の、一番美しい教会で、
僕らは結婚式を挙げることになっていたからだ。
シャルルを護る確証が欲しかった。
シャルルが僕のモノである証拠が欲しかった。
唯、それだけ。
霧が深く淀み溜まる朝のロンフォールの森を、
シャルルを乗せたチョコボの手綱を引き進む。
行く末に待つ幸せな終末を掴み、そして手に入れるために。
誰もが知っている不幸。
だから僕らは、幸せを信じる。
松明の光が、濃い霧の中で微かに揺れた。
歩みを速め、その希望に向かう。
霧が一瞬で晴れ、現れた巨大な門の奥、
そこには、僕が望んでいた証が確かに存在している筈。
潜り抜けた。
サンドリア王国へと向かう門を。
絶望と知らなかった、それを。
チョコボをチョコボ屋に預け、
人形の様に力の無いシャルルを抱き上げ、
南サンドリアの、城門前に出ると、シャルルが、
壊れた筈の愛しい人が、微かに動いた。
「・・・テトラ?」
彼女から発せられた、声。
初めて耳にする様に思える程、忘れる程、聞きたくても聞くことの出来なかった声。
美しい城門を潜る騎士。
テトラを、その騎士に反映させてしまったのだろう。
ずっと傍に居た僕よりも、彼女は、僕らから去って行ったテトラの名前を、
その声で呼んだ。
葉を這う朝露の様に、
僕の瞳は大粒の涙を絶えることなく流し続けた。
不幸という借り宿を与える雨は、僕に幸せを悟らせようとしているのだろうか。
だからだろうか。
とても悲しい。
その晴れた日。
弔いの炎の前で歌う賛美歌。
一人の時間が長すぎた。
既に、流れる涙もない。
忘れてはいけない。
私達は、いつか帰る場所がある。
灰塵へと果てることで、命は、そこへ回帰する。
終話
- 90 名前:(・ω・) :05/01/30 23:43:12 ID:4GexKwH4
- 蜜柑を食べ過ぎておなか壊しました。
・・・ハッ!Σ(;・д・)
何、近況報告してるんだ・・・。
- 91 名前:白き〜作者 :05/02/01 01:29:57 ID:d6GdO+rt
- お久しぶりです!
最近はまた沢山の作品書きさんが出現していい感じですな!
すぐ上の「愛しい人」なんて美しい話じゃないですか!
名無しの作者さんは毎回楽しみにさせていただいております。ペコリ。
でもまだ読んでない作品たまってきたので、Wikiでまとめ読みしてきますよっ!
ビールでも飲みながら!
さて、私も最近無かった更新をしてきました。
今回は3話同時UPです。お暇なら遊びに来てくださいませ。
白き探求者 ttp://www.miracle-key.gr.jp/white/
しまった、ビール切れてるじゃん。
- 92 名前:(・ω・) :05/02/08 09:32:37 ID:0Hq/azqt
- (・ω・)ノシ【F5】
- 93 名前:流行り神 :05/02/08 11:13:09 ID:f7tNQSd4
- 初期のクエストの中で、割と好きなものに「ある愛の歌」というのがあります。
名前を聞いただけで思い出せるひとは幾人いるでしょうか? ウィンダス目の院から発行されるクエストで、
貸し出し期限の過ぎた「ある愛の歌」というラブロマンス小説を取り戻してこい、というクエストです。
全部言ってしまうと―――このクエぐらいならネタバレしてもいいだろうと思いますが、念のためこの先がネタ
バレであることを警告します―――貸出先が森の区の競売にいる人と言われるのですが、実際にその競売にいる
人に会うとそんな恥ずかしい小説は借りていないと言い出します。これ、実はサンドリアにいる別の人間が借りて
いる本。あまあまのラブロマンスを読んでいると汚名(?)を着せられた競売所のミスラが、他のミスラにからかわ
れるあたりが個人的にツボです。
NPCどうしでさえ人間違いが主題にされることもあるのですから、当然のように冒険者同士でも人間違いをする
こともあるでしょう。SAMとSMNを間違えて誘う。あるいはサーチでカーソルが一個ずれてテルする先を間違える。
僕の知り合いにはキャラクター名前が一時違い、しかも小文字のLとIを入れ替えただけというとんでもない二人が
いて、どちらともとフレンド登録している僕はサーチをみるたびににやにやしたりしています。これはよくある
ことなのです。たとえ召喚士と侍を間違えてPTに誘ったとしても、それはそれで狩場に向かえば多分なんとかな
るし、そんなことをいちいち悔やんだり、ましてやはっきりするまで追求するなど無粋いがいの何ものでもありません。
そんなわけで今回のオチ。
>>85さん。前置きが長いのは多分僕ですが、Wiki管理しているのは僕ではありません。長い文章を書きがちで、
普通にスレッドにUPしてると1スレひとりで消費しかねないのであちらに直接UPさせていただいております。
こんなこと書いて「前置き長い」のが僕でなかったらそれこそ無粋というものですが、一応管理人さんの名誉のために―――
別に粋でもなんでもない文章ですが、こちらのほうもよければどうぞ
ttp://kooh.hp.infoseek.co.jp/cgi-bin/fswiki/wiki.cgi?page=%CE%AE%B9%D4%A4%EA%BF%C0inFF
- 94 名前:(・ω・) :05/02/10 14:44:16 ID:ZoDE0pej
- 最近このスレ知ってちょこちょこ読ませてもらってるんだけど
赤魔道士が主役の話ってないのかね?
白き探求者とか熱血赤魔道士なんだけど名脇役って感じだし
赤ってゲーム中はともかくとして小説の中だったら熱血して勇者ってできそうなんだけど
- 95 名前:(・ω・) :05/02/10 15:33:09 ID:X7QgaBZG
- これはどうよ
ttp://www.geocities.co.jp/Bookend-Ango/5451/
- 96 名前:(・ω・) :05/02/11 08:28:36 ID:mbFk6yGN
- でも主役になりやすいジョブと脇役ジョブってあるよねw
- 97 名前:(・ω・) :05/02/11 08:33:09 ID:mbFk6yGN
- それでいうと赤なんてめちゃくちゃ主役率たけーべ。
有名どころだけで
空に奏でる君の歌 Scrapper ダブルフェイス・レッドラム(主役じゃないかもだが)
セイブ・ザ・アワー・ワールド(主役じゃないかもだが)
とわんさとあるじゃねーか。
- 98 名前:(・ω・) :05/02/11 11:18:58 ID:LMOYsjzT
- civilian
○月×日(涙のち晴れ)
ぽろぽろ。
それは零れました。
まるで意図しない自然的な衝動。
震えよりも悲しくて、
孤独よりも寂しいような、そうでもないような。
ただ、涙が出ただけで少し自分が惨めに思えた。
それで、すこし楽になった気がした。
私は悲劇的なのです。だから、大丈夫。
「あら、あらあらあら。ちょっと、泣くのは卑怯ですわよ・・・。」
クチナシさんが手をパタパタさせて私を見上げて言った。
私にもそう思えるけど、止めることが出来ない。
左目から次々と流れ出す水の玉は、次第に線を描いて私を際立ててくれる。
世界から私だけを縁取って額にでも飾ってくれるんだ。
拭えどそれは零れましたとさ。
「わ、私、どうすれば・・ずずー(鼻をすする音)。」
藁にも縋る思い。
神に祈った。
すなわち、神=藁の価値でしかない事実に(心の中で)少し笑えた。
「そうですわね。ジュノにでも行ってみたらいかがかしら?」
クチナシさんが至極当然の様に言い放った。
海に浮かぶ城。
神の住む街。
永久の楽園。
奈落の底。
様々な言い回しで呼ばれるその都市は、
全ての人に自由であって、全ての人を受け入れるらしい。
なんか成り行きで犯罪者Aになってしまった私は、
きっとそこへ行くしかないのでしょうね。
だけど、
問題がありますよ。
- 99 名前:(・ω・) :05/02/11 11:19:36 ID:LMOYsjzT
- 「どうやって?・・・ずずー(鼻をかむ音)。」
その場所は、とても遠かった。
行くためには危険な森を通ったり長い長い橋を渡ったりしなければならない。
剣も魔法もない私にそんなこと不可能なのでした。
確かに飛空艇やチョコボに乗るって手もありますが、
サンドリアに戻れない上にお金も殆ど持っていない状態で、
そんなことが出来る可能性は皆無っていうか事実上不可。
「どうやってって・・・・はぁ・・・解りましたわ。
ワタクシが連れてって差し上げますわよ・・・。はぁ・・・。」
意図せず、私は歩みだした。
第一歩。
私の世界がガラッと変わってしまった。
さようなら、静かな私の三年間。
バイトはできなかったけど、叔母さんと別れることは出来た。
大好きな叔母さん。
私が居なくなれば悲しんでくれるでしょう。
だけど、私のようなクズが消えたことは喜ばしいことなんですよ。
私は、貴女の前から消えることができて良かった。
これから貴女は、幸せになるのですから。
大好きな叔母さん。さようなら。
つづきます
- 100 名前:(・ω・) :05/02/11 11:23:39 ID:LMOYsjzT
- 主人公が無職だっていいじゃないかー!(`Д´)
そしてメール欄のsageが大文字で、
前回まで上げまくりだったことに気付き愕然中です。
- 101 名前:(・ω・) :05/02/11 11:49:06 ID:z56qjdRw
- >>95
ジュワとエンハ所有のサポ前衛垢が竜に一突きにされて赤の限界を悟るシーンにワロタw
- 102 名前:(・ω・) :05/02/11 14:39:28 ID:03r/jRpF
- >>95
ありがと 読ませてもらった
想像してたのとはちょっと違ったけど面白かった
これはこれで赤っぽい熱血の仕方なのかもしらん
ただ読むのにちょっと頭使う話かもね
次は空に奏でる君の歌っての読んでみるわ
- 103 名前:(・ω・) :05/02/12 03:15:43 ID:2kOi8GoX
- >>100
ガルカとかそうかな。
細い兄弟は竜とは思えぬほど(ry
- 104 名前:(・ω・) :05/02/12 03:22:40 ID:2kOi8GoX
- >>102
赤が活躍してはふーんな話求めてるならあんまり空に〜は向いてないかも。
どっちかっつーと他のキャラのが活躍するし。
- 105 名前:(・ω・) :05/02/12 11:32:43 ID:Kakm4KnK
- 気長に待ち焦がれ筒
(・ω・)ノシ【F5】
- 106 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:37:37 ID:FwIZvl/j
- 『天晶暦862年、○月●日……快晴
今日、いい事がありました。
今までの地獄の様な訓練が収まる、と昼食の際に院の先輩から聞いたのです。
その話を聞いた僕達は、午前中の猛練習で疲れた筈なのに活気に満ちていました。
今日はその前兆なのか、午後は短時間で訓練が終わりました。
ウィンダスは戦争中ですが、前線は大丈夫なのでしょうか…?
最近では戦況を聞ける相手も派兵されてしまい、僕等に情報が伝わって来ません。
前線の皆さんも、無事で居ればいいのですが…』
・
・・
・・・
荒野の夜――それは普段は寂しく、とても静かな夜。
しかし、その夜は叫び声と、金属の擦れる音と、魔法の音と、血が彩った。
――彼は戦いの渦中より少し外れた所で、勝利の風潮を感じていた。
戦況は、明らかに我々が押している。敵勢の勢いは消えうせ、今やこちらの軍勢の波が徐々に広がっている。
彼の姿は黒く、全身が毛――いや、羽毛に覆われているが、手に持った刀が『侍』と呼ばれる戦士を連想された。
抜け易くなった自分の羽根を一枚取り、刀についた、血糊を拭き払う。
もう自分が前線に出る事は無い、後は戦の流れに任せれば問題無い。
そう彼は考え、騒音の中心から背を向け歩き始めた。
そこへ一人、『傭兵』と呼ばれるらしい敵国の戦士が、不意をついて彼の背後から槍を振りかざす。
しかし彼は、戦いに精通していた。不意打ちを受ける程甘くは無い。
振り落とされた刃に、即座に体を捻り自らの刀で直に打ち合う――力は彼の方が上の様だ。
瞬間の鍔迫り合いの後、力に勝った彼が相手を吹き飛ばす。
しかし相手は地に体を打ち付けるコト無く、空いた片手で地を押し跳ね、そのまま隙の無い構えに入った。
(出来る様だな……)
彼は相手を観た。敵軍の中でも、かなり階級が上の者なのだろうか?
纏う雰囲気はそれ相違無く、また実力も相違ない…彼はそう感じた。
静かに、得物の先を相手の喉に見据え、正面に構える。
それは彼流の「敵への畏敬」を込めた、『一対一』の戦いに臨む構えであった。
相手もその雰囲気を察したのか、それに応じる形で静かに構えを変える。
それは彼が今まで目にしたコトの無い構え方だった。
- 107 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:39:18 ID:FwIZvl/j
- 「この心意気を解せるか……ミスラにも、良き武士が居るものだな」
「それはお互い様だ…。こちらも、この地に解せる者が居るとは思いもしなかった」
「私は己が力比べらるる戦を誇りとする…故に精神もまた誇り高くある」
「そうか…、ではその誇りに恥じぬ交え刃となろう…」
彼は改めて対するミスラを見た。
よく考えれば、これまでの戦場で見てきたミスラとは持つ武器が根本的に違う。
そして纏う防具――ミスラにしては珍しく、完全に頭を保護する形の兜を身につけている。
(武器にしても、あの造り……まるで、我等の『刀』の…)
そこで雑念は振り払った。今の自分がする事、それは全力を以って相手を屠る事。
一瞬の動きに全身系を集中させる。恐らく、相手が先手を投じるに違いない。
少し離れた場所に起こる爆音、炎の魔法の効果だろうか?
それを合図にしてか、凄まじく速く、低い体勢で相手は間合いを詰めた。
(ぐっ…速い…)
想像を越えた速さであった。今まで戦ったどの相手よりも速い。
一歩先の地面から突き出される様に、自らの喉笛を目掛けて槍の穂先が襲う。
彼はそれを刀の鎬で頭上へと払い、そのまま手首を捻り返し、斜めにした得物を相手に振り落とす。
彼女はすぐさま手元に引き戻した槍の柄でそれを受け止め弾き、
手の内で反転した槍の石突で彼の腹に、勢い良く叩きつける。
「ご…ほっ」
あまりの衝撃に彼はよろめく。相手はそれを逃がさず、更に槍を反転させ刺刃で彼に斬りこみを入れる。
(バカな……この私が…!)
傷を受ける程にまで、押されている。
彼には自信があった。今まで『一対一』において、美しく勝ち続けた自信が。
その栄光を支えたのは、彼の剣技であった。
相手の一撃を悉く受け流し、無駄無く相手に一撃を与える、鮮やかな剣技が。
しかし今、目の前に居る相手には、それが通じていない。
苦し紛れに出した早業の薙ぎ払いも、恐ろしく低い体勢で避けられた。
彼の腹部に初撃と同じ様な鋭い一突きが、突き刺さる。
- 108 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:40:47 ID:FwIZvl/j
- 「が………ぐっ……」
急所を貫かれた。彼の体から力が抜け、手からも刀がこぼれ落ちる。
相手のミスラは素早く槍を抜き取り、血を払う様に槍に弧を描かせる。
その刃についた紅い雫が舞い、月明かりに照らされて、わずかに煌いた。
「お……お見…事……」
そう言い残し地に伏し、彼の意識は夜空へと消え去っていった―――
――『因果応報』と云っただろうか……かつて聴いた事がある言葉だ。
何かをすると、それに応じて自分に報いが返って来る、と云った意味だった筈だ。
それが真であるのならば、今、この手で、一人の戦士を手にかけた。
この行為にも因果があり、報いがあるとするならば、自分は――――
(やれやれ……、無駄に知識を得ると、疲れるものだな…)
未来にあるであろう、自分の末路の一つを想像しかけた所で、それを脳裏から振り払う。
彼女は再びフェイスガードを閉め、目の前に伏した異国異教の戦士の骸に一礼をして、
黒色に染まっていく戦場の渦中へと突き進んで行った―――
- 109 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:46:35 ID:FwIZvl/j
- 「それ、本当ですか!?」
水の区のレストランに、優雅な音楽を掻き消す驚きの声があがった。
「だから大きな声出すなって!…それに、俺達だって本当は口止めされてるから…」
声を上げられた、年上の風貌を見せるタルタルが緑色の茶を啜りながら囁く。
口の院の訓練生はこの日、院の先輩達と水の区のレストランを貸し切りにして、昼食を摂っていた。
すべて先輩の奢りで、である。
「ほら、楽になる事わかってたら手ぇ抜いたりするだろ?そんな事になったら、トバッチリ受けるのは俺達だから…。
けどまぁ、お前等も辛いのを耐えてきたからな…うん。
とりあえず今の訓練が終わるまでは、気合い入れてってくれよ」
『了解!』そう声を合わせて、訓練生の多くが嬉々とした表情で敬礼した。
再び自分達の音楽が聴いて貰えそうな頃合だと悟ったのか、レストラン自慢の楽士が演奏を再開する。
先程の一連の会話に聞き耳を立てていたシルクエルクも、
「ようやく終わるみたいだね」
と、同じテーブルに座る、親しい同僚達に安堵の笑顔を見せた。
「そやなー、えぇ加減、あのキッツイ訓練は勘弁やわー…」
隣の青いポニーテールのタルタルがわざとらしく、肩が凝った様な動きを取る。
名をミシュシュ。彼の家の近隣に住んでいて同い年…言わば、シルクエルクの幼馴染である。
「あら、ミシュシュさん。あの程度で疲れまして?」
小馬鹿にする様な口調でミシュシュを笑うのは、同じく幼馴染と呼べるであろう、ディック-ヴィックだ。
「むー、なんやディットヴィット。アンタはエラないんかー?」
頬を膨らませながら、不機嫌そうにミシュシュは彼を見つめる。
「余裕余裕!この俺があの程度でヘタれてちゃー、弟妹達に示しがつかねーって!」
露出した腕に多くの火傷や切り傷の跡を見せつつも、軽快に笑う。
彼の体力もシルクエルクに並ぶもので、同じく過酷な訓練の日々を無事に耐え抜いたのだった。
ディットヴィットは疲れを感じさせない食事振りを見せつけ、ウェイトレスに追加で注文を四つ取った。
- 110 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:55:22 ID:FwIZvl/j
- それを見ていた彼の先輩が、ふと財布の中身を確認し始めた。――どうやら、足りるかどうか怖くなったらしい。
それを見て、シルクエルクはまた微笑む。
(今日はいい日だなぁ……)
天気もいいし。
そう思った所で、そうだ!と閉まられて久しい、自分の趣味への情熱が湧き出る。
「ディットヴィット、この後、久々に釣りでもどうかな?」
「むぉーっ、びぃめぇー!…ふいべに、ふぁだらふぃ!」
「…何言ってるかわからへんし、食べモン口から飛びでとるで…」
ミシュシュは、明らかな嫌悪の表情をして、半ば睨む様な目つきでディックヴィックを見つめる。
すまんすまん、とばかりにミシュシュの前に掌を突き出し、口の中の物を飲み込んで一息付く。
「ついでに、新しいスポットでも探さねぇかー!?」
「いいね!それじゃー今日は徹夜で……」
「……残念だが、夜から一つ訓練がある……行くなら……昼間のみに…」
帽子を深く被っている親しい先輩が、釘を刺す様に二人の会話に口を挟む。
「ちぇっ、ついてねぇなぁ…」
「そもそも、釣りで徹夜って何やねん……」
熱意が冷めて落ち込む二人を見ながらミシュシュは、男の趣味はわからないとばかりに深い溜息をついた―――
そんな風に陽気にはしゃぐ後輩達に打って変わって、先輩達一同は、
静かに食事を摂ったり、帽子を気にしたりしていた。
それはどこか余所余所しい雰囲気を醸し出していた―――
- 111 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 15:57:54 ID:FwIZvl/j
- ――その夜は、雲ひとつ無い、綺麗な星空だった。
彼は、星を眺めるのが好きだった。
星を観れば、その日にあった辛い事は忘れ、楽しい事だけが記憶に残っていく。
それはとても都合の良いものだな、と父親に笑われた事もあった。
彼のその楽しみは、父親譲りであった。
彼の父親は晴れた夜になると、必ず高い所に登って星を観ていた。
そうして、いつも隣に座って眠たそうにしていた彼に、ウィンダスの未来について話した。
今となっては彼も、父親が話していた内容は殆ど覚えていない。
だが――
(あの人……父さんと、同じ様な『瞳』だったな……)
幼い頃、ふと見上げた父親の瞳と、以前彼を助けた彼女の瞳が重なって思い出される。
あのミスラとは…助けられたあの日以来、会っていない。
知り合いを通じてミスラ達から情報を求めても、彼女については曖昧な返事が返って来るばかりだ。
一
小さく溜息をついて、茫然と星を眺める。
何も考えていない訳では無かった。むしろ、一つの言葉がずっと頭の中を回っていた。
先程、彼等訓練生に伝えられた言葉。
「あと一週間で、訓練は終了する」という一言。
訓練の終わり。それは、一人の『学生』から一人の『軍人』になること。
訓練の終わり。それは、『実戦』――命を賭した戦いへの始まり。
しかし、不思議と恐怖は無かった。
星を観ると、何も心配する事は無い、そんな不思議な安らぎがあった。
彼は思った。ウィンダスの民ならば、皆そう感じているのでは無いだろうか、と。
彼は思った。ウィンダスの民には、そうした祝福が約束されているのだろう、と。
彼――シルクエルクはもう一度、星空を仰いだ。
キラキラと星は無垢に煌き続けていた。
- 112 名前:ある軍師の過ごした日々 :05/02/13 16:01:54 ID:FwIZvl/j
- /│ω・`)
壁│ )
/│
一ヶ月半ぶり位に、うp。
109で、ディットヴィットの名前が一つ、ディックヴィックになってます…ごめんちゃい。
あと、最後に――to be next付け忘れました、ごめんちゃい。
- 113 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:00:08 ID:RcHchhTd
- 「名無しの話」の30 −決戦前夜−
その日を明日にひかえ、ヴァナは不安に包まれてる。
いきかう人々の表面上はごく普通。
いつもの通り。
けど、その胸の中は
−もらえるだろうか−
ワクワク
−わたせるかしら−
ドキドキ
−だめかな、だめかな−
ウルウル
だったりする。
なかには、
−必要経費にゃ。先行投資にゃ。三倍返しにゃ〜はははははは−
なんてのもあったりするけど…。
夕方になると、ほとんどのパーティーが早めに解散し、
ドドドド…
女性陣はそれぞれの方向へと急ぐ。
予約済みのお嬢さん方は
「ね、できたの?できてるの?」
と職人のところへ。
手作り組で、とっくに材料を買い込んでるお嬢さん方は
「やるぞー、つくるぞー」
と部屋へ。
で、残りは競売所。
「ちょっと、どきなさいよー」
「なによこの値段ー」
「それあたしのー」
期間限定の超高騰に目をむきながら、おサイフから、なけなしのお金を絞り出す。
数刻後、あちらこちらの部屋から聞こえてくる…
ずごごごご…
ぱりーん
「いゃああぁぁーー」
いゃ〜な音と悲鳴。
ずごごごご…
ぱりーん
「きぃゃああぁぁぁーー」
いゃ〜な音と悲鳴。
- 114 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:02:02 ID:RcHchhTd
- そんな音や声を聞きながら、エル騎士の前にも、しっかりと大きなボウルいっぱいのククル豆があったりする。
今年は、ミスラに作り方を聞いておいた。
優秀な騎士は、同じミスは犯さない。
『炎クリ使うより、手作りでするにゃ。手間はかかるけど、愛情こもるにゃ』
そのメモが、脇にある。
『まずは、ククル豆を煎るにゃ』
深ナベに豆だけを入れて、火にかける。
木べらでかき混ぜる。
ゴロゴロ
ゴリゴリ
『ここで香りとコクが決まるにゃ。絶対に焦がしちゃダメにゃ』
ねんをおして書いてある。
まぜる。
まぜる。
ひたすらまぜる。
で、手が止まる。
メモの次の文。
『適度に水分が飛んだら、ボウルに戻して冷やすにゃ』
「適度というのは、どのぐらいの事なんだ?」
…よく判らない。
「確実な方がいいな」
ゴロゴロ
ゴリゴリ
ゴロゴロ
…
…
カリカリに水分が飛んだところで、ボウルにもどす。
「冷めたら潰すのか」
チョト休憩。
- 115 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:11:24 ID:RcHchhTd
- さめた豆を台へひとつかみ取り出し、木槌で叩く。
ベシベシ
意外に固い。
ゲシゲシ
ゲシゲシゲシ
ゲシゲシゲシゲシ
……
これは、時間がかかりそう。
「うむ」
少し考えるエル騎士。
適量が判らないから、とりあえずボウルの豆全部を潰した方がいいだろう。
でも、このペースだと…。
もう少し大量に潰せる道具が欲しい。
さらに考えるエル騎士。
ある。
とても身近にある。
ザラザラザラ
調理台に、豆を全部広げる。
そして、どこからか現れる、盾。
一流の騎士はいかなる時も盾を…。
構えて
「むんっ」
獣人の攻撃もはじき返す技。
ズバーン
ものすごい音と共に、見事に砕ける豆。
…
部屋中に飛び散ったけど…。
ついでに作業台も砕けたけど…。
「…ちょっと強すぎたか」
…
次は、ホウキとチリトリ。
飛び散った豆を掃き集める。
ボウルに集めると、量が二割ぐらい増えてる。
作業台の破片も混ざってる。
「…」
少し考えるエル騎士。
作業台は木製。
木は植物。
ということは
「火を通すから大丈夫だな」
問題はない。
『細かく砕けたら、皮を分けるにゃ』
「…」
砕けて混ざり合って、どれが皮なのか、実なのか、その他なのか…。
「少しぐらい問題ないだろう」
少しぐらい渋い方がチョコレートらしい。
『次はもっと細かく擂るにゃ』
台が壊れてる。
しかたない。
エル騎士は床に擂り鉢を用意した。
- 116 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:14:13 ID:RcHchhTd
- ところかわって…。
「にゃんにゃんな〜。にゃかにゃかな〜」
調理ギルド謹製のエプロン姿で上機嫌のミスラの前には、広い調理台。
明日は、腕の見せ所でもあったりする。
いかに美味しいチョコを作り上げるか。
たとえ義理でも三倍狙いでも、絶対手を抜くつもりはない。
調理台にそろえた材料を、一つ一つ確認してくミスラ。
ククル豆が
「こんもりにゃ〜」
セルビナミルクとメープルシュガーが
「たっぷりにゃ〜」
いろんなエッセンスの小瓶が
「ずら〜りにゃ〜」
色とりどりの野菜・果物が
「ごろりんにゃ〜」
材料はオッケーッ。
と、
ソ〜…
視界の下端で、小さな手がそろそろと伸びてくのが見える。
その先には甘〜い果物のカゴ盛り。
けど、
「?」
もう少しというところで、その動きが止まる。
「!」
とどかない。
「!、!、!」
ぱたぱたと揺れる手。
でもとどかない。
見下ろせば、調理台の端にしがみついて、一生懸命に手を伸ばしてるのはタル黒。
今日はタル白といっしょにお手伝い参加。
?
タル黒の背では、作業台の上までとどかないはず。
のぞき込めば、タル黒の足の下にはタル白。
一生懸命に肩車してる。
見事なチームプレー。
致命的なのは、タルタルの手の長さ。
カゴには、もすこしでとどかない。
バンッ
作業台を叩くミスラ。
ビクッ
身を縮めるタル白タル黒。
とたん
ドターン
「ミ゛ッ」
「キャッ」
バランスを崩してひっくり返る。
- 117 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:16:39 ID:RcHchhTd
- 「つまみ食いはダメにゃっ!」
とにらむミスラ。
「子供のしつけは親の愛情、家庭の義務にゃ」
…親でも家族でもないけど…
「「…」」
半分涙目のタル白タル黒。
「何を取ろうとしたにゃ」
「オレンジ…」
作業台を指さすタル白。
「あまそうだったの…」
とタル黒。
準備してるときに見たらしい。
「…しょうがないにゃ〜」
タルタルは甘いオレンジが大好きだったりする。
100メートル先からでも熟れたオレンジを見つけるとか、箱にオレンジを一個入れておくと翌朝にはタルタルでいっぱいになってるとか
、変な噂もあったりなかったり。
「あまったらあげるから、ちゃんとお手伝いするにゃ」
「くれるのー?」
「いいのー?」
ぱっと表情を明るくするタル白タル黒。
「あまったらにゃ。お手伝いが先にゃ」
「「はーい」」
二人そろって元気な返事。
「それじゃ、始めるにゃ」
「「はーい」」
「今回のメニューはフルーツインチョコにゃ」
「くだものー」
「いれるのー?」
タル白タル黒の瞳がキラキラと輝く。
「ドライフルーツやジャムにして入れるにゃ。でも、生を入れても美味しいにゃ」
と楽しそうなミスラ。
「あと、ジュースにして混ぜるのもありにゃ。隠し味に野菜ジュースをちょっぴりにゃ」
「えー」
「やさいきらいー」
抗議の声を上げるタル白タル黒。
「にゃっ!好き嫌いはだめにゃっ!」
「「み゛…」」
しかられて、しょぼんと耳が下がる。
「…タルちゃんたちは果物の用意するにゃ」
果物を盛ったカゴを渡すミスラ。
とたん、ピンっと耳が起きる。
「きれいに洗って、皮向いて、一口大に切るにゃ」
「「はーい」」
二人でカゴを持って、外の洗い場へと走ってく。
- 118 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:20:31 ID:RcHchhTd
- 「さて」
まずは、チョコから。
いったい何個作るのか、大きなボウルに山盛りのククル豆。
これまた大きなナベに移し替えて、
煎る。
煎る。
ひたすら煎る。
水分が飛んだら
「ん、頃合いにゃ」
ボウルへ戻す。
冷えたら潰す。
潰す。
潰す。
ひたすら潰す。
途中で皮を除いて
さらに潰す。
ある程度細かくなったら
「ん、頃合いにゃ」
すり鉢に移す。
擂る。
擂る。
ひたすら擂る。
きめ細かくなったら
ククルバターとセルビナミルク、メープルシュガーを加えて
さらに擂る。
ひたすら擂る。
何度か味見を繰り返して、目標は絹の舌触り。
「でも、絹なんて食べたことないにゃ〜」
ま、それはそう。
やがて
「できたにゃ〜」
ミスラ手製チョコレートの完成。
「にゃははは」
出来栄えに満足そうなミスラ。
あとは、デザイン。
で、ふと思い出す。
「んにゃ〜、エル姉は大丈夫かにゃ〜」
レシピは教えた。
説明もした。
けど…。
「ま、いいかにゃ」
被害者はヒュム戦だけのはずだから。
−おわり−
- 119 名前:名無しの話の作者 :05/02/14 07:26:52 ID:RcHchhTd
- ごめんなさい、ごめんなさいm(_ _)m
前夜といいつつ、もう当日です。
わたしはHQが出来なくて泣いてたりしません。
バザーの値段をメモして比べて回ったりしてません。
たぶん…。
あと、チョコの作り方はカンです。
この通りに作っても出来ません。
絶対…。
- 120 名前:(・ω・) :05/02/14 23:10:31 ID:RnPuVstK
- 名無しの話キテターーー!!!
がんばれエル姐さん、もしかしたらことによると万が一かろうじて
気づいてくれるかもしれないぞ!
ってかヒュム戦気づけ!(笑
- 121 名前:(・ω・) :05/02/14 23:39:29 ID:PBUP9jvH
- >箱にオレンジを一個入れておくと翌朝にはタルタルでいっぱいになってるとか
マジデ(゚∀゚)!!
今すぐミカン買って来るよ!!
チョコ?14日?何のこと?
- 122 名前:(・ω・) :05/02/15 10:39:26 ID:Va5Z2+2p
- civilian
○月×日 (晴れ時々テレポ)
「はいこれ。差し上げますわ。」
クチナシさんが紙切れと、
どう見ても可愛すぎる黒の生地にピンクの星の入った眼帯を手渡してきた。
「・・・あの。これは?」
「そんな真っ黒な眼帯、似合いませんわ。
ワタクシの変装用のをおかししますからお付けなさいな。」
変装用・・・。そういえばクチナシさんの目は両方とも色が違う。
サンドリアでも、それでバレていた様だった。
たぶん、それを隠すためなのだろう。
とりあえず右目の眼帯を外し、それをつけようとした。
そのとき、クチナシさんの表情が見て取れた。
明らかな悲痛。
私のくり貫かれて丸く開いた眼窩がみえたのだろう。
誰が見ても、これは醜くしかないのでした。
気付かないフリをして、ピンクの眼帯をくっつけた。
「そ、それじゃそちらの眼帯は頂きますわ。
ワタクシも変装しないと大変ですからね。」
そういうと飛び跳ねて私の手から眼帯を奪い取った。
目に付けた眼帯を撫でてみた。
なんだか、とても似合ってる様に思えました。
「む・・・むむ・・・。むぎゃああ!!!」
眼帯を付けようとしたクチナシさんが、急に奇声を上げた。
・・・どうやら紐が短すぎて後で結べないみたいです。
「なんですの?!なんですのぉ!?!?
ワタクシの頭がドデカイとでも言うのですのぉおお!!」
地団駄踏んで、私の眼帯をブンブン振り回していた。
「・・・あの、ちょっとかしてください。」
私がそう言うと、ちょっと疑問の表情を浮かべながらも
クチナシさんは大人しく眼帯を私に手渡してくれました。
眼帯を留める為に四方についていた対の紐を二つ外し、
それを残りの二つに繋ぎ合わせた。
「・・こ、これで・・・。」
私の手から眼帯を受け取ると、
クチナシさんはそそくさと眼帯をポケットにしまってしまいました。
「あ、あ〜ら、ワタクシもそうしようとした所でしたのに。
ゴホン・・・まあ、よいですわ。」
もう一つ貰った紙切れを見てみた。
四つ折にされていたので開いてみると、
そこには変なマークが書かれていた。
私が疑問な顔をしてそれを見ていると、
クチナシさんがそれについて説明してくれた。
- 123 名前:(・ω・) :05/02/15 10:40:53 ID:Va5Z2+2p
- 「それはバインドのスクロールですわ。」
「・・・バインド?スクロール??」
聞いたこともない名前だった。
「あらあら、こんなことも知らないなんて、
とんだお馬鹿さんですこと。おーほっほっ・・・
まあ、いいですわ・・・。
とりあえずそこに書いてある通りにすれば、
対象者の動きを封じることのできる魔法が使えますからお読みなさい。
さすがに丸腰で旅は危険ですわ。」
と、言われましても・・・。
「あの・・・、変なマークしか描かれていないんですけど・・・。」
「まぁ!なんてことですの・・・。
つまり、この魔法が使えるほどの実力もないと言う事ですわ・・・。
とんだお馬鹿さんてことですこと・・・。
ウィンダスでは3歳のお子様でも使える超下級魔法ですのに・・・。」
そんな深刻そうな顔でこんなに馬鹿馬鹿いわれたら、
さすがの私でも落ち込むしかない。
クチナシさんて、こんなに毒舌でしたっけ?
それとも私が馬鹿すぎるだけなのでしょうか。
「ジュノに着くまでに魔法論理を
たーーっぷりご教授して差し上げますから覚悟してくださいまし!
さぁ、こっちも追われるみですから、さっさと出発しますわよ!」
そう言うと、クチナシさんはまた呪文をブツブツ呟き始めた。
こんどは腰の辺りで手をダラーンとさせている。
「あの・・・。」
出発なのに魔法を唱えているクチナシさんを不思議に思いまして、
私は多少不安を覚えて問いかけてみた。
だけど私の言葉なんてまるで聞こえていないように、
その呪文をブツブツブツブツ・・・それが私の不安を仰ぎまくります。
- 124 名前:(・ω・) :05/02/15 10:41:24 ID:Va5Z2+2p
- 「す、すいません・・・あの・・・・。」
「きーーーー!!!うるさいですわね!!!
なんなんですの?!なんなんですの?!
ぶ ち 切 れ ま す わ よ?!!?!?」
すでにぶち切れてませんか?なんて聞くことももちろん出来ず、
私はガタガタ震えながら呟くことしか出来ませんでした。
「あ、あの・・・。何・・・してるのかなと・・お、思いま・・。」
「これはですますわね!」
と、私が言いおわるよりも先に、
なんだか違和感ありまくりの口調で説明してくださいりました。
「テレポですわよテレポ!テレポも知りませんの?!
ショートカットですわ!わかりましたわね!
それじゃいきますからね!
こんど詠唱中断させたらメテオですわよ!?」
メテオってなんですか?なんて聞いたら殺されかねないので、
私はテレポ詠唱終了を待たなければなりませんでした。
ちなみに私でもテレポくらいは知っているわけで、
たしかテレポイントとかいう駄洒落みたいなクリスタルまで
魔法で飛んでくものだったと思います。
と、思い出していたら、どうやらクチナシさんの呪文が終わったようです。
「そーれ。テレポホラですわ〜。」
シュワーっと音が鳴り、クチナシさんの姿が光に消えていった。
そして私の視界が・・・暗くなりませんけど・・・。
つづく
- 125 名前:(・ω・) :05/02/15 17:15:05 ID:N3LilT3+
- 風の通る(r
待ちくたびれて風化しそうだ
- 126 名前:(・ω・) :05/02/16 08:54:26 ID:bRJtezb4
- >>125
それを言ったらレッドラムも(r
でも「細い兄弟」のように再開することもあるだろうから、気長に待とうじゃないか。
と言うことでまたまた独断と偏見な感想などを。
>>85愛しい人−挿話
哀愁感があってイイネ!(゚∀゚)
しかしいまいち状況がつかめん気もするのだが。
もうひとふたこと言葉があると良かったかも。
>>106〜
ゴメンナサイ、本編より前ふりのヤグ?とミスラの対決シーンの方が個人的には面白かった。
何というか、上手く言えないけど台詞による描写入れるより、状況描写の書き方が上手
い人だと思った。引きつけられたよ。
>>113「名無しの話」の30 −決戦前夜−
相変わらず面白いっす。
タルちゃんズが可愛い!(゚∀゚)
エルナの行動が手に取るようでワロタ
そうか、タルっこはオレンジに弱いのか。
今度これで釣ってみようと思った俺の種族はガル(r
>>civilian
このテンポ感がイイネ!(゚∀゚)
このまま続けていってほしいと思いますです。
結構文面長いのに、さらっと読めてしまうあたりが文章の構成の仕方に上手さを感じる
かな。
いじょ。
あ、記憶違いかもしれないけど、赤魔導師の話って前に「格好良く書いてみよう」だ
かなんだかのシリーズでなかったっけ?
- 127 名前:(・ω・) :05/02/18 09:47:41 ID:5Ey/RvCK
- ささやかな想い第三話 モグハウスへ行こう!
結局、申請が通ったのは、曜日が二周りしてからだった。
申請を出し、待たされている間
その話題になると
待ちくたびれてダルメルのように首が長くなってしまう
と、冗談を言っていた。
もちろん心は逸っていた。
まだ見た事のない風景を・・
未だ会わぬ仲間たちとの心踊る冒険へ、と。
そして・・・
ついに申請が通った日・・・
喜び勇んで自分にあてがわれたモグハウスへと向かった。
支給された道具一式を持ち
笑みを隠し切れずに早足で歩く自分に向けられる
好奇の視線も、なんのその。
そこのけそこのけタルタルが通る
っと、ばかりに進んでいた。
モグハウスを管理している人に話しかけ
嬉々として手続きを済ます。
「はい、それではこれで貴方はモグハウスを使えるようになりました。
ハウスに行ったら、貴方の部屋の管理をしてくれるモーグリに会えますから」
事務的な会話だけの相手にも、にっこりと微笑んで
「ありがとうございます」
深々とお辞儀をすると
一直線に割り当てられたハウスへと向かった。
先輩冒険者達とすれ違いながら小走りに駆け
そして・・、
目当ての扉の前に立ち、ちょっと深呼吸をする。
よし!っと意味無く気合を入れ
一拍後、コンコンッっとノックをする。
- 128 名前:(・ω・) :05/02/18 09:49:03 ID:5Ey/RvCK
- 「はいクポー?どちら様クポ?」
扉がちょこっと開き、ぴょこっと顔だけを出して現れた真っ白なモーグリに
「こんにちは、今日からお世話になります!」
と、元気いっぱいに挨拶をした。
そして、その言葉を聞くと
「クポ♪ボクの新しいご主人さまクポ?こちらこそ、よろしくクポー」
さぁ、どうぞっとばかりに
キーッと微かな音を立てて、扉を開けてくれる。
ここが自分の冒険の扉なんだと改めて実感しながら
「お邪魔しま〜す・・・」
と、出た言葉に
「あはは、お邪魔じゃないクポ〜、
これからはここは、ご主人様のお部屋クポ♪」
と、こちらを見ながら微笑まれてしまったのだった。
真っ白でふわふわと浮いているモーグリから
一通りの説明を受け終わると、
その手慣れた感じに
ふと気になった事が出来てしまった。
「ねぇ、ちょっと聞いて良いかな?」
「ボクが答えられることなら何でも良いクポー。」
癖なのか、時々くるくる回りながら答えてくれるモーグリに
「前のこの部屋の持ち主が、君の前のご主人様だったの?」
言ってしまった直後に、
なんて無粋な事を聞いているのだろうと思ってしまう。
目の前に浮かぶ相手はちょっと戸惑ったように
「クポ・・・、この部屋に居た人はボクの知らない人クポ。
モーグリは各地を転々と移動するクポよ〜。
ボクはウィンダスが久しぶりクポ・・。」
そこで一端区切ると、モーグリは
「ボクの前のご主人様は冒険者を引退しちゃったクポー。」
と、ちょっと寂しそうに言葉をこぼし、
それを聞いてしまって、
ごめんなさい、と謝ろうとするのを制して
「でも、今は故郷に帰ってボクが教えた栽培で
色々な物を育てているって聞いたクポ〜」
と、少しだけ明るく言葉を繋いだのだった。
- 129 名前:前スレ395 :05/02/18 10:17:02 ID:rJxGMMV/
- 題名つけてみました。
文は変わらず、読み辛いかな・・Orz
- 130 名前:風の通る道 :05/02/20 02:54:13 ID:PTPdJuLs
- バーニングブレード>ブレインシェイカー(核熱)
・・・書いたあとに繋がったか不安になってきました。
お久しぶりです。
忘れ去られてるかと思ったのですが、数レス前に応援してくださっている方がいましたので、大変嬉しく思います。
時期が空いた理由は・・・言い訳はしません。すみませんm(_ _)m
今回は、試験的にWikiに直接アップしました。
このほうが改行とか思い通りになるので、これからあちらに直接アップする事にします。
(今回は初回でしたので、いろいろ手間取ったのですが・・・)
今回の内容:据え膳食わぬは(略
- 131 名前:(・ω・) :05/02/21 22:29:56 ID:s92bWQN5
- 〜その空〜
天、高く潔し色の頃、光あれど其処、何処で在ることに在らず。
天、赤く燃え狂いし頃、光去れど其処、涙の道作られる也。
その空は色を変え、人々を悠久と見据えている。
漆黒の闇こそ恐ろしく思えど、それは本能による錯覚。
真に研ぎ澄まされた力は、その恐怖さえ己の力へと変化させる。
彼の弱き者達は、その闇の魅了を振り解くことも出来ず、
唯、故に獲得せし力に奔走させられる。
その闇の魅了、獲得せし力、真なる破壊の衝動。
「その空か。」
静かに囁くそのか細き声の主は、唯、静かに水辺に腰を下ろしていた。
緋色なる静寂の空間に置かれた女は、空を仰ぎ見る事を止めようとはしない。
変わりゆく空の果て。
徐々に失われる生命の息吹は、死を彷彿と錯せる闇に囚われてゆく。
刀を振るう極意。
それは殺すことに他ならない。
達人の振るう斬道であれ、素人の哀れな太刀筋であろうとも、
優れしは、命を奪う力でしかない。
極意とは常に、不定な天秤に因って判断されるだけの力でしかない。
其の女は、そう信じていた。
仮初なれど、その力は自己を守護し、哀れど敵対せし物を斬り落とす。
極意こそ其れである、と。
彼の女の腹に出来た死に至る傷跡からは、留まることを知らぬ血潮が流れだしていた。
長く対峙した決闘。
一瞬の死角を待ち、刀を向かい合った。
達人の死合は一瞬で死を決する。
故に、その一瞬を悠久と待ち続ける。
極限まで鍛え抜かれた獣同士の決闘は、
唯、運のみが勝敗を分ける要素であり、天こそが彼の女を勝たせ、
そして死を与えようとしていた。
- 132 名前:(・ω・) :05/02/21 22:31:11 ID:s92bWQN5
- 「いざ、参る。」
一人の剣士が刀を抜いた。
漆黒に塗られた鎧を不動とし、男は其処に立ち憚った。
「いざ。」
彼の女も、腰へ下げた刀を抜き、一寸の隙をも見せずに立ちつくす。
人里より離れし谷での決闘。
師と、その弟子である彼の女の決闘である。
師の長い黒髪が美しく風に靡き、この決闘を称え舞う。
数時間が経つ。
朝焼けは既に消えうせ、陽は高く昇りきった。
微かな隙であった。
風に舞う葉が、師の目の前を掠めてゆく。
視界が一瞬遮られ、葉が通り過ぎた瞬間、
目の前の女の姿は消えうせ、一太刀分の殺気が師を襲う。
寸での処、刀を返し、深く踏み込み、沈んだ彼の女から発せられた
下段から上段へと向う斬り上げられた斬道を歪ませる。
弾かれた彼の女は勢いを殺され、そのまま前へとつんのめり、
師は左へと飛びのき、刀を構え直す。
倒れるが瞬、彼の女の像が揺らぐ。
「右!」
彼の女の像が揺るりと消える瞬間、師は叫び、
右へと一文字の軌道を描く一太刀を放つ。
併しその手を、彼の女の左手が弾いた。
軌道はゆがめられ、師の致命的な隙が生まれた。
緩やかに思えるほどの一瞬。
右手のみで発せられたその一撃は、
まるで線を描くかのように正確に、そして美しく師の命を奪った。
師の首を美しい黒髪ごと、左からそぎ落とす。
血さえ、反応することなく、美しき断面が世界に露出した。
「去らば。」
彼の女の口から漏れた言霊。
目を瞑り、喪に服す彼の女。
その腹に、一太刀が与えられた。
痛みさえ感じぬ一撃。
首を無くした師の身体は、
其の何億と刀を振るう記憶を、殺気を放つことなく、
放とうと思うこともなく、唯、振るうべくして振るう刀を放った。
縦に一線された刀は、彼の女の腹を深く抉る。
咽返る血の匂いが喉を通り、その一寸後、血が逆流し、彼の女の口から這いずり出た。
何事かと手を腹へとやると、そこへ着いた赤い血に因って、彼の女は斬られたことに気付いた。
「その空が在る様に、それが自然であるかの様に、無心の中にある剣こそ、極意に匹っす・・・か。」
師の唯一発した極意の姿。彼の女は思い出し、それを口にする。
- 133 名前:(・ω・) :05/02/21 22:31:42 ID:s92bWQN5
-
もしも命が繋ぎとめられることがあるならば、
私の剣もその領域へと進することが出来るのであろうか。
そう想い、彼の女は水辺に横たわり、静かに目を閉じた。
終わり
- 134 名前:(・ω・) :05/02/21 22:33:38 ID:s92bWQN5
- 侍上げ始めたわけですが・・・・。
時代劇とかの殺陣でバッサバッサと切り捨ててくイメージがあるので、
敵のHPを徐々に削ってくあの感覚に慣れません・・・。
- 135 名前:お届け屋ホリー! 1(全18) :05/02/22 22:53:28 ID:6UXY/bo4
- 「へっくしよい!」
酒神次郎ことサカガミが、クシャミで顔をくしゃくしゃにしたのは、バストゥーク
に帰ったとたんぶり返した持病、ミスリルアレルギーのせいだけではなかった。
「もうじき花の季節だというに、夜は冷えていかん」
ひんがしかぶれのサカガミは、着流しの着物の襟をよせると懐手にして首をすくめ、
念入りにあたりを見回した。
表通りに面した商店は、おおかたが明りを消していたけれど、傍らの店舗からは、
まだ灯火が漏れている。通りに人影がないのを確かめたサカガミは、クシャミを
二連射してから店脇の路地道へとはいっていった。
「夜回りご苦労様です。サカガミさん!」
店の主人からあてがわれている自室へもどると、住み込みで働いている侍女が、
夕飯をたずさえてやってきた。よく話し、よく笑う娘だ。
「おお、すまぬなサエどの」
これを聞いてもう笑っている。サカガミが無理に使っている、ひんがし訛りが
おかしいのだそうだ。
「今夜は、冷えるから燗をつけときましたよ」
「おう、かたじけない」
また、ころころと笑う。サエは、手がすいているのか、部屋から出て行かずに
サカガミと差し向かいにテーブルへ着いた。
「店のほうは忙しいようでござるな」
「ええ、セヴァスチャンが居なくなって人手がたりないんですよ」
すこしうつむいて答えた。
セヴァスチャンは、ここ、『薬の材料屋ぽっくり』に住み込みで働いていた従業員
で、それはそれはまじめに働く好青年だったそうな。それが、先日、押し入った強盗
に殺害されたのだという。
気の毒なはなしだが、この事件が飯のたね、つまり用心棒の依頼につながったわけ
だから、サカガミの胸中いささか複雑ではある。
夕食を終えたサカガミは、ほろ酔い加減のよい気持ちで、石の床に敷かれた畳の上
にゴロリと転がった。この畳、わざわざ彼が持参したものである。
「はっくしょん! ぬおっ! びっくりした……」
自分のばかでっかいクシャミに驚いてサカガミは、はね起きた。どうやら、うと
うと居眠ってしまったらしい。
- 136 名前:お届け屋ホリー! 2 :05/02/22 22:56:02 ID:6UXY/bo4
- 「いかん、いかん。眠ってはいかんぞ。風邪をひいてしまう」
どのくらいの時間眠っていたものか、表の店の方から聞こえていた物音は絶えて
いた。サカガミは、身震いすると床に置いた刀をつかんでのっそり立ちあがり、
部屋をでた。廊下の突き当たりで、はたと立ち止まって、
「むむ、厠はどっちだったか……?」
右の方と左の方を見比べた。ぽん、と手を打って意気揚揚と右へ曲がろうとした
が、すっと身をひくと静かに刀の鯉口を切った。数瞬後、廊下の曲がり口に人影が
さした。サエだった。
「なんだ、そこもとであったか」
おどろき顔のサエが、かざしてくるランプが眩しかった。
「さっ、サカガミさぁん。もう、びっくりするじゃありませんか」
「お、おお。あいすまぬ。賊かとおもうたゆえ」
鯉口を戻し、しどろもどろに謝る姿にくすくすと笑うサエだった。
「うふふ、見回りですか? ご苦労さまです」
「あ、いや、その、ちと小用に、な」
「まあ……。あ、そうそう、お台所がかたずきましたから、あたしは休ませてもらい
ますね」
「おお、それは、ご苦労様でござったな」
「お腹、すいたら戸棚に握り飯がはいってますから、どうぞ」
にっこりして言うのに、サカガミは、ちょっぴり感動してしまった。
「重ねがさね、かたじけのうござる、このとうり」
へこへこしてみせた。
「おやすみなさい、うふふ」
頭をさげて脇をぬけて行った侍女の姿を見送ると、サカガミは、鋭い目つきに
なって、便所と台所へつづく方とは反対、つまり左へつづく廊下をみやった。
「こそ泥め、サエどのに救われたな」
にやりとして、あごをつるりとなぜた。
「うまくやり過ごしたつもりだろうが、インスニのおまけにデオード、束にしても
拙者は、あざむけぬよ」
寝入っているであろう家人に遠慮してか、こころのなかで高笑いするサカガミで
あった。いや、あんた、はやくその泥棒を捕まえないといけませんから!
「ふむ、こそ泥といえど捨ててはおけぬか」
サカガミは、おお慌てであとを追った。
- 137 名前:お届け屋ホリー! 3 :05/02/22 22:57:35 ID:6UXY/bo4
- 裏庭に出ると夜半からのぼったであろう水の月が明るかった。
「ぬぬぬ……」
物陰に身をかくしながら、サカガミは、目をまるくした。
裏庭に建つ三棟の倉庫のうちの、いちばん小さいものの鉄扉に娘が張り付いて
ごそごそとしているのを見たからだった。
あれが泥棒なのか?
首をひねったのは、その娘がステージのうえでへたくそな歌を披露しているのが
似合っているような服装に身をつつんでいるせいだ。
(泥棒のくせにあのようなヒラヒラのついた服では、目立ちすぎるのではないか?)
おもわず、いらぬ心配をして考え込んでしまった。
「あーっ、もうっ、いらいらするなぁ」
ふりふり衣装の泥棒が、場所と立場をわきまえずにあげた声に、サカガミは、はっと
現実にかえった。
その目前で泥棒娘が、数歩あとずさって、どこにもっていたのか両手にグレネードを
どっさり取り出した。どうやら扉に投げつけて爆破しようとしているらしい。さすがに
これは、放ってはおけぬと、サカガミは、あわてて物陰から飛び出して、
「あいや待たれい!」
大音声で呼ばわった。
「へ?」
いままさにグレネードを投げようとしていた娘がおどろいて振り向いた。
振り向いたはずみでグレネードが、サカガミのほうへ飛んだ。しかも五個いっぺんに
飛んできている。
「お?」
飛んできたグレネードをサカガミは、残らず、がっちり受け止めた。心眼の
妙技なり。
「おおっ。ナイスキャッチ! いよっ、男前っ」
娘が、目をかがやかせて拍手してみせた。
「いやあ、それほどでも……」
サカガミは、頭を掻いて照れた。
「って、馬鹿あ!」
目を剥いてグレネードを空たかくへ放り投げた。グレネードは、「ちゅどーん!」と
叫んで華々しく空中で炸裂した。
- 138 名前:お届け屋ホリー! 4 :05/02/22 22:58:50 ID:6UXY/bo4
- 「お、おぬしなぁ、拙者が爆死したらどうするの!?」
目を剥いたままサカガミは、抗議した。
泥棒娘……というか、この物語の主人公、ホリーは、小首をかしげて、あごに
人差し指をあてて、
「うん、まあ。それは、それでありかな」
にっこり笑って、ちろりと舌をだした。
「あるかーっ! もう怒髪天をついたでござる!」
「えっ? なに。意味わかんない」
「あ、いや、だから、怒ったということでござるよ……」
「なるほどぉ」
と、そのとき、母屋のほうから声がした。
「サカガミさん。いったい何事ですか?」
店に住み込みで働いている従業員たちであった。ヒュームとミスラとタルタルの
三人は、手に手に棍棒のようなものを持っていたけれど、おびえた様子で建物の
陰からは出てこなかった。
「いや、ちと、賊が出もうしてな。これから退治するところでござるよ」
「セ、セヴァスチャンの仇タルか!?」
「いや、どうもそうではないらしい。いずれにせよ、そこもとらは、屋に戻られよ。
相手は、何をしでかすかわからん奴ゆえ」
「わかったにゃー」
従業員たちは、どやどやと母屋に帰っていった。バタンと戸が締まる音がした。
「うむ」
サカガミは、深くうなづいて、「待たせたのう」と賊へ向き直った。
当然、ホリーは、待ってなんかいなかった。さっきまで立っていた場所からきれい
さっぱり消えている。
「あれっ、どこいった?」
高い塀にかこまれた裏庭から出る通路は、自分が押さえているという考えに
サカガミは油断していた。しまった逃がしたか、とあせった。あせりすぎて冷や汗を
タラタラと流した。
「こっち、こっち!」
声のした方向を見上げると、倉庫の屋根にホリーが、すまし顔で立っていた。
- 139 名前:お届け屋ホリー! 5 :05/02/22 23:00:15 ID:6UXY/bo4
- 「ジャーン! ハイジャンプで上ったのでした! ねえ、サポ竜騎士もけっこう
いけてるよね、すごいよねっ?」
ほがらかに言われて、サカガミは、にわかに殺る気が失せてしまった。
「たしかに、うん、すごいでござるなぁ……」
投げやりになった。
「てへへ」
「しからば、つぎは、もっとすごいスーパージャンプでそのままお家まで飛んで帰って
くれぬかな?」
「ブッブー。サポでスーパージャンプは使えませんよ〜だ」
ホリーは、舌をだしながら地団太を踏んだ。パリンとガラスが割れる音がしたのは、
倉庫の天窓が割れたようだ。小娘こそ泥は、「とぅ」という掛け声とともに天窓の穴
から倉庫のなかへ消えていった。
「おぬぉれえぇ、小馬鹿にしおって!」
サカガミは、目じりを吊りあげて倉庫へ駆けよっていった。鉄扉の前までくると、
ただで手に入れて以来愛用している名刀、孫六兼元(普及版)を抜き打ってヒラリヒラリ
と縦横に振るう。チャキリンと刀を鞘に収めると、なんと分厚い鉄扉がみじん切りに
なって崩れ落ちた。
「カンスト侍をなめてもらっては困る」
にやり。自分の技の冴えに、一瞬で機嫌をなおしたサカガミは、異常にうれしがって
みせるのであった。
- 140 名前:お届け屋ホリー! 6 :05/02/22 23:01:52 ID:6UXY/bo4
- 倉庫のなかにホリーの姿はなかった。
しかし、がらんとした倉庫内の土間の隅に穴があり、そこから灯かりが漏れて
きていた。近づいてみると下へ降りるように梯子がかけてあるのがわかった。狭い
穴だったからサカガミは、落とし差しにしていた刀を外して地面に置いて下げ緒を
穴に垂らしてから、梯子を降りた。
穴は、存外深かった。下げ緒の先端を通り越してもまだ底へ着かないので、
サカガミは、仕方なく、頭上でゆらゆら揺れているひもを引っ張った。すとんと刀が
落ちてきて上を向いて待ち構えていたサカガミの手をすり抜けて額にスコンと
あたった。その衝撃でサカガミも梯子から足を踏み外して、すとんと下に落っこちた。
「やっぱりなぁ。こうなるような気がしてたんだよなぁ」
中腰で立って腰をさすりながら、おもわず素になって愚痴をこぼした。
穴の底は、石造りの通路になっていて天井には、裸電球が吊ってあった。大人
ひとりがやっと通れるくらいの通路は、一方向に伸びて木の扉に突き当たっている。
その扉が、少しこちら側にひらいていた。
- 141 名前:お届け屋ホリー! 7 :05/02/22 23:02:52 ID:6UXY/bo4
- 「こそ泥め我から袋のねずみになりおったか」
あごをなでながらにやりと笑った。余裕しゃくしゃくの顔でゆうゆうと扉の前に
ゆくと、勢いよく取っ手を引いた。
と、ちょうど部屋から出てくるところだったホリーとばったり対面した。
ホリーは、くりくりまなこを見開いて、
「きゃっ。は、入ってます」
「ぬお! あいや失礼つかまつった」
バタン! サカガミは、そそくさとドアを閉めて、安堵の吐息を吹き出した。
汗を拭きふき。
「って。あれっ?」
扉の向こうで大爆笑が起こった。
「あははは! 侍さん、ノリいいねぇ。うぷぷ」
「おぬぉれえぇ!」
目を怒らせて扉をこじあけた。ホリーは、飛ぶように後ろへ退いて、なお笑って
いる。侍は、むっとした。
「拙者は、酒神次郎だ。ジョブ名で呼ばれるのは、はなはだ不愉快でござる!」
「あはは、サカガミさん? いい名前じゃない。わたしは、ホリーよろしくね」
なんで、こそ泥あいてに名乗りあわねばならんのだ、とサカガミは、情けなく
なった。
- 142 名前:お届け屋ホリー! 8 :05/02/22 23:04:54 ID:6UXY/bo4
- 「ねえ、サカガミさん」
「ぬ、この期におよんで見逃してくれは通らぬぞ」
腰の刀をつかんで鍔に親指を当ててみせる。
「んー、ちょっと違うかな。わたしが言いたいのは、あなた、こんな店の用心棒
やめて、わたしと組まない? ってこと。悪い話じゃないと思うけどな」
「拙者に、泥棒の片棒をかつげと? ふん、笑止千万。おととい来るがよかろう」
「ヴぇ? いまなんて?」
「ん? 笑止千万というのはね、おかしいよ、という意味……」
「いや泥棒っていった……、わたしが、泥棒ぉ!?」
「さよう、どこをどうとってみても泥棒だのう。まあ、外見以外は、な」
ホリーは、シルクの手袋をはめた手を握り締め、おおきく振り回して、
「冗ぉ談っ、じゃないわっ!」
片手を腰にあててポーズをつくると、もう一方の手を「えいっ」と真横にのばした。
部屋の入り口に突っ立っているサカガミには室内の様子が、判然としなかったけれど、
部屋の真中を通る通路の両脇に棚がびっしりならんでいるのは見てとれた。
ホリーが片手で棚から引っ張りだしたのは、金属製で四角いちいさな手さげかばん
だった。かばんは、棚から飛び出すと、音をたてて地面に落ち、その弾みで、パカッと
開いた。
- 143 名前:お届け屋ホリー! 9 :05/02/22 23:06:18 ID:6UXY/bo4
- 「ちょっとこれ、見てみてよ」
かばんからこぼれた紙片を拾い上げて、ずいっと差し出した。サカガミは、それを
受け取って、
「銭のように見えるが……」
「リアルマネーよ」
「リアルマネーヨ?」
おうむ返しに聞きかえした。ぽかんとしている。なんのことか判ってないらしい。
ホリーは、「あちゃー」と額に手をあてた。
「知らないの?」
と言った。こんな、おちゃらけた感じの娘に、あきれられたのにサカガミは、赤面
してしまった。
「知らん!」
居直った。
「知らないことを知らないと言えることが、真に知るということでござる。
拙者、ときと場合によって、おにぎりの真の味が判ったり判らなかったりする。
うむ、リアルマネーヨについてもしかり。かような次第ゆえ、えんりょうはいらぬ、
話してみよ」
教えてください、と素直に言えなくて訳のわからないことを言った。
「サカガミさんって、やっぱり面白いね。いいよ、教えてあげる」
にっこり。
サカガミは、たじろいた。どうも憎みきれん。
ホリーは、すまし顔で目を閉じ、人差し指を一本ピンと立てて
「教えてあげましょう」のポーズをつくると語り始めた。
- 144 名前:お届け屋ホリー! 10 :05/02/22 23:07:29 ID:6UXY/bo4
- 「というわけで、リアルマネーがどれほど悪いものかってことは判ったよね?」
「あいわかった。ちかごろ物の値段が高まっておるのは、リアルマネーのせいで
ござったか。リアルマネーゆるすまじ」
腕組みをして、しかつめらしく言った。ホリーは、うんうんとうなづいた。
「わたしが、ここに忍び込んだのは、さる筋からこの店でリアルマネー取引を
あつかっているって情報を得たからなのね。それで、その情報の裏をとりに来
たってわけ。情報がほんとうなら、依頼を正式に受け……って、そこまでは話さ
なくてもいいか」
「ふーむ……」
用心棒として、知らなくてよいことを知ってしまったとサカガミは、おもった。
「だから、わたしは、決して泥棒なんかじゃありませんから。んじゃ、そういう
わけで、用事があるから行くね。そこ通して」
「それはできぬな」
「えっ?」
「拙者は用心棒。人の傷つくのを見過ごすわけにはゆかぬ」
「どういうこと?」
ホリーは、警戒して後退った。
「小娘に危ない橋をわたらすわけにはゆかんということよ。おぬしは、お上に届ければ
事足りると思うていようが世の中そうは甘くはないぞ」
リアルマネーを知らなかった男が、精一杯渋く笑ってみせた。
- 145 名前:お届け屋ホリー! 11 :05/02/22 23:09:17 ID:6UXY/bo4
- 「ここから先は拙者が、拙者のやりかたで始末をつけるゆえ、当座のあいだ、そこもと
は、ここで待っておれ」
言うや、すっと身を沈めたかとおもうと、地を滑るように踏み込んで、刀を鞘ごと
引き抜きざま、鐺をホリーの鳩尾へ滑りこませた。いや、滑りこませようとしたのだが、
その寸前でサカガミは、肩に軽い痛みを感じて、がくりと膝をついている。鐺が、
鳩尾に当たる直前の一瞬、目にもと